快適性へ重きが置かれた4代目のX5
1999年の発売以来、BMWはX5をSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)ではなく、SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)だと主張してきた。その効果なのか、25年間に220万台を販売。マーケティング部門は、しっかり機能していたようだ。
【画像】大幅強化のハイブリッド BMW X5 xドライブ50e 競合クラスのSUVと比較 X6も 全192枚
確かな成功を築き上げてきたモデルなだけに、最新世代のアップデートでも間違いは許されない。ポルシェ911やフォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同様に。実用性や操縦性など、X5へ掛かる期待は大きい。
2019年に発売された4代目となるG05型では、動的特性の中でも、特に快適性へ重きが置かれた。一部の仕様ではエアサスペンションが標準で、エアコンは4ゾーン。フロントと、オプションでサイドに、防音ガラスも装備できる。
それでいて、これまで以上に魅力的なドライビング体験も約束されている。パノラミック・グラスルーフを指定できるが、電子制御のアンチロール機能も追加可能。物理の法則へ反するような走りは、最新世代でも健在のようだ。
2023年に受けたフェイスリフトで、英国仕様のX5は4種類へ絞られた。3.0Lディーゼルターボのxドライブ30dと、xドライブ40dのほか、プラグイン・ハイブリッドのxドライブ50eに、V8ツインターボのX5 Mというラインナップとなる。
バッテリーは25.7kWhへ拡大 システム総合で489ps
G05型が登場した当初、キドニーグリルの巨大化へ話題が集まったが、フェイスリフトでは拡大しなかった。見慣れた今では、大きなSUVのフロントマスクで、バランス良く納まっているように映る。
新しいノイエクラッセ・コンセプトを見る限り、BMWは落ち着いたスタイリングへ回帰しようとしているのかもしれない。ヘッドライトはスリムだ。
ボディサイズは3代目から成長し、フェイスリフト後の全長は4935mm、全幅が2004mm、全高は1765mmという巨体。もしこれで不足なら、全長5181mmのX7も選べる。車重は、今回試乗したxドライブ50eで2420kgある。
パワートレインは大幅に見直され、従来のxドライブ45eから50eへ、数字が増やされるほど。荷室のフロア下に積まれる駆動用バッテリーは、20.9kWhから25.7kWhへ増量。電気の力だけで、最長93km走ることが可能となった。
駆動用モーターも強化され、45eでは112psだったが、50eでは196psを発揮する。B58型の直列6気筒ターボガソリンは、燃費向上を目的にミラーサイクル化。286psから312psへ上昇し、システム総合での最高出力は489psになった。
トランスミッションは、ZF社製の8速オートマティック。前後のトルク分配を叶えた、多板クラッチの四輪駆動システム、xドライブが組まれる。オプションのオフロード・パッケージを選ぶと、リアにリミテッドスリップ・デフが装備される。
xドライブ50eでは、エアサスが標準。アクティブ・アンチロールバーと後輪操舵システムがオプション設定されるものの、試乗車は装備していなかった。
従来以上の高級感が狙われたインテリア
やや低めだった3代目と異なり、4代目の着座位置は視点が高く、SUVらしい。ランドローバー・レンジローバー・スポーツほどではないものの、堂々とした印象を車内でも受ける。
フェイスリフト前のインテリアは、従来のBMW以上に、高級感が狙われたように見えた。クロームメッキ・トリムやフレームで囲われた操作パネル、視覚的な訴求力の強い化粧パネル、ドラマチックな造形などで。
基本的な雰囲気は、アップデート後も同様。ダッシュボードは刷新され、モダンさを増したけれど。前面には、12.3インチのメーター用モニターと、14.9インチのインフォテインメント用タッチモニターが一体になった、巨大なモニターパネルが鎮座する。
実際に押せるハードボタンの殆どは、その大画面に吸い込まれてしまった。便利なショートカットキーも消えた。そのかわりというべきか、ダッシュボードを横切るように、透明なプラスティックの帯がある。
エアコンの温度調整などは、タッチモニターへ常時表示されるものの、シートヒーターの調整は何度かタップが必要。メーター用モニターの表示は、可読性より、グラフィックの派手さへ力が注がれたのかもしれない。
タコメーターは、スポーツ・モードを選ばない限り非表示。通常は、パワーゲージが描かれる。表示できる情報の選択肢は、もっと多くて良い。
便利な分割式のテールゲート
内装には、高級感が若干劣る部分も混在する。エアコンの送風口はプラスティッキーで、クリスタルが用いられていたシフトセレクターは、小さなスイッチへ置換された。
後席の空間は広め。ただし、バッテリーEVのiXほど広いわけではない。リア側にもシートヒーターが備わり、USBポートが多数用意されている。ちなみに、ディーゼルエンジンを指定すれば、3列シートも指定できる。
荷室容量は、駆動用バッテリーの影響で500L。このクラスでは狭めながら、フラットなフロア下には、小さな収納空間が設けられている。
テールゲートは、分割して開閉可能。下半分を手前に倒してベンチとして使えるし、狭い駐車場でも荷物を出し入れできる。レンジローバーのように。
インフォテインメント・システムの使い勝手は、最新世代のiドライブ8では、ほどほど。折角ロータリーコントローラーが備わるのだが、ソフト側はそれを充分に利用できていない。各機能は独自のアプリへ分割され、サブメニューは多すぎる。
ナビやメディア、ホームなどへ1発でアクセスできる、ショートカットは便利。英国仕様のナビは使い勝手が良く、スマートフォンのミラーリング機能へ逃げたくなることはないだろう。スマートフォン用アプリ、マイBMWも高機能だ。
この続きは、BMW X5 xドライブ50eへ試乗(2)にて。
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