17号車Astemo NSX-GTのベルトラン・バゲットと塚越広大は、スーパーGT最終戦富士を前にしてタイトルの可能性を残しているドライバーの一角であった。しかしながら、予選ではQ1敗退となり10番手に終わると、追い上げを目指した決勝レースでは序盤の接触で早々に戦線離脱してしまった。
接触は66周のレースの3周目に起きた。17号車を駆るバゲットは、最終コーナーで12号車カルソニック IMPUL GT-Rの松下信治のインをうかがった。しかし、そのアウト側に19号車WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資がいたこともあり、3台は接触。これで致命的なダメージを負った17号車は低速で走行した後にピットイン。レースを諦めることとなった。
■スーパーGT第8戦富士|決勝レポート(GT500):36号車auトムスが優勝! 大逆転で王者に輝く。1号車スタンレーはアクシデントで連覇ならず
バゲットはこのアクシデントを振り返り、アウト側に19号車がいることには気付いていなかったと認めた。また、逆転タイトルの望みが徐々に薄れつつあることを感じ取っていたことから、少しでも早く順位を上げたいという思いがあったと語った。
「僕たちは過去2戦と同様に、タイヤのウォームアップに苦しんでいた。スタートでは19号車と12号車に抜かれ、ふたつポジションを落としてしまった」
バゲットはそう語る。
「タイヤが温まってからは僕たちの方が速かったので、オーバーテイクを狙っていた。最終コーナーにチャンスがあると思ったので12号車のインに入ろうとしたら、彼がギリギリでドアを閉めてきた。僕はもうイン側にいたから、引き下がることはできなかった」
「19号車がアウト側にいたことに気付かず、3ワイドになってしまった。もちろんそれではコーナーは曲がれない。僕がアタックした時は安全な動きだと思っていたけど、そうではなかったんだ」
「レースコントロールからは僕のミスだと言われたけど、チャンピオン争いをしているときにこのような状況に陥らないようにするのが僕の責任だ。同時に、前にいるマシンたちがみんな逃げていたので、早くオーバーテイクしなければならないこともわかっていた..……厳しい状況だった」
「リスクを冒す必要があった。僕の前には、ペースの上がらない19号車、12号車、23号車(MOTUL AUTECH GT-R)、3号車(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)などがいた。この動きなら問題ないと思っていたら、こういう結果になってしまった」
「正直に言うと、寒いこともあってペースが上がらなかった。36号車(au TOM'S GR Supra)が優勝した場合、僕たちは2位にならないといけなかったけど、それができなかった。チャンピオンシップを獲れなかったことに悔いはないけど、より良い形でシーズンを終えることができなかったことが残念だ」
レース前は、1号車STANLEY NSX-GTの山本尚貴、8号車ARTA NSX-GTの野尻智紀と福住仁嶺、そして17号車のふたりと、ホンダ勢がランキング上位を占めており、ホンダのGT500タイトルは堅いと見られていた。しかし17号車は前述の接触で脱落、1号車は55号車ARTA NSX GT3との接触でこちらも脱落、そして8号車はピット作業でのロスもあり、6位止まり……最終的に36号車の関口雄飛と坪井翔が大逆転でタイトルを手にした。
バゲットは、ポイントリーダーとして最終戦を迎えた山本がタイトルを逸したことに関して「とても残念に思う」として、次のように語った。
「完全にクレイジーだ。この週末、ホンダ勢以外がチャンピオンになることは多くの人が予想していなかったと思うけど、結果的にはそうなった。これはスーパーGTが予測不可能で、何が起こってもおかしくないということを示している」
「今週末はトヨタが強かったが、尚貴はまだチャンピオンを狙える位置にいた。8号車と僕たちは少し遅すぎた。ホンダではコントロールできないことが起きて、チャンピオンを逃してしまった。そういう時もある。どうすることもできない」
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みんなのコメント
あそこまでずっと登り坂で結構車速が落ちるのでインに飛び込む車が多い。
一瞬で3台並走状態になったと思ったら3台共スピンしてた。
カルソニックGTRの右ライトが壊れて飛び散り、アステモNSXは左リヤがパンクしてガタガタ揺れながらピットロードに入っていった。
5月の富士では皆最終コーナーで仕掛けることは少なかったように思う
やっぱり最終戦ということで皆殺気立った走りに見えました。
個人的にはauスープラの序盤の走り、特に関口選手の時が鬼気迫るものがあって印象的でした。