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シルキーシックスが魅力の核 BMW X3 M50へ試乗 適度なサイズが生む出色の運転体験

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シルキーシックスが魅力の核 BMW X3 M50へ試乗 適度なサイズが生む出色の運転体験

守備範囲が極めて広いB58型ユニット

BMWファンの多くは、モデル名以上にコード番号で車種を識別することが少なくない。初代M3はE30型で、現行の3シリーズはG20型、5シリーズはG60型と呼ばれている。その方がわかりやすい、という読者はいらっしゃるだろう。

【画像】適度なサイズが生む出色の運転体験 BMW X3 M50 サイズの近いスポーツSUVたち 全139枚

1歩踏み込むと、エンジンにもコード番号が振られている。例えばE30型に載っていた4気筒エンジンは、B23型と呼ばれる。最近のユニットで外せないのは、B58型。3.0L直列6気筒ガソリンターボで、傑作の1つに数えていいだろう。

守備範囲は広く、現行の3シリーズ、340iだけでなく、BMW X5にも搭載されている。今回試乗した、X3 M50の動力源でもある。

活躍の場は、メーカーの枠を超える。ロードスターのモーガン・プラス・シックスに、SUVのイネオス・グレナディア、2ドアクーペのトヨタ・スープラにも採用されている。BMW本社の一角には、このエンジンを崇める祭壇があるかもしれない。

AUTOCARでは既に、新しい4代目X3へ試乗している。だがそれには、2.0L 4気筒ガソリンターボが積まれていた。リフレッシュされたスタイリングやインテリア、悪くない実用性を備えることは確かめている。しかし、走りのダイナミックさは高くなかった。

では、この傑作ユニット、B58型エンジンを積んだらどうなるのか。果たして、X3の印象は更に良くなる。訴求力は確実に増す。

最高出力398ps 0-100km/h加速4.6秒

X3 M50は、正式なMモデル、X3 Mではない。BMWが呼ぶところの、Mパフォーマンスではある。それでも、動力性能は高水準。最高出力は398ps、最大トルクは59.0kg-mが主張され、0-100km/h加速は4.6秒で処理される。

滑らかに回転し、ターボラグは最小限。ザラついたノイズも抑えられている。スロットルレスポンスは抜群で、即座に痛快なパワーが繰り出される。多くのBMWへ載る8速ATとの相性も素晴らしく、豪快にボディを突き進める。

X3 M50では、シャシーの能力にも唸らされる。アダプティブダンパーはオプションだが、減衰特性は素晴らしい。高速域でも乗り心地がしっとり落ち着くことはないものの、カーブでの安定性は圧巻だ。

ステアリングは極めて正確。適度な重み付けで、手のひらには、不満なく路面の情報が伝わってくる。四輪駆動システムのトルク分配は、明らかにリア寄り。間違いなく、運転の楽しいSUVだ。

普段使いとの親和性は、出色とまではいえないだろう。乗り心地は、どのモードでも硬め。滑らかな路面でも、細かな揺れは続く。コンフォートというモード名へ、疑問を抱きたくなるほど。更に引き締まる、スポーツ・モードも用意される。

もっとも、シートは設計に優れ、遮音性は高い。大きく不快なわけではない。

パワートレインで気になった点が1つ。8速ATは、DとRとの切り替え時に、長めの一呼吸がある。駐車時の切り返しなどは、焦らずギアが入ったことを確かめたい。

グラフィックや内装には指摘したい部分も

インテリアは、ワイドなモニターパネルとライトバー・トリムを獲得。光沢の強いプラスティック製パネルが目立ち、一部の部品はソリッド感が足りず、高級感は上昇していないがモダンになった。

ダッシュボードやドアの内張りは、最近のミニを真似たのか、クロスで覆われている。肌触りは良いものの、上級SUVにふさわしい処理とはいい難いだろう。

車載機能の操作の多くは、タッチモニターへ集約されているが、その位置はドライバーの手元から遠い。表示されるアイコンは小さめで、目的の項目へ辿り着くまでに、多くのメニュー項目から探り出す必要がある。

またモニターの表示は、右ハンドル車へ最適化されていない。アイフォン・ユーザーなら頻繁に利用したいであろう、アップル・カープレイのメニューは左端に位置する。

センターコンソールには、従来的なロータリー・コントローラー。ないより遥かにマシだが、前後左右へ押すにはかなり力が必要で、項目を選ぶ妨げになっている。クルクルと、滑らかに回転はするけれど。

その周辺にはショートカットボタンが並ぶものの、すべて触感が同じで、指先を見なければ正しいボタンを押せない。結果的に、前方から視線を移す時間は期待ほど短縮できていない。

メーター用モニターには、スポーツ・モードを選ばない限り、タコメーターが表示されないのも疑問。Mを冠したモデルにも関わらず。そのモードのまま、サスペンションをコンフォートへ変更することは可能だが。

選びたいと思わせる、最大の要因はシルキー6

運転体験は間違いなく素晴らしい。6気筒エンジンは特に。しかし長い時間を過ごすと、本来あるべきものが省かれたインテリアによる、車載機能の使いにくさが気になり始めてしまう。この点では、ボルボEX90ほどではないものの、それと評価は遠くない。

シルキーなB58型ユニットが、新しいX3 M50を選びたいと思わせる、最大の要因だといっていい。高速道路の巡航なら、燃費は13.5km/Lまで伸びる。1週間お借りした平均値でも、11.7km/Lを残してくれた。性能を考えれば、驚かずにはいられない。

魅力的な多気筒ユニットを搭載した、大きすぎないモデルは希少な存在になっている。ライバルのメルセデスAMG GLC 43に載るのは、直列4気筒ターボだ。V6エンジンを搭載した、ポルシェ・マカンは製造が終了してしまう。

もっとも今なら、新しいアウディSQ5とランドローバー・レンジローバー・ヴェラールでも、まだ6気筒エンジンは選べるけれど。英国価格はだいぶ高い、アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオと、マセラティ・グレカーレ・トロフェオでも。

BMW X3 M50 xドライブ(英国仕様)のスペック

英国価格:6万8480ポンド(約1335万円)
全長:4755mm
全幅:1891mm
全高:1660mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:12.7km/L
CO2排出量:178g/km
車両重量:1980kg
パワートレイン:直列4気筒2998cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:398ps/5200-6250rpm
最大トルク:59.0kg-m/1900-4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

1件
  • oce********
    B58エンジンはデビューから10年が経過している。
    本来ならば後継エンジンが登場してもおかしくないが、電動化に向かうこのご時世に新規開発はもう無いでしょう。
    しかしB58エンジンは素晴らしい。N55も良かったが、確実に進化している。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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