■見た目以上に中身に改良が施された「ランサーエボリューションII」
1992年に登場した、日本が誇る本格スポーツ4WDセダン「ランサーエボリューション(以下、ランエボI)」。
すでに生産が終了したにも関わらず、根強い人気を誇るシリーズであり、2016年の「ランサーエボリューション ファイナルエディション」まで、24年間の長きに渡ってスポーツカー好きから愛されてきました。
「ランエボ」シリーズの第2弾として登場した「ランサーエボリューションII」とは、どのようなモデルだったのでしょうか。
1992年に登場したランエボIに続き、2年後の1994年に誕生した「ランエボII」は、先代の問題点を洗い出し、走行テストを繰り返すなど大幅に改良を加えて正常進化しました。
ベース車両が同じであるため、違いはボンネットの形状やエアロパーツくらいに思われますが、ランエボIIは戦闘力の高いタイヤ装着を果たすため、内部に手が加えられています。
ランエボIはコンパクトなボディだったため、タイヤサイズがあまり大きくできませんでした。
そこで、ランエボIIのボディサイズは全長4310mm×全幅1695mm×全高1420mmと、タイヤサイズの変更に伴う全高アップはあるものの、ランエボと同じサイズを維持。
路面が滑りやすいグラベルやダートをメインに走るラリー競技ではタイヤに頼る部分も非常に大きいため、ランエボIIは戦闘力の高いタイヤを装着するために、内部に手が加えられています。
フロントロアアームの形状から変更し、より強固な鍛造に変更。ホイールベースも10mm延長させ、トレッドも変更させることで、ひと回り大きな205/60R15サイズを装着できるように改良が施されました。
当時のラリー用タイヤは15インチが主流であり、市販車のタイヤサイズによって、レース車両に使用できるタイヤサイズが決まるという規定がありました。
そのため、市販版のランエボIIのタイヤサイズを変更し、レースでは扁平率がより高い205/65R15のタイヤを履くことを可能にしており、実際の競技でさらに戦闘力が高まったといわれています。
ボディには手が加えられ、剛性が向上。またミッションは1速および2速をよりローギアード化させ、リアには機械式LSDを採用するなど、レースに勝つために各部をブラッシュアップさせました。
搭載される4G63型インタークーラー付きターボエンジンも、排気量こそ1.8リッターと変更はないものの、吸排気系の見直しで最高出力を260馬力までアップさせながら、重量は1180kgとわずか10kgのアップにとどめられていました。
※ ※ ※
グループAに規定で戦われたWRCには1994年の第5戦「アクロポリス・ラリー」から1995年の第2戦「スウェディッシュ・ラリー」まで参戦。
このレースで、ランエボとしてはじめて優勝を果たします。単なるスペックだけでなくレースでも結果を残したことで、ランエボはさらに人気と注目度を高めていくことになります。
■わずか1年と短命ながら6000台以上を販売
ランエボIでの実戦経験をもとに、おもに操縦安定性の改良を目指したランエボIIも、ホロモゲーション取得のための限定車として登場。グレードはシンプルにレース競技用ベース車両の「RS」と、快適装備などが充実した「GSR」の2種類でした。
1995年にランエボIIIへと進化したため、わずか1年という短い期間での生産となりましたが、6284台の販売台数を記録。「ランサー」だけでなく、三菱全体のイメージ戦略としても十分な成功作となりました。
ランエボIIは、初代の登場ほどインパクトがない代わりに、中身は細部まで改良され、ドライバビリティが大幅に改善し、乗りやすくなったと評価されました。中古車の人気が依然としてかなり高いのも、当時の高評価が根底にあるようです。
現在の中古車市場では、1994年式の「ランエボII GSR」で走行約10万km程度のものが、200万円から260万円という値付けになっています。
当時の新車価格が「RS」で230万8000円、「GSR」で289万8000円だったので、ほぼ新車価格並みのプレミアが付いている状態です。
ランエボIの正常進化版であるランエボIIは、初めてWRC優勝を果たしたメモリアルモデルであり、ラリーファンやハイパワー4WD好きにとっては憧れの存在だといえるでしょう。
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みんなのコメント
4G63が1.8Lとかタイヤサイズなど。
ろくに調べもせず、ヌケヌケと書けるな。