■単3電池2本で夢中になるおもちゃ
子ども達の遊びには、定期的なブームがあり流行っては廃れてを繰り返しています。そんななか、初登場から約37年もの間、多くの子ども達を夢中にしているおもちゃが「ミニ四駆」です。
ミニ四駆「エアロ アバンテ」が本物のクルマに 最高速度は180km/h!
リアルワールドを超えて、幾度となく漫画にも登場したミニ四駆。当時、子どもだった子が大人に成長し、そして親から子どもへ「ミニ四駆ワールド」は受け継がれています。なぜ、流行り廃れを乗り越えて人気が続いているのでしょうか。
現在でも、いくつかの漫画で連載するほか、全国で数多くの大会が開催されているミニ四駆は、株式会社タミヤが1982年に発売した「フォード・レンジャー4×4」と「シボレー・ピックアップ4×4」から歴史が始まります。
当時、フォードとシボレーのピックアップトラックは人気のあった車種で、四駆の走破性を特徴とした初のミニ四駆として登場。その後、1987年にミニ四駆をテーマとした漫画『ダッシュ!四駆郎』(徳田ザウルス/小学館)が連載を開始し、1989年にはアニメ化されるなど徐々に人気を得ていくのです。
同時期には、ミニ四駆の全国大会となる「ジャパンカップ」を開催し、独自キャラクター「ミニ四ファイター」の登場などさまざまな方法で宣伝を行っていきましたが、アニメの終了やミニ四駆の主要層の成長に伴い、最初のミニ四駆ブームは終焉を迎えます。
その後、1990年代半ばに連載が始まった漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』(こしたてつひろ/小学館)が再び火付け役となり全国的に人気が再燃。これが、ミニ四駆の第二次ブームです。
その後、第一次ブーム同様にアニメの終了や子どもの成長、他ジャンルの遊びなどのさまざまな影響によって、人気は下降傾向となり、第二次ミニ四駆ブームは2000年頃に再び終焉を迎えます。2000年以降は、人気が下火になりつつも公式大会の開催や各所でのさまざまな活動によってミニ四駆のジャンルは確立され、一部のファンなどに支えられていました。
2010年頃には、第一次・第二次のときに夢中になっていた主要層が再びミニ四駆に戻ってきたことや当時の商品を再販するなどにより、第三次ミニ四駆ブームが到来するのです。
この頃には、当時の主要層以外にその子ども達もミニ四駆に興味を示すなど「親子で楽しめるミニ四駆」としてのビジネスモデルを確立します。
また、東京・新橋駅近くにタミヤのオフィシャルショップ「タミヤプラモデルファクトリー新橋」を2008年にオープンさせるなど、会社帰りのお父さんを狙った販売戦略も功をそうしているようです。
いまなお人気が続く「ミニ四駆」について、ミニ四ファイターは次のように説明しています。
―― 子どもから大人まで楽しめる「ミニ四駆」について
単3電池2本とモーターひとつを内蔵した全長約15センチのレーシングホビーです。走行性能を追求するためのグレードアップパーツによるカスタマイズや個性を表現するコンテストなど、小さなサイズのなかに無限の可能性を秘め、2019年4月現在では、累計約1億8千万台を販売しています。
1982年の初代ミニ四駆から2019年までの37年間に、300種類以上のミニ四駆と400種類以上のグレードアップパーツが登場し、ロングライフホビーとしてミニ四駆ユーザーのお客様と共に着実な歩みを重ねてまいりました。 ―― 「ミニ四駆」人気の秘訣について
インターネットやスマートフォンを通じて、SNS上でミニ四駆を話題としたコミュニケーションが国や年齢を問わず増加しています。ミニ四駆の楽しさの共有や交流だけでなく、自らがレースを主催・開催するユーザーやコミュニティも数多く見られるようになりました。
そのなかには、「ものづくりワークショップ」のような小規模なものから数百人といった大規模なレースイベントまで、内容や規模も多種多様となっており、公式大会とは違った盛り上がりをみせるなど、ミニ四駆の楽しみ方がさらに広がっているのです。
このようなイベントをタミヤの公式サイトや公式アプリなどで告知をするほか、大会バナーのレンタルを行うことで応援を行っています。また、全国に約500店舗あるサーキットの常設店のミニ四駆ステーションでも店舗主催のイベントを行い、タミヤ主催のものを合わせると年間2千回以上開催しています。地元の販売店やお客様との接点を図ることで、ミニ四駆を活性化させているのです。
※ ※ ※
ミニ四駆は、従来の子どもだけの「おもちゃ」から、大人を巻き込んだ「コミュニティツール」に発展したことが大きなビジネスチャンスを生み、その人気を支えているといえます。
単なる、速さを追求した「遊び」から、さまざまな切り口をきっかけに「繋がる楽しさ」も遊びの要素となったミニ四駆。今後は、スマホでも楽しめる「ミニ四駆アプリ」も登場するとあって、第四次ブームの到来もあるかもしれません。
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