新たなツーリングルート開拓のきっかけに。しかもご利益までありそう!?
バイクツーリングの計画を立てる際には、グルメや絶景、あるいは気持ちのいいワインディングを目指すなど、さまざまなアイデアがあります。しかし、けっこう各地を回っているベテランバイカーやツーリングマニアは「次はどこがいいかな?」と迷うこともしばしばあるのではないでしょうか。また、筆者のように、遠出するより「なじみのコース」をひたすら走り込みたいといった、ある種の固定エリアからの「出不精ライダー」も少なくないかもしれません。
【画像18点】おかげ参りツーリングラリー「絶景ロード、古風な町並み、山頂展望台」フォトスポットも満載なルート例を写真で見る
そんな方々にオススメしたいのが、2024年6月22日にスタートした「おかげ参りツーリングラリー」。これは伊勢神宮をゴールとして、好きな時期に(今年は11月9日まで)、好きなコースを選んでツーリングできるというイベントで、ツーリング好きにも、バイクで走るのがとにかく好きな方にも相性がいいものです。参加費は出発タイミングやプランによりますが3200円~となっています。
伊勢神宮は古くから「お伊勢参り」という言葉があるように、この国に生まれたなら一度は出かけたい場所。そして、伊勢神宮の内宮と外宮ともに足を踏み入れた途端、清らかな気分となれること請け合いです。
ちなみに、おかげ参りの【おかげ】とは「道中での施行など様々な人のおかげで参宮を果たすことができた」という説や、「天照大御神のおかげで参詣を果たすことができた」という説があり、また「日ごろからバイクに乗せてもらえる」といった感謝まで込められていそうです。
となると、グルメや峠道を目的とするのもさることながら、バイカーとして伊勢神宮までツーリングするというのは確かに意味がありそうな気がしませんか。そのうえ、伊勢神宮が20年に一度行う式年遷宮(次回は2033年)まで10年連続での開催を目指しているとなれば、毎年の参詣でご利益だってありそうです。
そんな気持ちで筆者は2泊3日の計画を立て、おかげ参りツーリングラリーに参加。結論を最初に記せば、伊勢志摩周辺の道はツーリングに最適で、ただ走り回りたいだけの筆者も大満足! 心から「行ってよかった」と思えたツーリングとなったのです。
関東方面からは、旅情も感じられる伊勢湾フェリー経由がおすすめ!
さて、関東圏在住の筆者が伊勢神宮を目指すとなると、高速をひたすら走り続けるか、途中を伊勢湾フェリー(伊良湖~鳥羽間)に乗るルートを思い浮かべました。すべて陸路の場合は距離にして450km、フェリーに乗れば実走距離は400kmといくらか短縮。そして高速料金は東京の用賀~伊勢ICが最安の場合で8940円(ETC利用の二輪車の場合/以下同)。
一方フェリーを選んだ場合は、片道の乗船料1800円(1名)+運賃3000円(400cc以上1台)がかかり、伊良湖フェリー乗り場にアクセスする陸路の用賀~豊川(5620円)か用賀~浜松(5190円)を合わせると、陸路よりも1000円ほど高くなります。ですが、筆者としてはこれくらいの差額であれば断然フェリー推し! 経験者も大勢いるかと思いますが、バイクツーリングに船旅が加わると、俄然旅の情緒が濃くなるのです。
伊良湖から鳥羽までは1時間ほどですが、愛車と乗船後にデッキで浴びる穏やかな潮風のさわやかなことといったらありません。そして猛暑厳しいタイミングでのツーリングだったこともあり、乗船中に適度な休息が得られたことも大きなメリット。よほど高速道路を走るのが好きでない限り、関東圏からは伊勢湾フェリーに乗船すること強くオススメしたいと思います。
ちなみに、このフェリーはバイクの場合は予約ができません。理由は「大概は積み切れないほどの台数にはならないから」だそう。なので、そこは不安に感じず大丈夫。しかも1日に8便(繁忙期は増便)運航しているので旅程も選びやすいのではないでしょうか。
ツーリングの相棒に選んだバイクは、ロイヤルエンフィールドの新型ネイキッド「ショットガン650」と、2023年発売のクルーザー「スーパーメテオ650」。いずれも並列2気筒のトルクフルで扱いやすいエンジンを搭載し、快適なシートや、フレンドリーなポジション、それでいてしっかりしたシャシーを持っているのがチョイスの理由です。
新東名の120km/h区間でもストレスなく巡航できたほか、追い越し加速も十分。両車ともカウルレスですが、自由度の高いハンドルポジションだったので上半身の疲労はさほど感じることはありませんでした。また強風で有名な東名高速の掛川あたりでも、素晴らしい直進安定性を見せてくれました。ツーリングバイクとしては、じつに頼もしい相棒となってくれたのです。
パールロードを走り、バイカー大歓迎の宿「情景の宿あづま」へ
そして、鳥羽港に着岸すると、有名なワインディングのパールロードは目と鼻の先。そろそろお昼ご飯という時間で港付近に何軒か食堂はありましたが、筆者はパールロード沿いにある鳥羽亭という地元の方が多い台湾料理のお店をチョイス。
混雑していたもののボリュームがあって価格も良心的でした。パールロードは交通量が少ない上に、信号もほとんどないルートで、おだやかなワインディングを堪能しました。また、某ドラマで有名になったという「志摩パールブリッジ」も、通過する際はワクワクしたものです。
パールロードの先には有名な「スペイン村」もあるのですが、そこまで行かずに最初の目的地「神明神社」へ。周囲はじつに細い道で、しかも対面走行なので注意したほうがよさそうですが、いくらか高台へ登っていくと樹齢300年とされるご神木のすぐ脇まで乗り入れできることに驚きました。
厳かなご本殿にお参りしつつ、すぐ隣にある海女さんに信仰されたという「石神さん」にも拝礼すると「一粒で二度おいしい」気分に。バイクも止めやすく、休憩できる場所もあるので、おかげ参りのツーリングスポットに選ばれているのもよくわかりました。
この日の宿は、鳥羽市相差の海岸沿いにある「情景の宿あづま」。神明神社からは30分もかからない距離でしたが、これまた海岸脇の細い道もあったので、しっかりナビを確認するのがいいでしょう。二階建てのリッチな宿で、目の前には大きな駐車場もあったのですが、宿のご主人に屋根付きのバイク専用駐車場を案内され、こちらを使わせてもらいました。ご主人もハーレーダビッドソンに乗るバイカーで、宿泊プランにも「バイカープラン」が用意されているそう。実際、全国各地からバイカーグループが訪れるようです。
宿名にある「情景」とはよくいったもので、宿から海岸までは歩いて数秒! 伊勢湾に沈む夕陽を独り占めできるだけでなく、夜になると対岸のスペイン村が打ち上げる花火まで楽しむことができました。もちろん、夕食は目の前で獲れた海の幸がこれでもかと供され、海のそばにある宿の醍醐味を存分に味わえました。この点だけでもツーリングに来た甲斐があるというものです。
伊勢志摩スカイラインで走りを楽しみつつ、伊勢神宮へ
翌日は鳥羽から志摩方面に戻り、伊勢志摩スカイライン方面へ向かいましたが、その前にツーリングスポットに指定されていた夫婦岩で有名な「二見輿玉神社」に立ち寄ることに。鳥羽からは第二伊勢道路(国道167号線)を使って30分ほどで到着できます。
こちらもじつにアクセスしやすく、神社の入口までバイクを進められ、駐車場も比較的空いていました。夫婦岩も写真で見るより間近に見え、これまたありがたい気分に。神社の奥に進むと、みそぎ橋という小さな橋があり、そのたもとには洒落たカフェが。席数は少ないものの、知る人ぞ知るといった雰囲気なので、二見輿玉神社を訪れた際にはひと息入れてみるのもいいでしょう。
なお参道沿いには、同じくツーリングスポットの賓日館(ひんじつかん)もありました。こちらは門前までしか進めませんが、趣のある建屋は写真に映えること請け合いです。
次いで、おかげ参りツーリングラリーの参加者に配布される「伊勢志摩スカイライン特別通行券」を使ってコースイン。朝熊山へ登っていくワインディングとなりますが、舗装もきれいでコーナーもさほど厳しいものではないので、どんなバイクで走っても楽しめるでしょう。時折、眼下に見える伊勢湾の景色は得も言われぬ風情があり「天気が良くて最高!」と笑みが漏れたものです。
そして向かった山頂の朝熊山展望台には、フォトスポットとして有名な「天空のポスト」や足湯、名物の団子など、走ってきたライダーを癒すには十分なアメニティがありました。ちなみに、伊勢志摩スカイラインは125cc以下のバイクは走行不可なので、ご注意ください。ただ道の勾配は125cc以下でも登れないことはない感じなので、個人的にはいつかルールの改変を望みたいところです。
その後スカイラインを下ってくると、伊勢神宮の内宮(皇大神宮・内宮)は目と鼻の先。というか、いきなり市街地が広がるので面食らう印象でした。交通量も増えるので、それまで快走ペースで走っていた方は注意深くスローダウンすべきでしょう。内宮周辺も観光バスやタクシーがたくさん走っている上、駐車場もけっこう混んでいるので、くれぐれも安全運転で! お参りに来たのにアクシデントに見舞われたのでは、笑えませんからね。
伊勢市内「ホテルキャッスルイン伊勢」は安心のバイク駐車場を完備
ところで、二日目の宿に選んだ「ホテルキャッスルイン伊勢」も、バイカーには超オススメでした。屋根付きの専用駐車場があるのはもちろん、バイクに向けられた監視カメラが用意され、宿泊者は貸し出されたタブレットで24時間モニター可能なのです。これには愛車精神にあふれたオーナーも納得でしょう。
しかも、こちらのバイカープランはリーズナブルな価格設定がされており、市内中心部からは少し離れているものの「伊勢の泊りならここ一択」と思えるほどでした。さらに、最上階にある展望大浴場の気持ちよさときたら、ちょっと他の温泉やホテルとは比べられないほど。おかげ参りツーリングのみならず、お伊勢参りの宿なら、ぜひチェックを!
なおグルメの話題としては、伊勢市内には日本三大居酒屋のひとつに挙げられる「一月屋」や松坂発祥の鳥焼肉が楽しめる「やき鳥ハウス 泉竹林」といった名店が少なくありません。おかげ参りツーリングラリーの公式サイトに詳しい説明も掲載されているので、参考にしてみてはいかがでしょう。ちなみに、取材班は一月屋にチャレンジしたものの長蛇の列にあえなく断念。次回はぜひ訪れてみたいものです。
内宮から外宮へと回り、御朱印帳をゲット!
そして翌日は内宮を経由して外宮を訪れてみました。その際、外宮から間近の「木下茶園」で、おかげ参りツーリングラリー特製の御朱印帳をゲットしました。エントリーの際に配布されたチケットを出せばいいのですが、あまりに居心地の良さそうなお店だったので、ここで評判の高いお抹茶ラテをいただくことに。ちなみに、御朱印帳は「勢乃國屋」などでもゲットできます。
外宮は内宮に比べて混雑は緩く、駐車場へのアクセスは簡単でした。ただし、御朱印がいただける朝イチの時間(午前7時)を目指していったものの、外宮はなかなかの人出。お伊勢参りの人気をうかがわせる雰囲気でした。なお、御朱印は料金というか、お志として300円がかかりました。これは内宮や、他の神社でも同様な金額設定なのでしょう。ちなみに御朱印帳には、ざっと100ヵ所分程度のスペースがあって日付も記されるので、翌年のお参りにも利用できそうです。
こうして、おかげ参りツーリングラリーはコンプリートできましたが、道中トラブルに見舞われることもなく、早くもご利益があったのかと。そして伊勢志摩方面へのツーリングとして考えても、じつに走りやすくいい道ばかりだったのが印象に残ります。なお、おかげ参りツーリングラリーには「スペシャル原付デイ」や「伊勢志摩スペシャルデイ」といったイベントが組み込まれた日程もあるので、ソロツーリングでも寂しくありません(笑)。
それに加えて、期間の最終日には伊勢神宮でのフィナーレイベント(有料)が予定されるなど、単なるツーリングで終わらないのも嬉しいポイント。公式サイトをチェックして、ぜひ「おかげ参りツーリングラリー」に出かけてみましょう。
「おかげ参りツーリングラリー」とは?
伊勢神宮参拝を最終目標とした新しいツーリングイベントで、開催期間中(2024年6月22日~11月9日)いつでも、全国どこからでもスタートOKというもの。伊勢神宮と指定の『ツーリングスポット』『ウェルカムスポット』の4ヵ所以上に立ち寄り、公式サイトの『旅ログ』に投稿してラリークリアとなる。
参加記念品の「木札」を伊勢志摩・鳥羽エリアの協賛店に提示することで、様々な特典が得られるほか、ツーリング後に投稿する「旅ログ」で「いいね」の獲得数で上位になると希望の副賞(RSタイチ・ツーリンググッズ、ヤマハ・MT-09ノベルティTシャツ、ヒットエアー・プロテクター、ワイズギア・オイルなど)も進呈。プラン、参加費、エントリー方法などは公式サイトで確認のこと。
■おかげ参りツーリングラリー公式サイト
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レポート&写真●石橋 寛
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