レッドブルでマックス・フェルスタッペンのチームメイトを2021年から務めているセルジオ・ペレス。その契約は2024年シーズンで満了を迎えることになるが、その契約が延長される見込みが少なくなってきているように感じられる。
もし本当にペレスがレッドブルを離れることになるのであれば、その後任となるドライバーは一体誰なのだろうか?
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ペレスは、絶対的エースであるフェルスタッペンにとって最良のチームメイトになりうるドライバーとして、そしてレッドブルにコンストラクターズタイトルをもたらすことができるドライバーとして、2021年から同チームに加入することになった。
それ以前にフェルスタッペンのチームメイトを務めたのは、レッドブル育成のドライバーであるピエール・ガスリーとアレクサンダー・アルボン。しかしいずれもフェルスタッペンと同等のパフォーマンスを発揮することができず、いずれも1勝も挙げることができなかった。
しかしペレスはレッドブルに加入すると、1年目のアゼルバイジャンGPでチーム加入1勝目を挙げ、2年目にはモナコとシンガポールで勝利。2023年シーズンにいたっては、開幕4戦を終えた時点でフェルスタッペンと2勝ずつと星を分け合う活躍を見せた。
ただその後のパフォーマンスは低迷。一方でフェルスタッペンは、F1新記録となる10連勝を達成し、ペレスに大きな差をつけた。
ペレスのレッドブルとの契約は、2024年まで残っている。しかしペレスが最近、DAZNのスペイン版に語ったところによれば、契約を延長する以外の可能性も検討しているようだ。
「今後数レースが、重要になる。僕は、自分も貢献できると思える環境に身を置きたい」
そうペレスは語った。
「2024年にそういう場所がここにないのであれば、他の選択肢を探さなければいけない。しかし今僕が集中すべきことは、ここにいてより多くのレースに勝ち、レッドブルでチャンピオンシップを勝ち取り続けることだ」
「来年末までの契約があるので、来年のどこかで話し合うことになるだろう」
ペレスにとって契約延長が当然ではないのと同様に、レッドブルにとってもそれは同じことだ。レッドブルは、常にフェルスタッペンのチームメイトとして最高のドライバーを探し続けている。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーはイタリアGPの際、「25年のシートは現状ではひとつ空いている。ご想像の通り、そのシートへの関心は尽きない」と語り、別のドライバーを獲得する可能性を匂わせている。
ただ、2026年からはレギュレーションが大きく代わり、各チームのパワーユニットに関する状況も大きく変わる予定だ。レッドブルは、新たに自社内でパワーユニットを開発・製造する予定で、これにはアメリカの大手自動車メーカーであるフォードが協力する予定だ。
一方で現在レッドブルにPUを事実上供給しているホンダは、2026年からはアストンマーチンを新たなパートナーとすることが決まっている。さらにアウディが新規参入し、まだ2026年以降のPUが決まっていないチームもある。勢力図が一変する可能性は十二分にある。
現在のパワーバランスを考えると、レッドブルはドライバーからみて最も魅力的なチームであるが、2026年以降もそのポジションを維持できるかどうか、それを見極めるための時間はまだ残っている。そのため、ドライバーたちは現時点で長期契約を結ぶことに慎重になるというのも頷ける。
そんな状況ではあるものの、レッドブルが2025年にペレスの後任として起用する可能性があるのはいったい誰なのか?
■ランド・ノリス
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは最近、オーストリアのメディアに対して、ノリスに興味を持っていることを明らかにした。そしてマルコ博士は、ノリスが2019年にマクラーレンからF1デビューする前に、レッドブルと契約間近まで迫っていたこと、そしてノリスがマクラーレンとの契約を延長する前には、レッドブルとも交渉を行なっていたことを明かした。
「ノリスには2025年までの契約がある。彼は我々の候補のひとりでもあったから、長い契約があるのは残念なことだ」
マルコ博士はServusTVのインタビューでそう語った。
「若さとスピードという点では、彼は我々のチームによく合うだろう」
またマルコ博士は別のインタビューでも、「若いドライバーの中で群を抜いて速い」とノリスを評価している。
なおマクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンは、「ランドが2025年までマクラーレンでレースをするだろう。それは間違いない」と語る。しかしマクラーレンはまだ2026年以降のパワーユニットを決められずにおり、その状況が事態を複雑にする可能性がある。
ノリスに興味を持っているのはレッドブルだけでなく、フェラーリやアストンマーチンもすでに接触しているという噂もある。
ノリスとしては、すでに”フェルスタッペン体制”が築かれているレッドブルに加入するのは、得策ではないかもしれない。一方マクラーレンはインフラの拡充などを進めており、その効果を認めることができれば、ノリスとしてはマクラーレンに残るという選択肢も、悪いモノではないかもしれない。
■オスカー・ピアストリ
ノリスの獲得が難しいならば、レッドブルはそのチームメイトであるオスカー・ピアストリに声をかける可能性もあるだろう。今季F1デビューを果たしたピアストリは、ここまで印象的な活躍を見せており、ノリスに匹敵するような走りを見せることも度々ある。
レッドブルにとって好都合なのは、ピアストリの現状の契約が2024年までであるということ。しかもピアストリのマネージャーを務めるのは、かつてレッドブルでドライバーを務めたマーク・ウェーバーである。
■ダニエル・リカルド
成績不振のニック・デ・フリーズの後任として、アルファタウリからF1復帰を果たしたダニエル・リカルドも、将来のフェルスタッペンのチームメイトの候補のひとりだと言える。実際この復帰も、レッドブルに再昇格するためのオーディション的な意味合いがあると言えるだろう。
ただ復帰3戦目となったオランダGPの初日にクラッシュして、左手を骨折。その影響で4レース欠場することになったのは痛手だ。とはいえ骨折が癒えた後、以前のような走りを見せることができれば、レッドブルの候補に浮上する可能性がある。
ただ2025年に36歳になるという事実は、マルコ博士が求める「若さとスピード」という点からは外れるため、障壁となる可能性がある。
■角田裕毅
今シーズンの角田裕毅は、アルファタウリのマシンのパフォーマンスに苦しみながらも、予選でも決勝でも、印象的な走りを見せている。
昨年限りで同チームからはピエール・ガスリーが離脱。角田はチームリーダーを務めることになったが、その役割を十分に果たしていると言えるだろう。
その若さと速さは、マルコ博士が言う条件において問題はないが、フェルスタッペンのチームメイトとして最適かどうかは分からない。また、角田はレッドブル・ジュニア出身ではあるものの、ホンダの育成ドライバーという立場もある。前述の通りレッドブルとホンダの関係は2025年で終了することになっているため、その後もホンダ系のドライバーを乗せ続けることができるのか……ひとつの大きな障壁にはなりそうだ。
■リアム・ローソン
怪我をしたリカルドの代役として、オランダGPで急遽F1デビューを果たしたリアム・ローソンも、レッドブルの将来の候補のひとりであることは間違いない。
ローソンは急遽のF1デビューながら、オランダGPを完走。イタリアGPでは予選でチームメイトの角田に接近し、決勝でも入賞まであと一歩と迫る11位でフィニッシュした。
リカルドは回復に時間がかかっているため、ローソンは少なくとも、シンガポールと日本でもアルファタウリのマシンを走らせることになるはずだ。この2戦で角田に匹敵するパフォーマンスを示すことができれば、来季のアルファタウリのドライバーラインアップ決定にも、大きな影響を及ぼす可能性がある。
なおローソンは今季は日本のスーパーフォーミュラにも参戦。そこでは、歴戦の強者たちを相手に、初レースとなった開幕戦富士でいきなり優勝するなど、その類稀な才能を日本でもいかんなく発揮している。
なおレッドブル・ジュニア出身のドライバーとしては、アレクサンダー・アルボンも候補のひとりとして数えたいところだ。アルボンは今季ウイリアムズのマシンを駆り、印象的な活躍をしており、いくつかのトップチームが興味を持っているとも伝えられる。しかしアルボンは、レッドブルに戻る可能性は低いと断言している。
■シャルル・ルクレール
現フェラーリドライバーのシャルル・ルクレールも、レッドブルが興味を持っているひとりだ。ルクレールとフェラーリの契約は2024年まで。つまり、レッドブルとペレスの契約期間と同じであり、双方にとって移籍するタイミングという点では理に適っている。
ルクレールの将来は、ルクレール自身がフェラーリの復活を確信できるかどうかにかかっており、彼の第一希望としては、すでに密接な関係を築いているフェラーリに残ることだ。
フェラーリから離れることは、ルクレールにとって大きな決断になろう。しかしルクレールがフェラーリの将来に可能性を感じられないのではれば、移籍することを選ぶ可能性もあるはずだ。
実際、アストンマーチンはすでに接触を試みているという。またレッドブルとしても、ペレスの後任としてはこれ以上にない存在……フェルスタッペンとの関係性もよく、理想的ではある。
■移籍が早まる可能性もあるのか?
なおペレスには、今季限りでレッドブルを離れるのではないかという噂も根強くある。ホーナー代表は「今のフェルスタッペンのチームメイトを務めるのは、最も羨ましくない仕事」であると語り、ペレスの状況を擁護すると共に、その働きぶりを賞賛。今季限りでの移籍説を一蹴している。
火のないところに煙は立たないとよく言われるが、ペレスは引き続き来季もレッドブルのマシンをドライブしているだろうか? あるいは?
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