軽キャンにハイエースなどのバンをベースにしたタイプなど、多くの種類が存在するキャンピングカーはいま注目の市場である。一体何を買えばいいのか? そして絶対に付けるべき機能とは何だろうか!?
そんな疑問にトヨタ カムロードベースの本格派キャンピングカーを購入したガチオーナーが応えます!! 価格がデカいだけに慎重に~
キャンピングカーオーナー激白!! ガチで購入して分かったマルとバツ
文・写真/小沢コージ
■中古で本格キャンピングカーを購入! 価格は約670万円也
著者の小沢コージ氏が所有していたナッツRVの人気キャブコン、クレソンボヤージュ
おととしひょんな事からガチなキャンピングカーオーナーとなった自動車ジャーナリスト小沢コージ。先日引越で泣く泣く手放しましたが数年乗って実感したことがあります。それはキャンピングカーは半分クルマであってクルマでないこと。マジメな話「半分不動産」的な要素が多いのです。それが楽しくもあり、大変でもあり。今回はいろいろ含めた意味での〇と×を率直にレポートしてみましょう。
ちなみに小沢が持っていたのは国内最大手のキャンピングカー専業メーカー、ナッツRV車の人気キャブコン、クレソンボヤージュ。走行3000km以下のプレミアム中古車でクオリティは新車並み。色々装備を付けると800万円以上するモデルですが、良質中古で668万円。装備は充実で車内は新車並みにキレイ。コスパ的には大満足でした。
■キャンピングカーは大きく3種類! 国産ビルダーなら修理もフツーのクルマと同じ感覚
ここで最初の〇と×ですが、キャンピングカー最大のネックに価格があります。特にみなさんがイメージしがちな大型モデルは正直安くない。輸入車になると新車で1000万円超えはザラ。装備によってもガクンと価格に差が出ます。
とはいえここは選び方次第。かつて80年代頃まで、日本でキャンピングカーといえば輸入車がほとんどでしたが、90年代以降は国産ビルダーが数多く出現。高温多湿で道の狭い日本向けの国産キャンパーが数多く作られ、確実に使い易く選び幅が増えています。今のキャンピングカーブームはまさしく日本地場メーカーの頑張りによるものなのです。
特に小沢オススメの国産キャンパーはざっくり3タイプ。一つ目は小沢も乗ってたトヨタの小型トラックベースの「キャブコン」、二つ目はハイエースやキャラバンなどバンベースの「バンコン」、三つ目は軽自動車ベースの「軽キャンパー」です。新車価格はキャブコンがざっくり800万円前後、バンコンが500万円前後、軽キャンパーが200万円前後と幅広い。
また新車の他に中古キャンパーも選ぶことが出来、最近品不足で価格的には高めですが、選べばキャブコンでも400~500万円で良質なものが手に入ります。なにより中古で装備が壊れても、生産工場に国内にあるので安心。かつて最悪の場合、本気で壊れたら海外に問い合わせる必要がありました。
■軽キャンは玄人向け!? キャンピングカー3種の違いが衝撃的
大きな車格の中にリビングとベッドルームを載せて走るイメージのキャブコン。まさにそれこそがキャブコンの魅力なのだ
ただしこの3タイプは使い勝手と使いやすさが段違い。メリット&デメリットが全然違い、一口に同じキャンピングカーとは言えないくらいです。まずキャブコンは小沢の勝手なイメージでいうなら「動く2DKマンション」。価格は張りますが全長5m弱×全幅2m強の国内最大サイズの敷地の中に、キングサイズやダブルサイズ以上のベッドが2つも置ける。同時にキャビン中央に大人4~5人座れるにダイニングスペースも設けられます。
みなさんの漠然としたイメージの中ではキャンピングカーは「動く家」だと思いますがまさにその通り。子供を含む家族4~5人がディナーをとった後、そのまま寝ることができるのです。
オマケに60Lクラスの冷蔵庫や専用エアコンは基本常備。マジメな話、価格なりの素晴らしさは小沢が保証します。また5×2mのボディはまさに日本のコインパーキングに止められるギリギリ。運転が上手ければどこでも行けます。地盤が緩いところはダメですが。
比べるとバンコンは「1DKマンション」。こちらはワンボックスとしてお馴染みのトヨタ・ハイエースや日産キャラバンベースで敷地面積はキャブコンと大差ないどころか、ロングボディは全長5.2mを超えます。
しかし屋根の高さが決まっているためキャブコンほど上にスペースが取れません。こちらもダブルサイズ以上のベッドを2つ設置できるのですが、1つを折り畳まないと4~5人用ダイニングスペースは作れません。そこが面倒で大人4人が同時に使えますが、寝る時にはベッドルームを作る必要が生じます。そこが少々面倒で小沢が1DKと呼ぶ理由です。
最後の軽キャンパーはまさに「1ルームマンション」。正直狭めの全長3.4m×全幅1.〇mの軽サイズの敷地にはベッドが置けて1つ。折り畳まないとリビングにならないので完璧にお一人様用。つまり軽キャンパーは一人キャンプを物ともしないクロウト向け。
よって家族向けとしてはキャブコンかバンコンがオススメですが、価格的にはキャブコンのが高めでなおかつスペース効率が優れているのともう一つ大きなデメリットがあり、それは運転です。
■運転に慣れが必要! 駐車場もかなり気を遣うゾ
魅力であると同時に弱点ともなるのがキャブコンの「大きさ」。運転が得意な人でないと狭い日本の道路を運転するのは難しい
バンコン共にどちらも国内で使えるギリギリサイズと言えますが特にキャブコンは高さが2.5m以上あって小沢のクレソンボヤージュなどは2.9m前後ありました。これは運転が得意な男性ならなんとか操れますが、運転が苦手な女性には全くお勧めできません。
狭い都内の道でかなりギリギリを通るハメになるのはもちろん、高速はまさに車高の高い貨物トラック。仕事で乗った経験のある人ならわかると思いますが、大きなボディは馴れが必要ですし、ボディの重心の高さもあって常にステアリングの修正舵が迫られ、ズバリ軽自動車しか乗ったことのない女性、あるいは運転が苦手な男性でも無理。
事実、我がクレソンボヤージュをマイ家族は一度も運転しようしませんでした。東京から盛岡往復も私がずっとハンドルを握り続けましたし、往復約2000kmを一人で走り切ったと思います。
さらに商業施設の駐車場は高さ制限2.5mのところも多く、入れないどころか気付かないでぶつけるケースもままありますし、後退時は完全にバックカメラのみでの運転。これまたそれなりの慣れと経験が必要です。
かたやハイエースのロングボディのハイルーフ仕様もキャブコンほどではありませんが運転に馴れを必要とします。恐らくコンパクトカーしか乗ったことのない運転を苦手とするタイプには難しいかもしれません。
いずれにせよ家族用に買ったとしても、軽キャンパー以外は運転を得意とするお父さんのみがドライバーとなる可能性は大です。タマにパパより運転の上手いママさんも居ますが、そういう人は非常に羨ましい!
それと郊外にお住まいの庭の大きなご自宅をお持ちの人などもほぼ問題ありませんが、小沢のような都内在住者は駐車場もなかなか厳しいものがありました。それまでBMWミニを置いていた自宅駐車場には置けず、別に月2万円強で大きめの駐車場を借りました。
■維持費は意外と安い! 所有するには精神的余裕が必須(笑)
維持費は意外にどうにかなる! あとは「気のもちよう」が重要だ!?
一方維持費ですが逆に予想より安く済む部分もありました。基本、本格的なキャンパーは8ナンバー(軽は除く)で初回車検が2年に減らされるのですが、同じ排気量の小型トラックよりも自動車税は1割ぐらい安くなります。
例えば3L車で本来が5万円前後のものが約4万円になったりします。とはいえ排気量は乗用車としては大きめですし、お金は掛かります。重量税も3ナンバー車よりは割引きが利きますが、なにしろ車重が3トン前後ですからそれなりです。
なによりも1番キャンピングカーで厳しかったのは金銭的余裕以上に時間的、精神的な余裕を必要とすることです。これは持ち主の性格や仕事にもよりますが週末にも業務があり、なおかつ子供が大きく育ってしまったような人はなかなか使い切れません。本当にキャンプが好きでお一人様ウエルカムだったり、渓流釣りが趣味でちょくちょく山に行くような人しか難しいかもしれない。
あるいはほんの2時間でも週末時間ができれば、公園でボーッとキャンピングカーで寝るような使い方もありますが、本気で毎週末キャンピングカーを使って遠出出来る人はなかなかいないかと思います。
要は別荘やプレジャーボートのようなものです。最初は楽しく使っても、1年2年それ以上本当にを通して毎週毎月使い続けられる人がどれだけいるのか? お金の余裕以上に、自分に時間があるのか? 趣味があるのか? が問題です。
いろんな意味で余裕ある人にしか本当の意味でキャンピングカーは使い切れないのです。そう言う意味ではリタイアしたお金持ちには向いていると思います。事実いま日本で退職金を使ってキャンピングカーを購入、夫婦で旅行に出かける人も多いそうです。
また書いたことと多少矛盾しますが、キャンピングカー最大の喜びは「所有している」こと自体かもしれません。いつでも「遊びに出かけられる」「家族や恋人と旅行に行ける」「一人になれる」その可能性を自分が持ち続けられることがうれしいのです。そしてその可能性を適度に発揮し続ける人こそがキャンピングカーを持ち続けられるのかもしれません。
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走りなんて二の次さんの次だしね。