今年も万全のコロナ対策で開催
2021年4月9日(金)~11日(日)の3日間、幕張メッセでAUTOMOBILE COUNCIL 2021が開催されました。昨年に引き続き管轄行政の指針に沿った感染対策を万全にし、現地に加えてVirtual Mallでの有料オンライン観覧もできました。メーカー・インポーター、スポンサー展示、サプライヤー、プレミアムライフスタイル、アートギャラリー、ヘリテージカー販売店、マルシェ、オーナズクラブ、イベントオーガナイザー、合わせて58社・団体の出展があり来場者を楽しませていました。写真多めの、“行った気になる”リポートをお届けいたします。
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特別展示「マツダ ル・マン優勝への軌跡」
1991年、マツダ787Bがサルト・サーキットに史上初めて君が代を響かせてから30年。この節目の年に、ウイニングマシーンに加えて1985年型グループC2カーの737C、マツダ車としてル・マン初完走を果たした1982年型RX-7 254も合わせて展示されていました。
この3台が揃って展示されるのは今回が初めてのことだそうです。
「走らせるためにはまだレストアしなければならない部分が多いのですが、ファンの皆さんの前で早くこの3台を走らせられるようにがんばっています」
と、マツダの担当者は仰っていたので勇姿が見られる日も近いかもしれません。
このブースの特長はクルマの周囲を柵やロープで囲っていないこと。これがとてもよく、ボディタッチすれすれまで近づいて見られたし、ボディの下にカメラを差し込んでディティールも撮るということもできました。特に美しくカッコ良く撮りたいと思ったときにいい。近づいて広角レンズで撮るとデフォルメされてしまい美しくないので標準レンズから中望遠レンズを使い離れて撮りたいものなのですが、囲いがあるとそれが確実に写り込んでしまうのでできません。おかげで真横からRX-7 254の“スピードテール”を撮ることもできました。
囲わないのはこのあたりのことを考えたマツダのこだわりなのだそうです。触られたり傷つけられたりという心配はないのかと思いましたが、
「ここは大人の分別のある方しかいらっしゃらないので心配はしていません。一応遠目に見てはいますが(笑)」
とのことでした。
主催者テーマ展示「時代を進めたラリーカーの戦闘美」
ヨーロッパ勢は、1974年にアフリカン・サファリラリーに出場したランチア・フルヴィア・クーペ1.6HF、1974、75、76年にWRCマニュファクチュアラータイトルをもたらした名機ランチア・ストラトスHF Gr.4、そのあとを継ぎ1977、78、80年の三度メイクスタイトルをもたらしたフィアット・アバルト131ラリー、1983年にタイトルを取ったランチア・ラリー037エボリューション2の4台が会場中心に展示。車両の周りにはベンチが配されていたので、休憩しながらじっくり見ることもできました。
ランチア・ラリー037エボリューション2のエンジンカウルの“ご開帳”の時には人だかりができていました。
日本勢は、東アフリカ・サファリラリーで日本車として初めて三冠完全制覇を果たしたダットサン・ブルーバード1600SSS(1970年)、モンテカルロ・ラリーで3位入賞したダットサン・240Z(1972年)、1979から82年にかけてサファリラリーで史上初の4連覇という偉業を達成したダットサン・バイオレットGT(1982年)、1983年モンテカルロでデビューしたニッサン・240RS(1982年・レプリカ)、スバル・インプレッサ555WRC(1998年)、スバル・インプレッサWRC(2008年)の6台が展示されていました。
自分がラリーを熱心にチェックしていたころのマシンが一度にじっくり見られたのは眼福。日本車のコーナーでダットサンと日産のラリーカーを見ていたとき、日産の絶頂期だったこのころ、そしてその後の凋落の歴史をふと思いだし感慨にふけってしまいました。ダットサンブランドよ再び!と願わずにはいられません。
プライスタグに悶絶!を通り越して遠い目に
ヘリテージカー販売店が持ち込んでいたクルマたちは、国籍を問わず欲しくなるものばかり。ワンオーナー、低走行とどこに眠っていたのか、どんなオーナーがどんな使い方をすればこんな状態で残るのかと驚く個体も並んでいました。
子どものころ写真を撮っていたクルマ、トミカやマッチボックスのミニカーで遊んだクルマたちが会場中にたくさんありました。
ミニカーを買っていたころは「大人になったら乗る!」と思っていたクルマも社会人になったら買えたかといえばそうではなく、やはり高嶺の花でした。その後も「収入が上がったら買う!」と思っていたもののなかなか届きません。これではいつまでたっても無理だと悟り、意を決して海外に出稼ぎに出て一気に貯金を殖やす作戦に出ました。4年間で日本の数倍の勢いで貯め、「よしこれで!」と出発前に欲しかったけど買えなかったクルマ2台が買える資金を握りしめて帰国しました。ところがです、いつの間にか価格が高騰していて2台どころか1台分にも遠く足りないではありませんか。その後も上昇を続け、もはやその資金では1台分の半分にもならないことになってしまいました。泣くというか笑うしかありません。
こうなるとがんばってなんとかという気にすらならないのでかえって純粋な?気持ちで見ることだけを楽しめました。1/1サイズのミニカーを見るようにすがすがしい気分で会場を回りました。いいのか悪いのか。
ミニカーで心を落ち着かせる
ショップが並ぶコーナー(マルシェ)でホッとしましょう。どのイベントでもショップでのお宝探しは楽しいものです。今回もミニカー、カタログ、雑貨とかなりの時間をこの一角で過ごしました。
欲しかったもの、「おっ、こんなものが!」と思ったものなどと出会うと心が躍ります。でも予算には限りがありますので即決はできません。一通り見てからと思うとこれがだめ。戻るともうありません。まさに一期一会、即断即決が後悔しない秘訣というか王道ですね。でもお宝を逃した悔しさがまた楽しかったりもします。
オーナーズクラブ(私有車)の展示も見逃せない
ナローポルシェ、ジャガーカークラブオフジャパンによる展示もかなり魅力的でした。ウインドウに貼られたヒストリックカーレースのステッカーを見ると、いつかこんなクルマ買って出場したいなと思います。
このエリアのトピックは、今年亡くなった薄井辨三メモリアルコーナー。
薄井辨三さんは、クラシックカーのレストア工房“ブガティック”の創立者でその筋ではとても有名な方でした。クラシックカーを直して走らせる活動の第一人者と言っていいと思います。薄井さんが長く大切に手元に置いていた1929年製ブガッティ・Type40と1931年製フォード・モデルA・クーペが展示されていました。
子細に写真を撮り、故人を偲び語り合う紳士の姿が多く見られたのも印象に残りました。
脇役のクルマも気になる
右ハンドルのディノ、メルセデス・ベンツ190E2.5-16 Evolution II、ファルケンGTR、AE86など、ショップの華あるいはデモカーとして置かれていたクルマにもかなり惹かれました。
ジャガー・ランドローバーやマクラーレンもメーカー・インポーターが展示
いつでも誰でも買える新車はもはや普通に見え、「マクラーレンて安いな」と思ってしまった自分に苦笑いです。
大人の社交場というムードが定着
会場を歩いていると、モータージャーナリスト、メーカーの現役の社員たち、OBたち、クルマ好きなどのみなさんかそこかしこでそれぞれ旧交を温めたり、友人と一緒にいる人と初対面にも関わらずクルマの話で盛り上がったりといいムードでゆったり楽しんでいる光景を目にしました。
熱心に写真を撮っているキッズも多く見ましたが、あの歳からいいものを見て、触れて、撮るのはきっといい人生の栄養になると思います。
どうせならアフタヌーンティを楽しめるコーナーもあればいいかもしれません。と、昨年のリポートの結びに書きましたが今回も同じことを思いました。今回はラリーカーの周りをベンチで囲まれていたので特にそう思いました。次回こそお願いします!
(取材・文:大田中秀一)
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