22歳でハイパーカー開発へ挑んだケーニグセグ
クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏が、自身の名を関した自動車メーカーを立ち上げたのは、1994年。スウェーデン・ストックホルム出身で、当時は若干22歳だった。クルマに対する人並みならぬ情熱が、彼を突き動かした。
【画像】パガーニ・ゾンダ S ケーニグセグCCXR 同時期の高性能モデルたち 後年のラ・フェラーリも 全139枚
もちろん、地球上最速のクルマを作るという野望は、安価に叶えられるものではなかった。ドイツ貴族の末裔として資金力はあったものの、最初のプロトタイプはスウェーデン政府からの補助金と、ボルボとサーブの協力を得ながら作られている。
パワートレインは複数検討されたが、クリスチャンが最終的に選んだのは、フォード由来の4.6L V型8気筒エンジン。実は、大型サルーンのリンカーン・コンチネンタルにも載るユニットだ。
シャシーの設計は、クリスチャン本人。パガーニ・ゾンダ Sと同じく、カーボン製モノコックと、クロモリ鋼製サブフレームで構成されている。
量産仕様のケーニグセグCC8Sが発表されたのは、2003年のスイス・ジュネーブ・モーターショー。ツイン・スーパーチャージャーが過給するV8エンジンの最高出力は664psで、量産車最強エンジンとしてギネス世界記録を掴んでいる。生産数は6台だった。
2004年に、CCRへ進化。ツイン・スーパーチャージャーのまま、最高出力は817psへ上昇した。イタリアのナルド・テストコースでは、マクラーレンF1を約1km/h差で破る、387.86km/hの最高速を樹立。完全なるハイパーカーの仲間入りを果たした。
ダブルバブル・ルーフの官能的なフォルム
その後、2006年にCCXを発表。今回のマシンは、その進化系となるCCXR エディションだ。エンジンは、独自開発された4700ccのV型8気筒。基本的にはオリジナルの改良版だが、北米の安全基準と排気ガス規制へ準拠されている。
最高出力は、E85などのエタノール燃料を使えば1032ps。ただし、今回は一般的なガソリンでタンクが満たされており、最高出力は817psとのこと。それでも、不足はあるだろうか。
CCXRの出で立ちは、目を疑うほどロー&ワイドで少し薄気味悪い。フロントは緩くカーブし、ゾンダ Sのように明確な特徴がない。対してリア側は、ダブルバブル・ルーフの官能的なフォルムが展開する。
ガラス張りのエンジンリッドには、かわいいゴーストのイラストがあしらわれる。これは、ケーニグセグの工場が位置する南部のエンゲルホルムを拠点としていた、スウェーデン空軍への敬意の表れだという。
クラムシェルのリアカウルを開くと、ドライサンプ化された32バルブV8エンジンが顕になる。ブロックはアルミ製で、カムカバーはカーボン製。アイバッハ社製のコイルオーバーキットのマウントポイントが、構造体を兼ねるエンジン側に固定されている。
リアのミシュラン・パイロットスポーツの幅は345で、11スポークのアルミホイールはセンターロック。芸術品のように、鑑賞したくなる眺めだ。
BBCトップギアでコースレコードを記録
ドアの開き方はエレガント。サイドのエアインテーク内に隠れたボタンを押すと、ディヘドラル・ドアが回転するように上方へ立ち上がる。カーボン製サイドシルは幅が広いものの、乗り降りはしやすい。
フロントガラスは、グループCカーのように横までカーブを描く。長いワイパーが1本中央に立ち、最新F1マシンのコクピットからの視界にも似ている。
ダッシュボードの様子は、淡白でメカニカル。メーターパネルやコラムレバー、中央側のパネル、シフトレバーなどはアイボリーに染められ、幾何学的で、滑らかなスタイリングとは一致しない。見惚れるような、パガーニの雰囲気とも異なる。
人間工学的には良好。シンプルなレイアウトで、短時間で車内へ馴染める。
このCCXRは、BBCのトップギアで7年間破られないコースレコードを記録した。ドライバーのスティッグが刻んだタイムは、1分17秒6だった。筆者が運転し、軽く路面が湿っている今日は、そのタイムへ近づくことは到底不可能だが。
運転体験は、ゾンダ S ロードスターとまったく異なる。乾燥重量は1280kgと大きく違わないが、走りはより落ち着いている。一方でエンジン音は、アイドリング時から荒々しい。操縦系へ伝わる振動が大きく、ちょっとマッスルカーっぽい。
技術的にも空気力学的にも偉業といえる水準
アクセルペダルのストロークは、想像以上に短い。右足へ力を込めれば、即座に宇宙船の様相だ。
0-161km/hの加速時間は6.4秒と、ゾンダ Sより0.6秒鋭い。本領を発揮したCCXR エディションは、カンナム・レーシングカー的なワイルドさで突進していく。猛烈なパワー感は、表現が難しい。
アクセルペダルの角度を僅かに増やすだけで、推進力が明確に上昇する。ストレートでも、若干不安定さが滲むほど。一方で、249km/h時のダウンフォースは350kgもあり、超高速域での巡航は感心するほど落ち着いている。
カーブでは、ゾンダ Sとは異なりアンダーステア。しかし、オーバーステアへの推移は予想しやすい。急に手のひらを返されることはないようだ。
最高出力は、ガソリンでも270ps以上高い。CCXRで加速を続ければ、400km/hの速度域へドライバーを誘う。技術的にも空気力学的にも、偉業といえる水準にあることは間違いないだろう。
21世紀の初頭に生み出された、2台のハイパーカー。世界の違う価格は抜きにして、もし筆者がどちらかを選ぶなら、複層的で芸術的な特別さを好むだろう。カーボンファイバーの織り目1つまで魅了される、ゾンダ Sのように。
協力:ジョー・マカリ社、ウィル・ストーン社、ダンスフォールド・パーク社
パガーニ・ゾンダ S ケーニグセグCCXR 2台のスペック
パガーニ・ゾンダ S ロードスター(2003~2006年/英国仕様)
英国価格:28万5000ポンド(新車時)/500万ポンド(約9億6000万円/現在)以下
生産数:12台
全長:4395mm
全幅:2055mm
全高:1151mm
最高速度:334km/h
0-97km/h加速:3.7秒
燃費:6.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1280kg
パワートレイン:V型12気筒7291cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:562ps/5900rpm
最大トルク:76.3kg-m/4050rpm
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)
ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)
英国価格:41万5000ポンド(新車時)/300万ポンド(約5億7600万円/現在)以下
生産数:4台
全長:4293mm
全幅:1996mm
全高:1120mm
最高速度:400km/h
0-97km/h加速:3.1秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
乾燥重量:1280kg
パワートレイン:V型8気筒4700cc ツイン・スーパーチャージャー DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:817ps/7000rpm(E5ガソリン時)
最大トルク:93.7kg-m/5500rpm(E5ガソリン時)
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)
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