残暑に加え、不安定な空模様の続くスポーツランドSUGOでのスーパーGT第6戦、GT500クラス公式予選は、大湯都史樹がQ2アタッカーを担当した8号車ARTA MUGEN NSX-GTがポールポジションを獲得。これで前戦鈴鹿でポール・トゥ・ウインを決めている僚友16号車に続き、ホンダ陣営で“ラストイヤー”を戦うホンダNSX-GTが、後半戦の巻き返しに向け2戦連続で最速の座を射止めている。
前日搬入日からまとまった雨に見舞われた宮城県でのレースウイークは、9月16日(土)の予選日未明にもわずかに雨が落ち、サポートレースでも赤旗が発生する走り出しに。午前9時15分からの公式練習は定刻どおり始まったものの、セッション開始時点で湿度は92%というウエット宣言下での走行となった。
【順位結果】2023スーパーGT第6戦SUGO 公式予選Q2
それでも曇り空で雨を堪えたトラック上は約2時間のうちにドライアップが進み、路面温度も25度からGT300占有走行を前に29度まで上昇。GT300クラスを起因とする2度の赤旗で約15分ほどのディレイも発生するなか、午前11時05分からのGT500占有枠で23号車MOTUL AUTECH Zが“ドライ路面”で1分10秒605のトップタイムを記録することに。
背後には39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra、100号車STANLEY NSX-GTが続き、今回もトップ10のタイムギャップがわずか0.688秒という接近戦のなか、午後の予選に向けニッサン、トヨタ、ホンダの各陣営が上位を分ける展開となった。
■Q1:雨上がりの路面でドライタイヤで迎えたセッション
午後も直前のサポートレース決勝まで、ドライコンディションが維持されたものの、GT300クラス予選Q1A組開始の約20分ほど前に上空からは無情の雨が落ち始める。それでも公式予選開始14時40分での気温は26度、路面温度は29度と、路面の水量以外はほぼ横ばいとなる。
この天候条件が味方となるか、悪夢となるか。各タイヤ銘柄によってそれぞれ得意、不得意の思惑も交錯するなか、ふたたびドライ方向に転じた路面状況のもと15時13分にGT500予選Q1の勝負が始まる。
開始2分ほどで最後尾からピットを後にしたヨコハマタイヤ装着組の19号車WedsSport ADVAN GR Supraと24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zを含め、直前のGT300 Q1B組の状況から、各車ともスリックタイヤを履いてのコースインに。グリップ発動のため10分間で最大限の周回数を稼ぐべく早めの動き出しとなる。
明日の決勝も睨んだドライタイヤのセットとなるため、各車ともじっくりとウォームアップを進めると、残り5分を切り計測4周目の8号車ARTA MUGEN野尻智紀が、1分10秒498と完全ドライ条件の基準タイムを記録。その背後から17号車Astemo NSX-GTの塚越広大が続いていく。
するとその4周目の最終セクターでクリアラップ確保のためバックオフしていた38号車ZENT CERUMO GR Supraの石浦宏明が1分10秒448とタイムを更新しトップへ浮上。そこに同じ陣営内から39号車DENSO KOBELCO SARDの関口雄飛が塗り替えていくなど、ドライアップしていく路面とトラックインのタイミングや選択したタイヤコンパウンドの影響で同一車種が立て続けにベストを更新していく。
さらにチェッカー間際には、ホンダ、トヨタと続いたトップタイム更新の流れに23号車MOTUL AUTECH Zも追随。松田次生が1分10秒164までタイムを詰め、午前の好調さを持ち込む好走を披露する。
また、ニッサン陣営内では24号車リアライズの平手晃平もチェッカーラップで1分10秒390として4番手に飛び込むと、サクセスウエイト(SW)搭載量98kgで燃料流量ランクダウン措置(3段階)で最大のパワーダウンを強いられている3号車Niterra MOTUL Zの高星明誠が、カットラインをクリアする8番手に滑り込むなど渾身のアタックを決めてみせる。
最終的にトヨタ陣営からは2番手の39号車DENSOを筆頭に38号車ZENTと37号車Deloitte TOM'S GR Supraが、ホンダ陣営では17号車Astemo、8号車ARTAがQ2進出を決め、午前の3番手だった100号車STANLEYは10番手に終わる結果となった。
■Q2:3台がレコードタイムを更新する高速バトルに
同じくGT300のQ2を経たSUGOには西陽も差し始めると、セッション開始約1分ほどで37号車Deloitte TOM'Sのジュリアーノ・アレジを先頭に、39号車DENSOの中山雄一、そして石浦からバトンを繋がれた38号車ZENTの立川祐路が、幾多の名勝負を演じたSUGOでのラストアタックに向かう。
残り3分から文字どおり全8台での“ポールポジション争奪合戦”と化した勝負は、3号車Niterraの千代勝正が最初に1分10秒台へ飛び込むと、その背後から24号車リアライズ、佐々木大樹が1分10秒727で最速を乗り換え、ここからトップタイムと車種が目まぐるしく更新されていく状況に。
続いて計測5周目が本格アタックとなったトヨタ陣営は、37号車Deloitteのアレジから、39号車DENSO中山と続けて最速タイムを更新するも、直後にホンダ陣営の17号車Astemo松下信治に最初の1分09秒台を計時され一瞬のトップタイムとなる。そして若干、トラックポジションの調整を強いられた38号車ZENTの立川は、最後のワンアタックで1分10秒510としてコントロールライン通過時点で4番手に留まる。
さらに立川の歴代通算ポールポジション獲得記録を追う23号車MOTUL AUTECHのロニー・クインタレッリが、最後の最後で1分09秒486と17号車松下のレコードブレイクタイムをさらに縮める完璧なアタックを決めてみせる。
しかし、それをも上回ったのが8号車ARTAの大湯都史樹で、チェッカーラップで1分09秒413というビッグジャンプを披露し、クインタレッリのポールポジション記録上積みを阻止するとともに、前戦で僚友16号車に先行されたポール・トゥ・ウインの再演に向け、今季初の最前列を獲得。雨上がりのコンディションにも関わらず、トップの8号車、2番手の23号車、そして3番手の17号車の3台がこれまでのSUGOのレコードタイムを更新する、超速タイムバトルの予選となった。
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