見た目に騙されてはいけない スポーツカー顔負けの走り
セダンと同等の運転感覚を持ちながら、リアに広い荷室を持ってユーティリティにも優れるステーションワゴン。最近ではミニバンやSUV人気に押されて以前の勢いは感じられない部分もあるが、メルセデスベンツやBMWなどの輸入車を見てみればまだまだ高い人気を誇っているジャンルと言えるだろう。
スポーツカーも真っ青! 羊の皮を被った狼な国産ステーションワゴン5選
そんなステーションワゴンは、セダンと同じボディを持つことで高出力なハイパフォーマンスエンジンを搭載したしたグレードも存在していたことがある。今回はそんな名機を搭載したステーションワゴンを振り返ってみよう。
トヨタ カルディナ GT-FOUR
WRC(世界ラリー選手権)を席捲したセリカやカローラ、全日本GT選手権で活躍を見せたスープラなどにも搭載され、モータースポーツで大活躍を見せた直列4気筒2リッターターボである3S-GTE型エンジン。
市販車としてはセリカGT-FOURやMR2に搭載されていたことが知られるところだが、実はステーションワゴンであるカルディナにも搭載されていた。2代目と3代目のカルディナに搭載されていた3S-GTE型エンジンは260PSを発生していたが、これはセリカGT-FOURやMR2よりも高い数値で、3S-GTEを搭載する市販車としては最強のスペックを誇っていたのである。
なお、市販車として最後まで3S-GTE型エンジンを搭載していたのもカルディナであり、3代目モデルはニュルブルクリンクを走り込んで仕上げられたもので、当時、ニュルでスープラのタイムを上回ったという話が出たほどのスポーツワゴンだった。
日産 ステージア オーテックバージョン260RS
RB26DETT型エンジンといえば、当時のグループAで勝利することを至上命題に第2世代のスカイラインGT-Rに搭載され、実際に連戦連勝を果たした名機としても知られている。
そんなRB26DETTを搭載したステーションワゴンが、1997年10月に初代ステージアに追加されたオーテックバージョン260RSである。もともとスカイライン系のプラットフォームを流用して生み出されたステージアだけに、スカイラインGT-Rのエンジンとパワートレインを移植することはそこまでハードルが高いものではなかった。
しかし、開口部が大きくボディ剛性で不利なステーションワゴンボディに搭載したことで、エンジンパワーとシャシー性能とのバランス取りが難しく、その部分を上手く調整できたのはさすが日産車のスペシャリストであるオーテックジャパンと言えるだろう。
三菱 ランサーエボリューションワゴン
1.5リッタークラスのコンパクトセダンのボディに、2リッターターボエンジンとフルタイム4WDシステムを押し込んで誕生したランサーエボリューションは、言うまでもなくWRC(世界ラリー選手権)で勝利することを目指して生まれたその名の通りエボリューションモデルだ。
そんなランエボに突如ステーションワゴンが設定されたのは2005年のこと。ベースとなったランサーにもワゴンが設定されていたことから、ワゴンにランエボのパワートレインを移植したものと思われるかもしれないが、実はベースはランエボ9で、そこにワゴンのリアセクションを組み合わせたものとなっている。
また、エボワゴンには、ランエボ7GT-A以来、久々のATモデルも用意され、より幅広いユーザーが楽しめるランサーエボリューションとなっていた。
トヨタ クラウンエステート アスリートV
もはやクラウンにステーションワゴンがあったことすら忘れ去られてしまいそうだが、乗用ワゴンは2代目から脈々と受け継がれてきた伝統のボディタイプであった。そんなクラウンのステーションワゴンの最後のモデルとなったクラウンエステートにもハイパフォーマンスエンジンを搭載したグレードが存在していた。
それが、280PSを発生する1JZ-GTE型エンジンを搭載したアスリートVである。1JZ-GTEと言えば、70スープラやマークII3兄弟にも搭載され、ドリフト系競技などでは未だに高い戦闘力を誇る名機であるが、それがクラウンエステートにも搭載されていたというわけだ。 残念ながらモデル途中の2003年末でターボエンジンは一足先に消滅してしまったが、古臭いステーションワゴンだと思って甘く見ると返り討ちに遭う可能性もある、高いポテンシャルを持つモデルと言えるだろう。
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