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【NBR】2019年ニュルブルクリンク24時間レースに向け、スバルWRX-STIが富士スピードウェイでのテストレポート

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【NBR】2019年ニュルブルクリンク24時間レースに向け、スバルWRX-STIが富士スピードウェイでのテストレポート

2018レースカーから探るSTIの先端技術 Vol.25

2019年のニュルブルクリンク24時間レースに向け、STIのレースプロジェクトは順調に動き始めている。レース車両は基本的にキャリーオーバーだが、2019年のレースに向けて、どれだけ性能向上ができるか、信頼性をより高めることができるか、さまざまな角度からの煮詰めが求められている。

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2018年9月中旬に、富士スピードウェイで1回目のテストを行ない、12月13日、14日の2日間に渡り、富士スピードウェイで5回目となるテストが行なわれた。今回のテストは、ファルケンタイヤの2019年用スペックの確認、新開発のBBSホイールの性能評価、空力性能や、冷却性能のテスト、エンジン制御の評価などの内容だ。

冷却対策

まずは冷却性能だ。かつては気温が低いことが多かったニュルブルクリンク24時間耐久レースも、近年は予想を上回る高い気温になってきており、2017、2018年のレースでも水温、油温が上限に達してエンジンの制御も高水温に対応せざるを得なかった苦い経験がある。2019年は、その2018年より開催時期そのものが1か月後ろにずれて、6月の第3週目に開催されるので、欧州の盛夏の時期になる。だから、30℃を超えるような気温のときでも油水温に余裕を持つことが求められている。辰己総監督は、「前回はかなり厳しい状態になりました。今回はそういうことにならないように、しっかり対策します」と語っている。

そのため、2019年仕様は、より大容量のラジエーター、オイルクーラーを新採用し、オイルクーラーはラジエーターの下端にビルトインしている。また、冷却水量が多くなっているため、従来より5℃以上油温、水温は低下できているという。実は、こうしたラジエーターの冷却性能やインタークーラーの冷却性能は、エンジンルーム内の熱がうまく抜けるかにかかっているのだ。つまりエンジンルーム内を流れる気流のコントロールもきわめて重要ということだ。

そのため、WRX STIは風洞でのテストも行ない、ボンネット上の大きなエアルーバーのフィン形状やフィンの方向も改良されている。ボンネット上にあるエンジンルームの熱気抜きのルーバーや、インタークーラー冷却用のエアインレットダクトは、いずれもフロントガラスの前方にあるため、フロントガラスで生じる空気の圧力の高い領域となり、この部分でエンジンルームからのエアを排出することは難しく、エンジンルーム内からより空気の圧力の低いフロア下面方向、あるいはホイールハウスや側面から積極的にエアを抜く必要がある。

そのため、エンジンルーム下面のアンダーカバーの前後長を短くし、トランスミッション側面から地面に向かってエアを抜けやすくしている。また、風洞テストによりフロントのブリスターフェンダーの上部にも小型のエアアウトレットが追加されている。このフェンダーのアウトレットにより、エンジンルームやホイールハウス内のエアを逃がすことができ、さらにアウトレットのフィン形状により、ボディ側面を流れる気流をコントロールするボルテックスジェネレーターの役割も持っている。

NEXT:BBS新作ホイールとタイヤ


BBS新作ホイールとタイヤ

2019年スペックのタイヤに関して、今回の富士のテストは外気温が5~6℃と気温が低く、小雨がぱらついた結果、ハーフウエットの路面状況が多かった。そのため、テストはフィーリングを確認するだけにとどまっている。また、今回は新開発のホイールの評価も行なわれた。従来はBBS製のマグネシウム鍛造ホイールであったが、今回はBBSの新デザインのアルミ鍛造製が持ちこまれた。

スポーク形状のデザインを工夫することで、マグネシウム鍛造製より+100g程度と、アルミ製としては驚くほど軽量に仕上がっている。従来のマグネシウム鍛造性と、この新しいアルミ鍛造製のホイールで、ホイールの剛性やたわみ特性が異なるはずで、それがドライビングやグリップ感に違いがでるか、わずかでもアドバンテージが得られるかを評価している。その結果、ドライバーからは非常に前向きなコメントが得られており、今後若干の修正を加えて生産に入ることとしたという。

ECUの統合制御

今回のテストのもうひとつの重要なメニューは、エンジン制御用のECUの評価である。STIは従来からモーテック製のエンジンECUを使用しているが、今回からより世代の新しいモーテック製ECUを採用している。従来のECUよりCPUの演算速度や、通信速度が大幅に向上しており、これがエンジンのレスポンス向上、回転のピックアップの向上に大きな効果があることがわかっている。

そのため、実際に新旧のECUでコースを走っての比較評価も行ない、期待通りの結果が得られているのだ。それは、シフトの変速精度が向上し、コーナリング中のスムースな変速も可能になり、安定性、ドライバビリティ向上にも寄与していることが確認できたということだ。

辰己英治総監督は今回のテスト結果を踏まえて、今後のテストスケジュールを検討すると語っているが、残された時間はそう長くない。現在確定しているのは、メディア発表会も兼ねた2019年3月上旬のテストで、このテストの後にWRX STIはドイツに輸送される。ニュルブルクリンクでのVLNレースに出場しての実戦テストはまだ決めていないという。もしVLNレースの出場がなければ、5月18日~19日に開催されるクオリファイレースが唯一の実戦テストとなる。

なおニュルブルクリンクのノルトシュライフェ(北コース)は、FIA基準の安全フェンスの新設、コース舗装の大幅改修などが行なわれており、新装コースは2月下旬に完成される予定だ。コースコンディションは、これまでとはかなり変わると予想されるので、その新コースでWRX STIがどのような走りを見せるか楽しみだ。<レポート:編集部>

> 特集 2018レースカーから探るSTIの先端技術

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*取材協力:SUBARU TECNICA INTERNATIONAL

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