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ルノー、欧州CO2規制の軟化求める 「15%削減」は達成可能か? EV需要頭打ちに悩む

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ルノー、欧州CO2規制の軟化求める 「15%削減」は達成可能か? EV需要頭打ちに悩む

CO2排出量を大幅に規制

自動車メーカー各社が電気自動車(EV)の販売台数の伸び悩みを懸念する中、ルノー・グループのルカ・デ・メオ最高経営責任者(CEO)は、2025年からの欧州におけるCO2排出量目標に「柔軟性」をもたせるよう呼びかけた。

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欧州連合(EU)は、自動車メーカーにCO2排出量の平均値の引き下げを義務付けるというCO2ベースの制度を採用している。来年には、企業別平均CO2排出量を2020年の平均値から15%削減しなければならず、ルノーはEU全域でEVの販売比率を高めることを余儀なくされている。

デ・メオCEOは7月29日、同社の第2四半期決算説明会で、「目標を達成するためには、(EV販売比率が)20%を超える必要がある。おそらく22%、あるいは23%というのが我々の推定だ」と語った。

しかし、今年上半期のEU全体のEVシェアは12.5%で、特にドイツでEV購入奨励金が廃止されたことが販売に響いた。

「ここ数年、EV市場は驚くほどダイナミックになっているが、我々に求められていることを達成するのに必要なスピードには達していない」

小型車には厳しい目標

ルノーは、パートナーである日産(排出量計算のために販売台数を合算している)とともに、プラグインハイブリッド車(PHEV)に頼らず、EVとハイブリッド車を組み合わせた製品戦略をとっている。

ハイブリッド車は平均CO2排出量を減らせるが、EVほどの影響力はない。

「EV1台で基本的に内燃機関(ICE)車4台分のCO2排出量になる。この計算ではEVが鍵となる」

ルノーは製品ラインナップの電動化を進めているものの、強硬な規制に対しては批判的だ。

「目標を達成できる(メーカーがある)とすれば、それは我々だ。小型車を販売しており、ハイブリッド車(の販売)ではトップ2に入っている。そのため、我々はある程度の柔軟性を求めている」

小型車を中心とするメーカーは、より厳しい目標に直面している。メーカーは全体として、平均93.6g/kmのCO2排出量を達成しなければならない。Bセグメントのルノー・クリオのハイブリッド車でさえ95g/kmだから、これは大変な目標だ。

より重く、より高価なクルマを販売する高級車ブランドは、PHEV技術を導入しやすいことからCO2排出量を大幅に削減できる。

2025年には、PHEVの実際の走行方法(エンジンをより長く使用する)に沿うように数値の計算方法が変更されてより厳しいものとなるが、BMWやメルセデス・ベンツなどのメーカーは、それを補うためにバッテリーのサイズを大きくしている。

「PHEVは非常に成功している」と、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEOは決算説明会で述べた。

6月30日までの第2四半期に販売されたPHEVは27%増の4万4120台となり、25%減の4万5843台となったEVに肉薄した。

独VWも苦戦

しかし、EV需要の低迷はメルセデスに打撃を与え、欧州でのCO2削減が急務となっている。ケレニウスCEOは、来年発売するEVのCLAなどの新型車の需要が十分でなければ、他のメーカーと協力しなければならないかもしれないと警戒感を示した。

CO2排出量が目標値を超えると、1gにつき95ユーロ(約1万5000円)の罰金を台数分払わなければならない。これを回避するための鍵となるのが、より安価な新型EVを投入することだ。

フォルクスワーゲン・グループのオリバー・ブルーメCEOは決算説明会で、「たとえ1ユーロの罰金でも、正しくない投資だ。市場に投入する新しいBEVを主な原動力に、当社は製品攻勢を進める」と述べた。

今後は低価格のEVとして、傘下ブランドのスコダからコンパクトSUVのエルロックなどを発売する。

フォルクスワーゲンはすでに幅広い種類のEVを展開しているが、ICE車が売上の大半を占めているため、2025年のシフトに向けた準備が遅れている。

「我々の見解では、(2025年に)本当に問題を抱えているのはVWだけだ」と、環境保護団体Transport and Environmentの自動車担当シニアディレクター、ジュリア・ポリスカノヴァ氏はAUTOCARの取材で語った。

目標達成に向けてEV販売を急げば、フォルクスワーゲン・グループに20億ユーロのマイナスの影響を与える可能性があると、銀行のUBSは予測している。UBSのアナリスト、パトリック・フンメル氏は投資家向けメモに「CO2規制の遵守が大きな負担となる可能性がある」と指摘した。

来年EV販売は回復か

フォルクスワーゲンの欧州における先行受注90万台のうち、現時点でEVが約8%を占めており、今年後半には9~10%に伸びると予想されている。

ブルーメCEOによると、2025年の目標達成のために、今年後半に一部のEVの販売を控える用意があるという。

特に年末にEV販売台数を増やすことが、プール戦略と並んで重要な戦略となるだろう。

フォルクスワーゲンは過去数年間、中国企業SAIC傘下のMGとプール戦略をとってきたが、EUが中国製EVに暫定関税を課したことで大きな打撃を受けた。MGの関税はほぼ50%に達しており、この暫定関税が11月に恒久化されるかどうかに注目が集まりそうだ。

しかし、ブルーメCEOが2025年目標を緩和すべきという今年初めの発言を繰り返さなかったことは注目に値する。同社が戦略に自信を深めていることがうかがえる。

一方、BMWは2025年を心配していない。オリバー・ジプセCEOは決算説明会で、「目標を達成するのは誰にとっても厳しいことだが、我々は2025年に向けた予備計画を実行に移しているところである。それは我々の目標達成を示している」と述べた。

しかしジプセCEOは、EUが2035年に設定したゼロ・エミッション目標に対する批判を繰り返した。ICE車の場合、同年以降はカーボンニュートラルなeフューエルで走行可能な新型車しか販売できなくなる。

今年はEVが消費者から拒否されたように見えるが、心配する必要はないとポリスカノヴァ氏は主張する。「欧州では、英国を除いて2024年にEVの販売は停滞するが、2025年には持ち直すだろうというのが我々の見方だ」

その理由の1つとして、ほぼすべての大衆車メーカーが2万5000ユーロ(約400万円)以下のEVモデルを計画していることを指摘した。消費者にEVへの乗り換えを促し、来年からの厳しいCO2排出量目標を達成する助けになると期待される。

「我々の見解では、規制に柔軟性を持たせる必要はないだろう」とポリスカノヴァ氏は言う。

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みんなのコメント

10件
  • tzk********
    これは一体どのような理屈にもとずき計算してCO2排出量削減って事になっているのか、シロウトには全く分からない。もともとBEVは製造時まではガソリン車よりもCO2排出量が多い。だからルノーは納車時のCO2排出量は、増 である。あとはユーザーが運用時の排出量を減らすることでオフセットするって削減モデル。これは結局、買ったら15万キロとかまで買い換えずに乗り続けろってってことだ。
    こいつを実際に行うと消費者は車の買い替えをしなくなり、自動車メーカーの経営は困窮する。

    どう考えても持続可能社会を実現すると、自動車会社は経営を持続できなくなってしまう。

    結局、CO2削減可能かもしれないBEVを推進する事でエコしてるフリだけして、実際は以前よりもCO2の濃度上がってましたで終わりそうですけど。
    どこかで、実際にここまで減りましたって中間報告データ、出さないんですかね。
  • hos********
    EVはCO2削減するだけでなく、温暖化防止にも寄与している。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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