4代目を選ぶなら改良を受けた後期型
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
中古車市場でも高い注目を集める、スバル・インプレッサ。ラリーで活躍したハードコアなイメージと少し距離を起きたい、円熟したエンスージァストなら、スバル・レガシィ3.0Rという選択肢がある。
4代目レガシィが英国へ導入されたのは2004年だが、今回は2006年にフェイスリフトを受けた後期型に注目したい。内容の濃い改良を受け、より多くの人気を獲得した。
インテリアの質感は飛躍的に向上。5速ATにはパドルシフトが付き、SIドライブと呼ばれるドライブモードが追加されている。
フロントグリルとテールライトはスマートになり、スポーティなイメージを向上。繊細な曲面を持つフェンダーラインが、洗練されたルックスを生んでいる。ルーフに取り付けられたスポイラーと、ウインカー内臓のドアミラーも見た目をモダナイズさせた。
アルミホイールは18インチとなり、10スポークのデザインで足元を引き締める。ボディタイプは、サルーンとステーションワゴンが選べた。
もともと切れの良かったサスペンションも、手直しが入っている。シリンダーが下側に来る、フロントダンパーが特徴だ。四輪駆動車システムはそのままで、ビスカスカップリング式のセンターデフとリミテッド・スリップデフを装備する。
そして3.0R一番の注目が、3.0Lの水平対向エンジン。英国仕様では244psを発揮し、0-100km/h加速を6.7秒でこなした。AT車の場合、1.2秒遅くなる。
周囲を驚かせる走りのツーリングワゴン
選びたいのはマニュアル車だが、英国でも珍しい。AT車もシフトパドルのおかげで、トルクコンバーターのマイルドさを最大限解消はしてくれる。
コーナーへ突っ込みすぎると、ビークル・ダイナミクス・コントロール(VDC)が介入し、クルマの姿勢を整えようとする。しかしVDCをオフにすれば、後輪へ伝わるトルク割合が増加。笑みが溢れる走りが楽しめた、ドライバーズカーだ。
3.0Rは控えめな見た目とは裏腹に、高い運動性能を秘めていた。大きな荷室を備えたツーリングワゴンが本気を見せれば、周囲の人を驚かせるのに不足ない走りを披露する。でも4ドアサルーンなら、民主化された全天候型モデルとして、ジェントルに運転する方が良いと筆者は思う。
燃費は伸びず、長距離向きではない。経済性を重視したSIドライブ・モードを選択すれば、活発な3.0Lを、穏やかな2.0Lユニットのように回すことはできる。
SIドライブは、センターコンソールのロータリースイッチで選択できた。ステアリングホイールのスイッチでも、変更が可能だ。
英国で流通する中古車の場合、5000ポンド(66万円)以下のクルマは、過走行距離車が多い。しかし、インテリアの痛みが少なく整備を受けてきたレガシィなら、気配りのきく新しいオーナーを楽しませてくれるだろう。
8000ポンド(105万円)を超えたあたりから、走行距離が短くなり、日本からの並行輸入車が出てくる。このあたりのレガシィはかなり魅力的。ありふれたインプレッサにかわる選択肢として、検討する価値は十分にある。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
フロント側のタイミングチェーン・ケースとエンジン下部からのオイル漏れに注意。プラグ交換はしにくく、何年も使い続けると点火不良を起こす場合がある。
ヘッドガスケットからのオイル漏れや、オイルフィラーキャップを開けて、オイルが乳化していないかを確かめる。特に過走行車の場合、ラジエター・クーラントパイプが腐食していないかも確認したい。
トランスミッション
信頼性は高いが、MTはシンクロの状態を、ATは変速のもたつきを確かめたい。AT車の場合、シフトパドルの操作と同時に速やかに変速されるかも確認する。
可能であれば複数台試乗し、ドライブトレインからのノイズの違いを聞き分けたい。ドライブシャフトやセンターシャフトは、基本的に不具合は起こさない。
サスペンション
フロント・サスペンションのコントロールアーム・ブッシュの状態を確かめる。フロント・ウイッシュボーンのブッシュ類の状態もチェックしたい。
リア・サスペンションでは、トレーリングアーム・ブッシュが劣化しやすいものの、車検には通ることが多い。OEM部品も質は良い。
ブレーキ
フロントのブレーキキャリパーが固着する場合がある。リア側は不具合が起きにくい。
ボディとシャシー
基本的に錆びにくい。錆びている場合は、事故の修復跡であることが多い。
インテリア
SIドライブのモード変更が可能か、試乗して確かめる。モードを変えると、しっかり変化がある。スポーツシャープ・モードは、インテリジェント・モードとはかけ離れた走りをする。
オーナーの意見を聞いてみる
マーク・ハリス
「これまで9年ほど、後期型のレガシィ3.0Rツーリングワゴンを所有しています。妻がインプレッサに反対したこともあり、選びました。2006年式で、距離は27万8400kmも走っていますが、非常に信頼性は高いです」
「エンジンオイルは1万1000kmごと、トランスミッションとデフのフルードは2年毎に交換しています。エンジンは故障知らずです」
「インプレッサの魅力は変わりませんが、レガシィ3.0Rはパワーもありストレスを感じません。でも、自動車税は高く、燃費は8.9km/L以下。そこが悩みのタネですね」
知っておくべきこと
多くの専門家が、レガシィのアキレス腱として、左右のエグゾーストパイプ中央のYセクションをあげる。錆びて、排気ガス漏れしやすいという。交換部品は安価ではないが、軽度であれば修復が可能だ。
いくら払うべき?
2000ポンド(26万円)~3999ポンド(52万円)
英国では2006年式のサルーンとツーリングワゴンが中心。14万8000km走った状態の良いサルーンのAT車が、3995ポンド(52万円)で見つかった。
4000ポンド(53万円)~6999ポンド(92万円)
走行距離が短めになる。9万9000km走った2006年式のAT車で、整備記録が整ったものが4990ポンド(65万円)。フェイスリフト前の、日本からの並行輸入車も出てくる。
7000ポンド(93万円)~1万ポンド(132万円)
2006年式以降で、日本からの並行輸入のツーリングワゴンは8000ポンド(105万円)くらいから。2008年式のツーリングワゴンで、9万9000kmほど走ったAT車も7990ポンド(105万円)で見つかった。こちらは整備記録も揃い、黒いレザーのインテリアだ。
英国で掘り出し物を発見
スバル・レガシィ3.0R スペックB 登録:2006年 走行:14万8000km 価格:3995ポンド(52万円)
状態の良い3.0R。色も良く、整備記録も揃っている。ブラックレザーの内装に、サンルーフも付いている。過小評価されていることを示す、かなり手頃な価格だといえる。
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みんなのコメント
ボクサーのドロドロ音を誇るスバリストが多いですが、フラット6サウンドこそスバルが誇るべき音色だと思います。
もちろん、B4も同じ。
いつもカーセンサーには数台しかアップされない。
もう後にも先にも出てこないだろうフラット6…。