■バッテリーなどがコストダウンするEV、排ガス処理のコスト負担が大きくなるエンジン車
欧州におけるEVブームをリードしているのはフォルクスワーゲン(VW)。2050年までにVWグループ全体をCO2ニュートラルにすると発表しています。「CO2ニュートラル」とは「カーボンニュートラル」と書かれることもありますが、再生可能エネルギーやバイオマスを活用することで新たにCO2を放出しないということを意味しています。つまり、VWグループは製造からリサイクルまでクルマの一生において化石燃料に頼らないクルマ作りを行なうことを目指しているというわけです。
その主役となるのはEV(電気自動車)です。VWでは2022年までに欧州と中国、北米においてEVの生産を予定していますし、2025年には70車種ものEVを発売することを宣言しています。そのために「MEB(モジュラー エレクトリック ツールキット)」や「PPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)」と呼ばれるEVプラットフォームの開発をコアテクノロジーとして進めています。さらにEVの制御において「vw.OS」と呼ばれる基本ソフトを開発しているほどです。グループの総力をEV開発に結集していると感じさせられます。
とはいえ、大量の二次電池を必要とするEVは生産時に排出するCO2が多いだけでなく、コスト面でもエンジン車とは比べ物にならないほど高いというのが、これまでの定説でした。仮にエンジン車とEVの製造コストが逆転するとしてもまだまだ先の話であり、しばらくはハイブリッドを含むエンジン車が主役であろうということは複数のメーカーが主張していますし、多くの有識者も同様の意見を持っているようです。
しかし、VWの主張は異なります。2020年代の前半にはEVの生産コストがエンジン車を下回るであろうと予測しているのです。その理由のひとつはEV自体のコスト減です。バッテリーなどの代替材料の開発、生産規模の拡大に伴うスケールメリットなどで、加速度的にコストダウンするといいます。それでも現代のエンジン車よりコストを抑えることは難しいようですが、一方でエンジン車のコストも上がると考えられるのです。
その主張を理解するためのキーワードは「EURO 7」といういっそう厳しくなる排ガス&燃費規制。2021年に『EURO 7』が実施されると、その対応にエンジン車のコストが上昇すると考えられています。平均燃費で95g/kmという、この新基準においては内燃機関だけでの対応は不可能に近く、ハイブリッドシステムの搭載は不可避とも言われています。しかしながらハイブリッドカーというのはエンジンとモーターとバッテリーを搭載しています。もしバッテリーのコストがどんどん下がっていくとすると、エンジンの分だけハイブリッドカーは製造コストの面で不利になってきます。
そうしてハイブリッドカーを含むエンジン車のコストがEVのそれを上回ってしまう、だからこそEVに注力すべきというのが、VWの考えるシナリオです。コストが逆転するのは2021年に始まり、2025年には明確な差が開いているであろうと、同社は予想しているのです。
「EVといっても発電時にCO2を出しているのであれば意味がない」という主張もありますが、VWでは温暖化への影響がない再生可能エネルギーによる電力を充電用として提供することも含めて、EVによる環境対応を考えています。そこまで考慮しているからこそ、EVにシフトすると堂々と宣言できるわけです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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