■「50万円以下で購入できる」と話題になった電気自動車(EV)が値上げした背景とは
登場当時「50万円以下で購入できる」と話題になった電気自動車(EV)「宏光 MINI EV」は、2021年の中国でもっとも販売されたEVとなりました。
【画像】「50万円以下で買えるEV」として話題となった「宏光 MINI EV」の実車を見る!(15枚)
しかし、2022年3月には値上げがおこなわれましたが、背景にはどんな事情があるのでしょうか。
世界の主要な国々では普及推進政策がとられているEVですが、日本では価格の高さや航続距離、充電インフラなどの問題から新車販売に占めるEV割合は1%程度となっています。
一方、世界最大の自動車販売市場である中国では、2021年のEV販売台数が291万台にもおよび新車販売台数全体の約11%となっています。
2020年比で見ると、EVの販売台数は2.6倍となっており、電動化が急速に進みつつあることがうかがえます。
中国が世界有数のEV大国となっている背景には、補助金や税制優遇など政府による強力な政策があることはいうまでもありません。
そして、宏光 MINI EVのような格安EVが登場したことで、中国の地方部ではついに「1人1台」の時代が来たといわれています。
その点で、宏光 MINI EVの功績は非常に大きいといえますが、一方で、2022年以降はこれまでどおりの販売台数は期待できないという見方もあります。
2020年に発売された宏光 MINI EVは、2万8800元(当時レート約46万5000円/2022年5月レート約54万6400円)、3万2800元(約53万円/約62万2000円)、3万8800元(約62万7000円/約73万6000円)となっていました。
しかし、2022年3月24日に宏光MINIEVを含む複数のEVの値上げを発表しました。
値上げ幅はおよそ7万7000円から11万6000円となり、それぞれ3万2800元(2022年5月レート約62万2000円)、3万8800元(約73万6000円)、4万4800元(約85万円)となっています。
それでも、一般的なEVに比べれば格安ではありますが、今後の情勢によってはさらなる値上げがおこなわれる可能性もあります。
値上げのおもな原因は、EVの心臓部であるリチウムイオンバッテリーの原材料となるリチウムやニッケルなどが大幅な値上がりを見せていることです。
EV最大手のテスラも、同様の理由からいくつかのモデルで値上げをおこなっており、中国ではそのほかのEVメーカーも続々と値上げを発表しています。
EVが推進されればされるほど、リチウムイオンバッテリーやその原材料となる各資源の確保が最重要課題となります。
テスラやCATL、BYDといった車載用リチウムイオンバッテリーの大手では、高騰を続ける資源に対応するために、調達方法を変更するなどの対策をおこなっていますが、それでもなお販売価格への転嫁は避けられないようです。
当然、この流れは日本の自動車メーカーにも影響を与えることになります。
日本の場合、モデルライフの途中で本体価格を改定することはあまりありませんが、モデルチェンジのタイミングで価格を改定したり、あるいは装備や仕様を変更することで事実上の値上げとなる可能性は否めません。
日本をはじめとして、EVを推進する国は少なくありませんが、その道のりは決して平坦ではなさそうです。
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