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F1バーレーンGP決勝:波乱尽くしのレースをハミルトン制す。レッドブル・ホンダがダブル表彰台

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F1バーレーンGP決勝:波乱尽くしのレースをハミルトン制す。レッドブル・ホンダがダブル表彰台

 F1第15戦バーレーンGPの決勝レースがバーレーン・インターナショナル・サーキットで行なわれ、波乱のレースをルイス・ハミルトン(メルセデス)が制した。

 各車がダミーグリッドへ向かうレコノサンスラップ中に日没を迎えたバーレーン。気温は25度、路面温度29度というコンディションだ。少しずつ景色が暗くなっていき、照明がサーキットを浮かび上がらせる幻想的な雰囲気の中、全車が無事にフォーメーションラップへ出ていった。

■バーレーンGP、大クラッシュ発生で赤旗中断。火の手上がるもグロージャンの命に別条なし

 今回、予選Q2を突破したグリッド上位10台はデグラデーションの激しいソフトタイヤを嫌ったため、ミディアムタイヤでのスタートとなった。11番手以下では、12番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)、19番手のロマン・グロージャン(ハース)、最後尾のニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)がハードタイヤでのスタート。15番グリッドのカルロス・サインツJr.(マクラーレン)は唯一、ソフトタイヤでのスタートを選んだ。

 57周のレースがスタートすると、2番グリッドのバルテリ・ボッタス(メルセデス)は蹴り出しが悪く、ポジションを落としていってしまう。これでポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)に、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続いた。

 さらに後方では、ターン1で複数のマシンがコースオフし、各車が接近。中でも、グロージャンはターン3の立ち上がりで前のマシンを避けるように進路を変えた結果、ダニール・クビアト(アルファタウリ)と接触。グロージャンのマシンはコースサイドのガードレールに高速でぶつかってしまった。

 グロージャンのマシンは真っ二つに破壊され、爆発するかのように火が広がった。背筋が凍るようなクラッシュに、レースは即座に赤旗中断となった。

 グロージャンは炎が燃え盛る中、自らマシンを降りてガードレールを乗り越え退避。手脚に痛みを感じているような仕草を見せながらもメディカルカーに乗り込んだ。グロージャン車のモノコックはガードレールを突き破っており、グロージャンはコックピット保護デバイスのハロに守られたようだ。チームによると、彼は手と足首に軽い火傷を負ったものの、無事だったという。

 クラッシュ現場ではガードレールの大規模な修復作業が行なわれ、レースは長時間中断。この間に、ターン2でフロントウイングにダメージを負ったランド・ノリス(マクラーレン)など、ピットレーンでパーツを交換・修復するチームもあった。

 フォーメーションラップのスタート時刻から1時間25分が経った現地時間18時35分に、セーフティカー(SC)先導で走行が再開された。その後、グリッドからのスタンディングスタートでレースが仕切り直しに。最初のスタートでピットロード出口にあるセーフティカーライン2を通過した順にグリッドについた。

 トップはポールポジションのハミルトン。2番手にはフェルスタッペンが続き、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、ボッタス、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)ダニエル・リカルド(ルノー)、ノリス、エステバン・オコン(ルノー)、ランド・ノリス(マクラーレン)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)というトップ10で再スタートが切られた。

 ターン1でフェルスタッペンとペレスが横並びになったものの、フェルスタッペンがポジションを守り、上位5台はグリッド順通りのオーダーをキープ。しかし、今度はターン8でランス・ストロール(レーシングポイント)がイン側にいたクビアトと接触してしまい、ストロールのマシンは完全にひっくり返ってしまった。このため、SCが出動。クビアトには後に10秒のタイム加算ペナルティが科された。

 ボッタスはデブリを拾ってタイヤがパンクしてしまったようで、SC走行中の5周目にピットイン。ハードタイヤに交換して16番手でコースに復帰した。

 9周目にレースが再開。ターン1ではオコンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)がサイドバイサイドの争いを演じた他、アルファタウリの2台が10番手を巡って争ったが、大きな混乱は起きなかった。

 ハミルトンはファステストを叩き出し、フェルスタッペン以下を引き離しにかかる。フェルスタッペンはジリジリと離されていってしまった。

 後方ではソフトタイヤを履くサインツJr.がルクレールをオーバーテイク。ルクレールは、スキを突かれるようにリカルドにも先行を許してしまうと、13周目のターン1ではハードタイヤを履くガスリーにも抜かれてしまった。

 ボッタスも思ったようにポジションを上げていけない苦しい展開。DRSトレイン状態にあるとはいえ、フロントウイングにダメージを負うキミ・ライコネン(アルファロメオ)を抜きあぐね、13番手のまま数周を費やしてしまった。

 17周を終えると、リカルドがピットへ。ミディアムタイヤからハードへと切り替えた。これを皮切りにピットイン・ラッシュが始まり、翌周にはオコンもピットイン。ミディアムタイヤをリフレッシュした。同じタイミングでクビアトもピットに入り、ペナルティを消化した後ハードタイヤを履いてピットボックスを離れたが、危うくライコネンと交錯しかけるシーンもあった。

 ハミルトンは19周を終えてピットへ。同時に4番手のアルボンもピットに入った。どちらもミディアムからミディアムへとつなぎ、タイヤ交換義務は消化していないため2ピット以上の戦略が確定した。これに反応しフェルスタッペンも翌周にピットイン。こちらはハードタイヤへスイッチした。

 2番手のフェルスタッペンは、ハードタイヤでファステストラップを更新。無線で「失うものはないんだから、攻めていこう」と意気込むと、5秒ほどあったハミルトンとのギャップを少しずつ詰めていった。

 赤旗の際にミディアムからハードタイヤへと交換したガスリーは、25周を走り終えたところでピットインして再度ハードタイヤを装着。実質的な1ストップ戦略でのフィニッシュを目指した。同時にボッタスもピットインし、ミディアムタイヤへと履き替えた。

 レース折り返しとなる29周目の時点で、ハミルトンとフェルスタッペンの差は5.3秒。一時は3秒台までギャップが縮まったものの、ハミルトンがペースを上げ、ギャップをコントロールしている形だ。

 3番手のペレスはフェルスタッペンの17秒弱後方。4番手のアルボンはペレスから5秒弱離されている。5番手にはノリス、6番手にはサインツJr.のマクラーレン勢。ソフトタイヤをうまく保たせて好ペースを刻んだサインツJr.が、ミディアムタイヤに履き替えルノーの2台を攻略した。

 32周目、ボッタスがルクレールをパスしようやくポイント圏内に復帰。しかしそのままフィニッシュまで走り切るのは難しく、もう一度ピットインが必要な状況だ。

 フェルスタッペンは35周目にピットイン。ピット作業が素早いことで定評があるレッドブルだが、ここは静止時間が5秒ほどかかってしまった。ハミルトンは翌周にピットイン。フェルスタッペンの5秒前方、ペレスの目の前でコースに復帰した。

 ペレスも含め、各車が2度目のピットイン作業を行なっていく。40周目にはほとんどのマシンが2度目のピットインを済ませた。上位4台はハミルトン、フェルスタッペン、ペレス、アルボンというオーダーは変わらないが、ハミルトンとフェルスタッペンの差は3秒台に縮まった。

 実質1ストップ戦略のガスリーは5番手までポジションアップ。しかしラップタイムは6番手のノリスより1周1秒ほど悪く、44周目にノリスがオーバーテイクを成功させた。

 ハミルトンに再び5秒ほどまでギャップを広げられてしまったフェルスタッペンは、47周目にピットイン。ミディアムタイヤへと履き替えた。ペレスとの差は26秒あったため、ポジションを失うこと無く2番手でコースへ戻り、48周目に1分32秒014をマークしファステストラップを更新した。

 ポイント圏内で接近しているのは、6番手のガスリーとそれを追うサインツJr.。ガスリーは他のマシンより10周ほど多くタイヤを使っており、ペースは1周2~3秒遅い苦しい状況。それでも、懸命に抵抗したガスリーだが、51周目にサインツJr.にオーバーテイクを許した。

 残り4周となった54周目、2戦連続の表彰台が見えていたペレスのマシンから白煙が上がりスローダウン。オイルに火もついてしまい、ペレスはコースサイドでマシンを停め、SCが出動した。

 メルセデスはハミルトンをピットに入れる構えを見せたものの、レースは再開されないと見てステイアウト。その判断は正しく、SCのままチェッカーとなった。

 最初から最後まで波乱尽くしとなったレースをハミルトンが制した。フェルスタッペン、アルボンが表彰台に上がり、レッドブルにとっては今季初のダブル表彰台獲得となった。

 マクラーレンはノリスが4位、サインツJr.が5位を獲得。散々な結果でダブルリタイアに終わったレーシングポイントを逆転し、マクラーレンがコンストラクターズランキング3番手に浮上した。

 ガスリーは耐えた甲斐があり、6位入賞。7位のリカルド以下、ボッタス、オコン、ルクレールまでがポイントを獲得した。

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