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これはチャレンジャーかケンメリか? 光岡の「M55」が自動車ファンの心を鷲づかみにした!

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これはチャレンジャーかケンメリか? 光岡の「M55」が自動車ファンの心を鷲づかみにした!

 この記事をまとめると

■光岡自動車から55周年を記念したモデル「M55コンセプト」が発表された

ユーザーの不満の表れでもある! 最近クルマのデザインに「復刻ブーム」が訪れているワケ

■ダッジ・チャレンジャーや日産のケンメリを彷彿とさせるデザインにまとまっている

■メーカーにデザインの苦労したところや今後の展開などを聞いてみた

 光岡がまたまた凄いクルマを出してきた!

 2023年10月末から開催されたJMS(ジャパンモビリティショー)では、各メーカーから多くの魅力的なブランニューモデルの発表が行われましたが、その直後に発表された「MITSUOKA」の「M55コンセプト」が、JMSの花形コンセプトカーたちに勝るとも劣らないくらいに業界の注目を集めています。

 この「M55コンセプト」は、「MITSUOKA」の創業55周年を記念して製作されたコンセプトモデルで、その前に発売された「Buddy(バディ)」から約3年ぶりの新型車の発表ということもあり、発表前から期待値が高まっていました。

 そして何よりも話題の的になっているのが、そのデザインです。

 近年のアメリカンマッスルカーを思わせるボディの造形と組み合わされた無表情なクールさを漂わせる丸目4灯のフェイスマスクは、ある種普遍的なカッコ良さをカタチにした印象ですが、「○○に似ている」という声がSNSなどを中心に聞こえているのをちょくちょく目にします。

 代表的な声を拾った感じでもっとも多いのが「ダッジ・チャレンジャー」で、次点で「日産・スカイライン(ケンメリ)」といったところでしょうか。

 いわれてみれば「ああなるほど」と思う部分もありますが、視点によってはそれらとはまったく違って見える場合もありますし、もっと別な何かに似ている、という印象を抱く場合もあるでしょう。

 ここでは、いま話題となっている最新モデルの「M55コンセプト」に焦点を当てて、どのような経緯でいまのデザインに落とし込まれたのか、「MITSUOKA」にインタビューして得られた情報も踏まえて掘り下げてみようと思います。

■55周年記念車として企画されたシリーズ

「M55コンセプト」は、先述のように「MITSUOKA」の創業55周年を記念して製作されたモデルで、2018年に50周年記念として発売された「ロックスター」、そしてその2年後に発売されたSUVの「Buddy」に続くネオクラシック路線のシリーズです。

「MITSUOKA」ホームページの特設ページには、高度成長期にあった1970年代の「夢と希望に満ちたエネルギーの奔流」というワードが印象的に使われています。当時の、お金はなくとも希望と活気に満ちた雰囲気を再び感じてもらえるようなクルマを届けたい、という心意気で企画されたことが感じられる部分だと思います。

「ロックスター」、「Buddy」、「M55コンセプト」ともに旧きよきアメリカンなテイストが漂っているのは、そうした製作側の意図が込められているから、のようです。

■ある意味、似ていると言われるのは必然の結果

 開発のメインコンセプトは、創業55周年に重ねた現在55歳のクルマ好きの人をターゲットイメージとして、そのノスタルジーに刺さるテイストを盛り込みつつ、1970年代の活気に溢れていた雰囲気を意識しながら、現代の造形エッセンスでまとめるというものです。

 デザインの出発点として、1970年代当時のクルマ好きの憧れの対象だったアメリカンマッスルカーをはじめ、その影響を多く受けた国産のGTカーたちの魅力的な部分を分析。そのデータを最大公約数的にまとめて抜き出した要素を元にして、それをアイコン的に使ってキーとなるビジュアルをまとめたそうです。

 造形の段階では、ベース車となったシビック(FL型)とのマッチングを踏まえながら、いまの日本の交通環境に混じっても違和感がないような、いまの流れに合ったテイストに落とし込まれました。

 つまり、1970年代車の魅力を抜き出して普遍的な魅力を感じるデザインにまとめた結果、当時の代表的なGTカーや、ネオクラシックの現行マッスルカーを連想させる雰囲気をまとう結果となったわけなのです。

 なので、「○○に似ている」と言われるのは必然の結果であり、企画の主旨としては成功したと言えるのではないでしょうか。

 昔のデザインを復活させるだけでは意味がない

■デザインのこだわりポイントは?

 デザインの方向性が固まって具体的なデザインの造形プロセスに入った段階からがデザイナーの本領を発揮する見せ場と言えます。

 抜き出した1970年代の要素をただまとめただけでは、当時のカッコ良かったクルマの平均的な姿にしかなりませんので、そこに現代の造形エッセンスを盛り込み、古くさい印象を払拭する姿に仕上げないとなりません。

 具体的なポイントとしては、前後の「逆スラント処理」が挙げられます。フロントグリルの端面とテールエンドの端面の角度を垂直に仕上げるとシンプルでスマートな印象にまとまりますが、どこかしらやや古くささが漂ってしまうので、その対策として、サメの頭のように上部を少し張り出させて傾ける手法を使い、その古くささを感じさせない造形にまとめることができたとのこと。

 そのほかにも全体にわたってそういうディテールの工夫がおこなわれているそうです。

■デザインサイドの苦労

「MITSUOKA」車の特色として、ベース車があり、外装パネルを換装させてオリジナルの車両へと生まれ変わらせるという手法があります。

 今回の「M55コンセプト」もその手法で製作されたモデルです。ベースとなったホンダ・シビック(FL型)のキャビン(ルーフ、ウインドウ、ドアパネル)はベース車のままなので、最終的にその造形と、新たにつくり変えるデザインとの辻褄を合わせなくてはなりません。

 おそらくデザイナーとしてはそのジレンマと常に戦わなくてはならないというのがなかなか悩ましい部分だと想像できます。

 たとえばボンネットなどは、元のカットラインを維持しながらマッスルカーらしいエアスクープ的な意匠を盛り込んで周囲のデザインにマッチさせているのが見て取れますし、ホイールアーチ付近まで切れ込んだテールランプの鋭角な部分をパネルで塞いで上手く処理しているのも苦心の様が想像できます。

 ちなみにですが、新規に起こすとけっこうコストがかかるランプユニットですが、ここは外観の印象を左右する重要な要素なので手は抜けません。ヘッドライトは「ロックスター」と同じもので既成品が使えたそうですが、テールランプは新規にイチから製作されたものとのことで、こういう部分にもの作りの気合いの乗りが感じられます。

■「M55コンセプト」発売の時期は?

 この「M55コンセプト」の発売時期がいつになるのかが気になるところです。あくまでも現状はコンセプトカーという扱いなので、実際の発売時期は未定となっていますが、実車はかなりのクオリティで仕上げられているので、「すぐにでも発売されるのでは?」とワクワクして見ている人も少なくないと思います。

「MITSUOKA」サイドとしては、もちろん発売を前提に企画を立ち上げたことと思いますが、発売に至るまでには、ベース車両の安定調達や生産体制の構築など、いくつもの達成要件をクリアしなければならないでしょう。

 発売を心待ちにしている人は、少しでも早い発売実現を願って、SNSで、あるいは心の中で熱いラブコールを送って、少しでも早く発売されることを祈っておきましょう。

 2024年1月28日までは「MITSUOKA富山ショールーム」に展示されているそうなので、実車が見たいという人は訪れてみてはいかがでしょうか。

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