理想の“完成形R” をコンプリート販売開始!
岐阜県美濃加茂市に店舗を構える『ラッシュモータースポーツ』が、ユーズドGT-Rのコンプリートカー販売に本格的に力を入れる! その第1弾が、内外装/エンジン/足まわりに至るまでフルリフレッシュ&チューニングを加えたR34型スカイラインGT-Rだ。GT-R定番のスタイル+随所にオリジナルカーボンを用いたマニア垂涎のスペックをお見せしよう!
日産「R34スカイラインGT-R」の理想形完成! ニスモ大森ファクトリーの公道からサーキットまで使えるスペックを完全紹介します
(初出:GT-R Magazine 161号)
標準車をベースにフルで仕上げてVスペックの相場よりも安く販売
一般整備から板金塗装、チューニング、レースカーのメンテナンス/製作まで、そのすべてを自社で手掛けている『ラッシュモータースポーツ』。同店ではこれまでにも初代のハコスカ含め、歴代GT–Rのフルレストアなどを手掛けてきたが、新たにユーズドをベースとしたコンプリートカーの販売をスタートしたという。
「ご存知の通り、今では第2世代スカイラインGT–Rの相場がかなり上がっており、とくにR34型は〝程度それなり〞の標準車(標準グレード)でも1000万円超えは珍しくありません。それが上級グレードのVスペックともなると2000万円を超えてしまう状況です。相場的に高止まりだとは思いますが、市場で取引されているR34が本当にその価格に見合う内容かというと少々疑問です。せっかくならば、価値のあるR34をフルで仕上げて販売しようということで、今回の車両を製作しました」と語る同店の瀬野雄一郎氏。
かつてR34GT-R Mスペックに設定された専用色「シリカブレス」でエンジンルーム内まで全塗装されたこの車両は、平成12(2000)年式の標準車(走行15万2000km)がベース。R34の中で最も相場の安いグレードだが、劣化した部分はできる限り新品もしくはリビルト品に交換し、その上で最新のチューニングメニューを施しつつ〝程度並〞のVスペックよりも安い価格で販売したい。それを具現化したプロトタイプがこの車両である。
2.8L化&R35純正ブレンボ流用などGT-Rファンが羨むスペックを盛り込む
全塗装した外装には、R34の定番エアロとも言える『NISMO』Z-tuneタイプフロントバンパー/サイドスカート/リヤアンダースポイラーをセット。加えて、前後ともに標準車には未装着のカーボン製ディフューザーも追加装備している。
エンジン関係も抜かりはない。『HKS』の2.8Lキット(ステップ0)/GT III-SSタービン/GTインタークーラー/オイルクーラー、NISMOのコレクタータンクなどで武装し、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)はフルコンのHKS FコンV プロ3.4を用いて現車合わせセッティング済み。R35純正コイルキット&R35純正インジェクターなど現代流のアイテムも流用されており、RB26DETT乗りならば誰もが憧れる「トルクフルで乗りやすい」スペックへと昇華させている。
さらに、R35後期純正のブレンボブレーキキットや松田次生選手が開発に加わった限定品のHKSハイパーマックス Gマガスペック車高調サスキットを投入するなど、「これでもか」と言わんばかりのパーツが盛り込まれている。気になる販売価格は1900万円で、この個体はすでに成約済みという。ベースの状態にも左右されるが、今後も同様にコンプリートカーを製作・販売していくという。R34が高いのは当たり前。どうせなら〝程度極上〞のGT–Rを手にしたい。ユーズドとしては〝望み以上〞のスペックをまとうラッシュモータスポーツのコンプリート展開に今後も注目したい。
軽くて成形しやすいインフュージョンのカーボンエアロも注目!
なお、板金塗装部門も併設する同店では、以前からワンオフのボディ加工などを得意としていたが、ついにオリジナルのカーボンパーツにも着手。
「現在、外装がほぼカーボン仕様となるR35のデモカー製作を進めており、それに伴いオリジナルのカーボンパーツの開発も始めました。外注ではなく自社製作することにも拘っており、真空で引き抜くことができるインフュージョン成型でマスターからカーボンパーツを内製する体制も整いました」と語る同店の瀬野雄一郎氏。
R34純正のリヤディフューザーは一時製廃になってしまったが、現在はNISMOヘリテージとして復刻。ただし納期が未定ということで、事故車の修復時など困るケースが増えたという。そんなこともあり、オリジナルのカーボン製リヤディフューザーを製作することになった。
「純正と比べても見劣りしないクオリティにするのは当然、軽さにもこだわりました。純正の約4.5kgに対してインフュージョンで抜く当社オリジナルのカーボンディフューザーは約3kgと軽量に仕上げています。同時に製作したフロントディフューザーも、下面を一体式とすることで軽さと剛性を両立しています」
すべて自社で製作できるメリットを最大に生かす
プリプレグのドライカーボンのほうが数百グラム軽くできるそうだが、インフュージョンで成型するとクリアのゲルを打つことができ、さらにクリア塗装を施すことで耐光性が上がるという。また、ボンネットの製作時にも利点があるとのこと。
「ドライだと大きな面積を一枚で焼くことができないため、ボンネットはどうしても分割式になってしまいます。一方、インフュージョンのマットは幅が広いため、ボンネットを一枚張りで成型できます。継ぎ目がないほうが見た目的にもキレイに仕上がります」
同店オリジナルのR34用カーボンボンネットにはあえてエアダクトを設けていない。その理由を聞くと、
「穴開きのボンネットはいろいろなメーカーから出ていますが、純正形状のカーボン製はあまり存在しないはずです。VスペックIIのダクトが欲しいという方には単体でダクトを用意しているので、加工して後付けすることもできます」と瀬野氏。
ルックスだけではなく、軽さと剛性にもこだわったカーボンエアロは、内製の強みを生かし価格もリーズナブルに設定。ほかとはちょっと違う満足感に浸れる逸品と言えそうだ。
(この記事は2021年10月1日発売のGT-R Magazine 161号および2022年8月1日発売の同166号に掲載した記事を元に再編集しています。デモカーの仕様や中古車相場などは取材当時のものです)
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みんなのコメント
開発費不要だし、ちょっと高めなお値段で売れば儲かるんじゃないの?
何も電気自動車に拘る必要が無いし、新型車である必要性も無いんだから。