■10年以上もフルモデルチェンジしていないクルマたち
クルマのフルモデルチェンジサイクルは、かつて4年が目安でした。しかし、近年は6年から8年になり、日本のみならず海外でも同様な傾向にあります。
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どんなに魅力あるクルマでも、長く売り続けていると魅力が薄れてきてしまうため、フルモデルチェンジをおこなうか、生産を終了するかの選択が迫られます。
一方で、フルモデルチェンジをおこなうことなく、長く販売を続けているクルマが存在。そこで、10年以上もフルモデルチェンジしていないロングセラーなモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「デリカD:5」
ミニバンでありながら、高いオフロード走行性能を持つ三菱「デリカD:5」は、アウトドア派のファミリー層から絶大な人気があるクルマです。
初代「デリカ」はトラックとして1968年に発売されました。そのトラックをベースにワゴンタイプが作られ、2代目で4WDの「デリカ スターワゴン」が加わり、その後に続くデリカ=4WDというイメージが定着しました。
現行のデリカD:5は2007年1月にデビューし、細かな改良が続けられ、2019年2月にはフロントフェイスを大幅に変更したビッグマイナーチェンジが大いに話題となりました。
エンジンは2.2リッター直列4気筒ディーゼルと、2.3リッターと2リッター直列4気筒ガソリンの3種類が用意され、多様なニーズに応えます。とくにディーゼルエンジン車はミニバンとして唯一の存在で、デリカD:5の価値を高めています。なお、ガソリンエンジン車は従来型デザインのまま併売されています。
4WDシステムは3つの走行モードが選べる電子制御式で、様々な路面状況に対応。最低地上高が210mmあるので、新雪路や凸凹の激しい不整路でも高い走破性を実現しています。
デリカD:5は、ミニバンながらSUVという唯一無二の存在ですから、もうしばらくはこのまま販売されることでしょう。
●トヨタ「プレミオ/アリオン」
トヨタの小型セダン「プレミオ/アリオン」は、じつは隠れたロングセラーです。現行モデルの発売は2007年6月で、何度かの改良があったもののフルモデルチェンジすることなく、もう12年以上経ちましました。
この2台は姉妹車で、ともに初代が2001年に発売されて、現行モデルは2代目になります。
搭載するエンジンは1.5リッター、1.8リッター、2リッターと、すべて直列4気筒ガソリンで、ハイブリッドは設定されていません。
ボディサイズは全長4595×全幅1695×全高1475(プレミオ、2WD)と全車5ナンバー枠に収まり、市街地でも使いやすいサイズになっています。
また、プレミオ/アリオンは、比較的年配の方がターゲットとなっており、2016年からは先進安全技術の「Toyota Safety Sense」が一部グレードを除き標準装備されるなど、安全面をサポート。
プレミオ/アリオンには際立った特徴がありませんが、基本に忠実に作られたセダンです。そうでなければ12年以上ものロングセラーにはなり得なかったでしょう。
●トヨタ「ランドクルーザー」
「キング・オブ・オフロード」にふさわしい悪路走行性能と、長い歴史を誇るのが「ランドクルーザー」です。砂漠や草原、岩地や湿地など、道なき道を走るために選ばれ、いまでは世界150か国で活躍しています。
現行モデルのランドクルーザー 200系は2007年9月に発売され、幾度かのマイナーチェンジを経ていまに至ります。
エンジンは4.6リッターV型8気筒ガソリンエンジンを搭載し、最高出力は318馬力。組み合わされるトランスミッションは6速ATのみで、全グレードで共通です。
走る場所によって5つの走行モードが選べ、各路面に適した4輪制御をおこなうなど、高度な電子制御により高いオフロード性能を実現してします。
また、ランドクルーザーで特筆すべきものとして「クロールコントロール」があります。これは砂地などで車輪が埋まってしまっても、エンジンの出力とブレーキを自動でコントロールして、脱出が図れるという走行モードです。
砂漠でタイヤが埋まって走行不能になれば、命の危機と直結しますので、世界中でランドクルーザーが選ばれるのもうなずけます。
■日産を代表するスポーツカー2台もロングセラーなクルマ
●日産「GT-R」
「GT-R」の系譜が途絶えて16年後の1989年にR32型 「スカイラインGT-R」が発売されました。1995年にR33型、1999年にR34型が発売されましたが、2002年に再びGT-Rの系譜が途絶えます。
そして2007年12月に満を持して発売された日本のスーパーカー、日産「GT-R」は2019年で発売から丸12年になります。
ドイツのサーキット「ニュルブルクリンク」で鍛え上げられた運動性能は、発売当時、他の追随を許さないほどでした。また、最高速度も300km/h以上で、走行性能や加速性能はGT-Rの何倍もの価格のスーパーカーを上回る実力を持っていました。
搭載するエンジンは3.8リッターV型6気筒ツインターボで、発売後から毎年のように性能向上が図られ、当初480馬力だった出力も2018年モデルからは570馬力になり、「GT-R NISMO」では600馬力を誇ります。
また、2019年は初代スカイラインGT-R発売から50年という大きな節目の年で、それを記念して「50th アニバーサリー」を発売。さらにGT-R NISMOの2020年モデルを発売するなど、誕生12年を経ても進化を続けています。
GT-Rは日本の高性能車のなかでも、いまだトップクラスの性能で、今後いつフルモデルチェンジするのか、それとも生産が終わるのか、目が離せません。
●日産「フェアレディZ」
2008年12月に発売された6代目「フェアレディZ」は、初代に原点回帰したようなスタイルが話題となりました。
搭載するエンジンは「スカイラインクーペ」などで採用された、最高出力336馬力を発生させる3.7リッターV型6気筒エンジンで、高レスポンス、高出力、低燃費、低排出ガスを実現。
ボディサイズは全長4250mm×全幅1845mm×全高1315mmと大柄ながら、先代よりもショートホイールベース化され、運動性能の見直しが図られました。
発売後にも進化は続き、エンジンの中速回転域のトルクアップを図るコンピューターチューニングや、ほかにもボディ補強パーツの追加、サスペンションマウントブッシュの見直しなど、細かなチューニングが施されています。
2013年6月には、さまざまな専用装備が与えられた高性能版の「フェアレディZ NISMO」がラインナップされ、改良を続けられながら現在も販売中です。
また、2019年7月にはGT-Rと併せてフェアレディZ誕生50周年記念モデル「50th アニバーサリー」を発売。2020年3月末までの期間限定モデルとなっています。
もうすぐ発売から丸11年経ち、GT-Rと並んでロングセラーとなっていますが、いまのところ次期型の噂は聞こえてきていません。
※ ※ ※
2018年にスズキ「ジムニー」が20年ぶり、トヨタ「センチュリー」が21年ぶりのフルモデルチェンジをおこない、大いに話題となりました。
また、発売13年と現役でもっともロングセラーなトヨタ「エスティマ」が2019年で販売を終了するなど、10年を超えるようなロングセラーもだいぶ少なくなってきました。
新型車が登場するとワクワク感があり、一気に注目されますが、じつは古くても色褪せない魅力こそが名車の証なのかもしれません。
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