12月23日、本田技研工業と日産自動車、三菱自動車は共同で記者会見を行い、日産自動車と本田技研工業が両社の経営統合に向けた協議・検討を開始することについて合意し、共同持株会社設立による経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結したと発表した。このまま検討が実現すれば、日本の自動車産業、モータースポーツを牽引してきた二社がひとつの傘のもとに集うことになる。
12月19日以来、一般紙・誌、テレビで伝えられてきたホンダとニッサンによる三社の経営統合に向けた動きが、ついに正式に発表された。協議、検討が進み経営統合が行われれば、モータースポーツ界では日本のみならず、世界でしのぎを削ってきたメーカー同士がひとつのグループとなる。
ニッサンとホンダが協業を見据えた戦略的パートナーシップの検討を開始。自動車の電動化と知能化時代に備え
17時から行われた記者会見には、本田技研工業の三部敏宏代表執行役社長、日産自動車の内田誠社長、三菱自動車の加藤隆雄社長兼最高経営責任者が出席。三部社長から、経営統合に向けた説明が行われた。
本田技研工業と日産自動車は、2024年3月15日に自動車の知能化、電動化時代に向けた戦略的パートナーシップに関する覚書を締結。さらに8月には戦略的パートナーシップの深化に関する覚書を締結するとともに、特に知能化、電動化の要となる、次世代ソフトウェアデファインドビークル(SDV)向けプラットフォームの領域における基礎的要素技術の共同研究契約を締結し、より具体的な協業に向けて集中的に議論を進めてきた。
これらの締結後も両社はさまざまな可能性、選択肢を持ちながら継続的な議論を重ねてきたというが、その間においても、両社および自動車業界を取り巻く環境は日々劇的な変化を遂げており、必要とされる技術革新のスピードも加速し続けている。この環境下でもグローバルで競争力を保ち続け、世界中のユーザーに向けてこれまで以上に魅力的な商品、サービスを届け、存在を期待される企業であり続けるための選択肢として、両社の経営統合に向けた協議、検討を開始することで基本的合意に至ったという。
両社の統合によるシナジー効果の代表例として、下記のものが説明された。
・車両プラットフォームの共通化によるスケールメリットの獲得
・研究開発機能の統合による開発力向上とコストシナジーの実現
・生産体制、拠点の最適化
・購買機能統合によるサプライチェーン全体の競争力強化
・業務効率化によるコストシナジーの実現
・販売金融機能の統合にともなうスケールメリットの獲得
・知能化・電動化に向けた人材基盤の確立
今後、両社は共同で持株会社を設立し、ニッサン、ホンダの両社は持株会社の完全子会社として存続させ、それぞれがもつ『ニッサン』、『インフィニティ』、『ホンダ』、『アキュラ』といったブランドは今後も共存させる方向となる。またこの経営統合について、三菱自動車は参画、関与、およびシナジー享受の可能性について検討を開始し、2025年1月末を目途に検討結果を出すという。
また共同持株会社の設立時点では、取締役の過半数をホンダが指名。代表取締役、執行役社長もホンダから選定される予定だが、その後は最適な人選が進められる。「当初はホンダがリードしながら枠組みを進めていきますが、両社の理念やブランドは引き続き残していきますし、今後三菱自動車が加わることになれば、三社が個々のブランドを輝かせながら最大効果を発揮していく予定です」と三部社長は説明した。
「自動車業界が直面する厳しい環境変化を乗り越えていくには、ホンダと日産自動車が長年培ってきた知見、人財、技術などの経営資源の融合による、モビリティの新たな価値創造が必要だと考えています。今回は、まだ検討を開始する段階であり、経営統合を決定したわけではありませんが、それぞれが独自の強みを持つ、この二社の掛け合わせでしか生み出せない化学反応により、唯一無二の“モビリティの新価値を創造するリーディングカンパニー”となることを目指し、2025年1月末をめどに経営統合の可能性について方向性を見出すべく、両社で検討を進めていきます」と三部社長はコメントを残した。
また日産の内田誠社長は「本日、私たちは経営統合に向けた検討を開始することとしました。これが実現すれば、私は両社の強みを掛け合わせることで、一社だけでは成し得ない、そしてこの二社でしか生み出すことのできない新たな価値と、これまでにないクルマの楽しみを、両社のブランドをご愛顧いただいている世界中のお客さまに提供することができると確信しています」とコメントした。
今後、最終契約書が2025年6月に結ばれる予定で、新持株会社の上場は2026年8月が予定されている。モータースポーツ界にはただちに影響が及ぶことは考えづらいが、これまで日本のモータースポーツはメーカーに依存していた部分も多く、影響がおよぶ可能性がある。今後の動きに注視したいところだ。
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