フォルクスワーゲンやアウディ、ヒュンダイなど、各メーカーが続々とマシンを投入しているグローバルなツーリングカー規定、TCRに新たなマニュファクチャラーが登場する。かつてWTCC世界ツーリングカー選手権にワークス参戦を続けていたロシアのラーダが製作した新型『ラーダ・ベスタTCR』が、ドイツ・ニュルブルクリンクの耐久シリーズ、VLN参戦を皮切りにTCRドイツへの参戦も計画しているのだ。
すでにロシア国内シリーズであるTCRロシアには一足先にデビューを果たしているこの新型モデルは、新たにこのプロジェクトを率いるドイツのレーシングチーム、ルブナー・モータースポーツのオペレーションで初めてロシア国外のシリーズに参戦を果たす。
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ルブナー・モータースポーツは今季のVLNにオペル・アストラTCRを投入。このマシンをドライブするイェンス・ウルフ/ルーカス・シール組に、ラーダ・スポーツ・ジャーマニーの代表、アンドレイ・シドレンコを加えた3名体制で、6月末のVLN第3戦にエントリーを果たした。
ラーダ・スポーツの本拠地があるロシアのトリヤッチからマシンデリバリーを受けたルブナー・モータースポーツは、新型『ラーダ・ベスタTCR』をこのVLNだけでなく今季後半のTCRドイツに投入することも検討中だという。
「我々はこれまでも密接にラーダ・スポーツとの仕事を続けてきた。このラーダ・ベスタTCRがホモロゲーションを取得してすぐ、私たちはテストを行うためにロシアへ飛んだんだ」と語るのは、チーム代表のミルコ・ルブナー。
「そのテストの結果と感触を受け、すぐにマシンを購入することに決めた。デリバリーを受けてすぐ、こうしてVLNの第3戦にエントリーすることができてうれしいよ」
このカーナンバー821号車は残念ながらVLN第3戦のTCRクラスで最初のリタイアを喫するも、チームは今後もこのマシンの活躍の場をドイツ国内で広げていく計画だという。
「この後、すべてが上手くいけば残りのVLNシリーズ戦に参戦するつもりで、さらにシーズン後半戦にはゲスト参戦という形で、ADAC TCRドイツ・シリーズのザクセンリンクのイベントにもエントリーできればと考えている」
ラーダ・スポーツは、これまでワークス参戦したWTCCのTC1規定でベスタTC1の開発を続けてきており、2015年はロブ・ハフ、ジェームス・トンプソン、2016年はガブリエル・タルキーニやニッキー・キャッツバーグにもステアリングを託し、幾度かの勝利を挙げるまでに成長。そのノウハウをこのTCRマシンにも転用したという。
今季初頭にスペイン・バレンシアで開催されたTCRシリーズ公式のBoP(性能調整)テストにも初参加しており、今後本格的なデリバリーの計画を立てている。ただし、このドイツ系チームの活動は、あくまでチーム単位でのプロジェクトであると、チーム代表のミルコ・ルブナーは強調する。
「我々は非常に意欲的に取り組んでいるし、このプロジェクトを成功させるため最善を尽くすつもりだ。しかしながら、我々はラーダ・スポーツからなんらの公式サポートを得ているわけではなく、すべてを自分たちの手で行っていく必要がある」
「ヨーロッパのいくつかのTCRシリーズでベスタの参戦実現を可能にするサポートを得られるとしたら、それはとても素晴らしいことだろうね」
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