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1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 4台比較 後編

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1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 4台比較 後編

舗装の古い区間でも一貫性の高い操縦性

ルノー・アルピーヌ GTA V6ターボやポルシェ911 カレラ3.2 SEより、フェラーリ・モンディアルのトルクはクアトロバルボーレでも細め。しかし回転数が高まるほど、心を震わせるフラットプレーン・クランクの快音を放ちながら、勢いよく路面を蹴り進む。

【画像】1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 現代版モデルも 全146枚

絶対的な速さは、そこまでではない。それでもドライバーとパッセンジャーを、ドラマチックな時間で包む。

高速域では、落ち着いたステアリングホイールの感触が増していく。サスペンションは適度にしなやかで、バランスに長けたシャシーの能力を引き出しやすい。シリアスなスーパーカーに並ぶエッジーな刺激はないものの、得られる充足感は4台で最も深い。

ロータス・エクセルは、今回のなかでは特に本域へ迫りやすい。最高出力は、高性能な1986年式のSEグレードでも182psと控えめながら、親しみやすさでは1番。ダイレクトに反応するステアリングを通じて、路面の状態が手のひらへ鮮明に伝わる。

サスペンションのストロークは長く、乗り心地はマイルド。舗装の古い区間でも、一貫性の高い操縦性は変わらない。

ロータスのツインカムヘッドが載った2.2L 4気筒エンジンは、英国郊外の一般道にベストマッチ。圧縮比は10.9:1へ高められ、アグレッシブなカムシャフトが組まれている。ツインキャブレターへ盛大に空気を吸わせながら、目一杯回しきれる。

典型的なクラシック・ブリティッシュ・スポーツ

ロータスはエクセルを1982年に発売したが、ベースとなったのは、それまで8年間生産されていたエクラ。バックボーン・シャシーは最新ではなかったが、モダナイズされたFRP製ボディをまとい、従来以上の信頼性も目指されていた。

その大切な役目を担ったのが、駆動系を中心としたトヨタ製の安定したコンポーネント。Cd値0.32という滑らかなスタイリングも、有能なドライバーズカーとしての評価を後押しした。

エクセルの頂点を飾ったのが、1991年に提供されたセレブレーション仕様。グレートブリテン島南東部、ヘセル工場の創業25周年を記念したグレードで、モデル末期を控え更なる上質さが追求されていた。

特徴といえたのは、深みのある艶を放つダークグリーンの「マルケ・ロータス・メタリック」塗装と、ゴールドに塗られたアルミホイール。インテリアはタン・レザーで仕立てられ、ウールのカーペットとエアコンが標準装備された。

車内空間は、正直なところ窮屈。シャシー構造のハードポイントが車内に侵入し、レザーで覆われてはいるものの、ドライバーの膝下へ迫る。リアシートは座面が低く、膝を抱えて座るスタイル。エンジンの熱が背もたれから伝わってくる。

実際に公道を飛ばしてみると、主張されたほど高い洗練度にある高性能マシンとは呼べない。走行性能は低くないものの、ある程度の妥協から逃れられない、典型的なクラシック・ブリティッシュ・スポーツの1台に含まれる。

完璧ではないバランスの動的特性も個性

走行中は、熱せられたプラスティック部品が特有の匂いを放つ。インテリアのデザインは、どこか説得力に欠ける。それでも、エクセルには得もいわれぬ魅力が漂う。

「エクセル・セレブレーションの印象は、最後のフロントエンジン・ロータスに相応しい。最高なエスプリを持ってきても、気が移るようなことはないでしょう」。と、現オーナーのロブ・メプステッド氏が笑顔で話す。

しなやかなドライビング体験は、流麗なスタイリングと調和している。現在の英国では、コストパフォーマンスも秀抜。気持ち良いエンジンに洗練された内装で、長距離にも問題なく使えるクラシック・ロータスだ。

新車時は充分な人気を得られなかったが、エスプリへ共感する層にとっては、従来以上に惹かれる存在になっているのではないだろうか。同じくらい走りが軽快で、優れたマナーとインテリアを備えた同時期のモデルが存在するとしても。

ルノー・アルピーヌ GTA V6ターボは、少々上品すぎるかもしれない。スーパーカーを上級役員にも親しみやすいクルマへしようという、ルノーの意志を感じる。

大胆な見た目やTURBOのグラフィックとは裏腹に、2.5L V6ターボエンジンの特徴は控えめ。高回転域まで引っ張ればパワーが高まり、過給されるサウンドも好ましいが、1番の得意分野は大陸横断のような高速での長距離クルージングだ。

とはいえ、クラシカルなリアエンジン・スポーツカーとして、バランスが完璧ではない動的特性も現在では個性の1つ。宇宙船のようなスタイリングは、新鮮にすら映る。

最もドライバーを満たすモンディアル

この4台で最も高性能なのは、ポルシェ911 カレラ3.2だろう。クラシック・ポルシェの人気が高止まりしている現在は、他の3台より多くの羨望を集めるモデルでもあるはず。

リアシートへ大人を座らせることは、現実的に難しいかもしれない。だが、Gシリーズの911には、多少の不便を受け入れたいと思わせる恒久的な魅力がある。

それ以上に、1980年代の2+2スポーツとして最もドライバーを満たすのは、フェラーリ・モンディアルだと思う。期待を超えるドラマチックさと、実用性を兼ね備えている。ディティールまで、しっかりイタリアン・エキゾチックしているのがうれしい。

協力:ウィルトシャー・ウィックボトム・バーン、ロータスビッツ、ジョン・ロー・エンジニアリング

1980年代の2+2スポーツ 4台のスペック

ポルシェ911 カレラ3.2(1984~1989年/英国仕様)

英国価格:3万2849ポンド(新車時)/7万ポンド(約1267万円)以下(現在)
販売台数:7万6473台
全長:4290mm
全幅:1652mm
全高:1320mm
最高速度:244km/h
0-97km/h加速:6.1秒
燃費:7.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1280kg
パワートレイン:水平対向6気筒3164cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:234ps/5900rpm
最大トルク:28.8kg-m/4800rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

ロータス・エクセル SE(1982~1992年/英国仕様)

英国価格:1万7980ポンド(新車時)/2万ポンド(約362万円)以下(現在)
販売台数:2075台
全長:4398mm
全幅:1816mm
全高:1207mm
最高速度:210km/h
0-97km/h加速:6.8秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1168kg
パワートレイン:直列4気筒2174cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:182ps/6500rpm
最大トルク:22.7kg-m/5000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

フェラーリ・モンディアル・クアトロバルボーレ(1982~1985年/英国仕様)

英国価格:3万7950ポンド(新車時)/5万ポンド(約905万円)以下(現在)
販売台数:6942台
全長:4580mm
全幅:1790mm
全高:1250mm
最高速度:231km/h
0-97km/h加速:6.8秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1430kg
パワートレイン:V型8気筒2927cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:240ps/7000rpm
最大トルク:26.4kg-m/5000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

ルノー・アルピーヌ GTA V6ターボ(1984~1991年/英国仕様)

英国価格:2万3635ポンド(新車時)/2万ポンド(約362万円)以下(現在)
販売台数:6942台
全長:4330mm
全幅:1754mm
全高:1197mm
最高速度:249km/h
0-97km/h加速:6.0秒
燃費:7.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1180kg
パワートレイン:V型6気筒2458ccターボチャージャーSOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:202ps/5700rpm
最大トルク:28.9kg-m/2500rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

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