自他ともに中年と認めるぐらいの年齢になってくると、10年か20年ぐらい前の出来事も「ついこの間のこと」のように思えてしまう。
だが冷静に考えれば、10年前あるいは20年前というのは十分「昔」であろう。
昭和40年代男である筆者からすると、平成前期にデビューした国産車などは「ちょっと前に登場した車」という気がする。だが、若年層のカーマニアに言わせると、そういった国産車は「ちょっと前」どころか「レトロな旧車」なのだそうだ。まぁそうなのだろう。彼らの感覚のほうが、たぶん正しい。
であるならば、「絶版名車」と呼ぶべき車の年次もアップデートさせるべきなのかもしれない。
例えば自動車愛好家からは「996(キューキューロク)」と呼ばれている3世代前のポルシェ911だ。あれも、そろそろ「絶版名車」として扱うべき対象になったのかもしれない──と思うのだ。
ポルシェ911という車はその昔、世の趨勢が水冷方式のエンジンになって以降もかたくなに、空冷方式という古い冷却方式を継続させていた。だが1998年にはさすがに「空冷方式のままでは現代のさまざまな要求を満たせない」ということで伝統の方式を捨て、すべてのエンジンを水冷方式へと刷新した。
その刷新第1世代となったのが、ここで紹介する「タイプ996」という型式名のポルシェ911だ。
タイプ996は当初、守旧派的な自動車愛好家からはさほど高く評価されなかった。いや、むしろ低評価ですらあったはずだ。
否定派の主たる言い分はこうだった。「なんだか乗用車っぽい」と。
タイプ996のエンジンは、冷却水とその関連部品によって本体がシール(密閉)されている。そのため、それまでの空冷エンジンのような野性味あふれるエンジン音はコクピットに進入してこない。そして同時にその他さまざまな点も(当時なりの)モダンなニュアンスに改められたため、「フツーの乗用車を運転してるようでつまらん」との烙印をマニアから押されたのだ。
その意見、つまり「タイプ996は(それまでの911と比べれば)普通の乗用車的である」という見解には筆者もおおむね同意はする。古典的なスポーツカー世界を存分に味わいたいのであれば、それ以前の空冷世代を買ったほうがおそらくは満足できるだろう。
だが世の中全般の諸々が変化するにつれて、タイプ996の立ち位置というか印象も変わってきた気がしてならない。
例えば「サイズ感」だ。
往年のポルシェ911は全幅1700mmに満たないナローな車だった。だが空冷世代の最後にその全幅は1700mmを少しだけ超え、タイプ996からは全幅1770mmとなった。これをもってタイプ996は「肥大化した(デブった)」と言われたし、筆者も、当時はそのように思った。
しかし、2019年の今になってみると、タイプ996はもはや「そこそこナローな車」でしかない。
タイプ996の全幅は前述のとおり1770mmだが、日本で売られている最新型911の全幅は1.8m超えの1835mm。そろそろ登場するはずの次期型911にいたっては1852mmだ。さらにホンダのシビックですら最新型の全幅は1800mmであることを知れば、全幅1770mmのタイプ996が「そこそこナローでタイトな車」だということがおわかりいただけるのではないか。
またコンピューター制御の分量についてもそうだ。
1990年代の末にデビューした996は、さすがにそれまでの911のように牧歌的な車ではない。車内ではCANと呼ばれる通信プロトコルを通じてさまざまな電子制御が行われている。
だがその通信の総量は、最新の911と比べれば圧倒的に少ない。
そのため、さすがに往年のクラシックカーのような「完全手動制御の愉しみ」は味わえないまでも、ほぼ完全なコンピューター仕掛けとなった現代の車と比べるなら十分以上の手動っぽさ、すなわち「この機械を操縦しているのは自分だ!」との感慨は得ることができるのだ。
ドイツのポルシェ本社は発売から10年以上が経過したモデルを「クラシック」と認定し、世界中の「クラシックパートナー」と呼ばれる専用の拠点で、専用の訓練を受けたメカニックによる手厚いメンテナンスを提供するなどしている。
そしてタイプ996のデビューは前述のとおり1998年、つまり今から20年前であるため、この車はポルシェ社的にも正式な「クラシック」である。
だが筆者が言っているのはそういった「大企業内における定義の問題」ではない。
このようにナローで、現代のかなり大柄なスポーツカーと比べれば十分軽量で、そしてコンピューター仕掛けの部分も少なめな車から今、「クラシカルで好ましいムード」が若干立ちのぼりはじめたのではないか?──ということを言っている。
これをお読みになり、もしもタイプ996に対するご興味が少しでも湧いたなら、世の中にさまざまある中古車情報サイトを開いて「検索」していただければと思う。
その際、できれば01年9月以降の「後期型」と俗に呼ばれている年次に絞って探すことを、筆者としてはおすすめしたい。
タイプ996という車は、エンジン内部にあるインターミディエイトシャフトという部分に実はかなりの問題を抱えていた。すべての996のすべてのインターミディエイトシャフトが破損するわけではないが、「逆宝くじ」のような感じでこれに「当選」してしまうと走行中にエンジンが壊れ、その修理代は100万円から200万円ほどに達してしまう場合が多い。
だが後期型の正規輸入車であればポルシェ社による「サービスキャンペーン」の対象となっているため、正規販売店にて無償で当該部分の点検および対策修理を受けることができるのだ。場合によっては新品エンジンに交換となるケースもあると聞く。その場合でも、お代はもちろん無料である。
当然ながらサービスキャンペーンに基づく点検・修理は何度も繰り返し受けられるものではない。また対象となる年式も正確には「後期型」というざっくりした区分ではなく、型式番号によって厳密に定められている。
そのため「詳しくは最寄りの正規販売店にお尋ねください」ということになるわけだが、いずれにせよ、インターミディエイトシャフトという鬼門についても確実なセーフティネットがあるのだということを念頭に置いたうえで、「絶版名車」の世界に片足を踏み入れつつあるタイプ996(の後期型)にご注目いただければと思うのである。価格は、走行距離短めの個体であってもおおむね300万円からだ。
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