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理解後の「幸福感」は他に例がない ランドローバー・レンジローバー 長期テスト(最終)

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理解後の「幸福感」は他に例がない ランドローバー・レンジローバー 長期テスト(最終)

積算2万4195km 心へ強く響かなかった第一印象

世の中には、熱烈なレンジローバー・ファンが存在する。驚異的な性能を実際に発揮させることはなくても、無条件にブランドとクルマへ厚い信頼を寄せているようだ。ランドローバーのモデルを、所有し続けたいと考えるオーナーは多い。

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実際、最新のランドローバー・レンジローバーも非常に魅力的なSUVだと思う。そんな人々の考えは理解できる。だが、初めは筆者の心へ強く響くことはなかった。

自分にとって、目下の完璧なランドローバーは、ディーゼルターボのV6エンジンを搭載したディスカバリー4だ。車内は広く快適。扱いやすいボディサイズで、シャシーは堅牢。過度に気取っていない雰囲気も好ましい。

レンジローバー P440eの長期テスト担当者へ交代した時、正直なところ、さほど心が躍ったわけではなかった。英国ではプラグイン・ハイブリッドは減税措置を受けられるが、車重2.7tのSUVを欲しいと考えたことがなかったからだろう。

筆者が住むロンドン郊外のエリアでは、いかにもな大型SUVに乗っている人へ、友好的な隣人関係が生まれるとは考えにくい。控えめな、ベルグラビア・グリーンの塗装でも。メルセデス・ベンツGLCですら、小さく感じさせてしまうスケール感がある。

担当になってすぐ、レンジローバー P440eでフランスへ向かった。2週間弱、欧州大陸の各地を出張で巡ったのだが、例によって充電の切れた駆動用バッテリーは燃費に貢献しなかった。気を使いながら運転しても、9.0km/Lを超えることはなかった。

製造品質に対する細かな気がかり

もちろん、駆動用バッテリーをフル充電すれば、エンジンを回さずに80km近く走れる。とはいえ、自宅からの移動でも、面倒がってこまめに充電することはなかった。敷地にバッテリーEV用の充電器があり、簡単に始められるなら意識も変わると思うが。

3.0L直列6気筒ターボエンジンは、それ単体で充分な動力性能を発揮する。静かで滑らかで、トルクフル。ユニットとしての洗練度も高い。ガソリンを補給すれば、それでこと足りてしまうのだ。

インテリアも、感動するほどではなかった。ピヴィプロと呼ばれるインフォテインメント・システムは完成度が高く、扱いやすい。四輪駆動システムの稼働状態がわかるグラフィックも、丁寧に描かれ感心した。雲の上のような静寂性も素晴らしい。

それでも、運転する時間が長くなるほど、製造品質に対する細かな部分が気になっていった。スイッチ類の一部には、ソリッド感に欠けるものが混在していた。

電気的なバグも、いくつか体験している。特に目立ったのがウインカー。右と左で、点滅するスピードが2倍近く違うのだ。

ウルトラファブリックと呼ばれるポリウレタン・レザーの内装素材は、触感に優れるわけではなく、ホコリも付きやすい様子。レンジローバーの価格帯にはそぐわないだろう。自身で選ぶなら本物のレザーを指定し、明るめの色で仕上げると思う。

フランスの町では、駐車場の区画からボディがはみ出た。高速道路を延々と走る場面では、ステアリングの反応が気にかかった。

魅力を理解した時の幸福感は他に例がない

そんなモヤモヤは、悪天候での長距離ドライブで晴れていった。好条件とはいえない環境下での能力は、圧巻といっていい。それを知ってしまうと、レンジローバーに対する印象は大きく変わった。それまでの小さな不満も、フェードアウトしていった。

大雨の高速道路や、舗装されていない道で、レンジローバー P440eは筆者の心を動かした。大きなボディサイズにも関わらず、操縦性は感動的に一貫。ステアリングの反応とボディロールの生じ方のリニアさで、運転する充足感は非常に高い。

後輪操舵システムは、狭い路地で効果を発揮。運転席からの優れた視認性も、同様に役に立つ。システム総合での最大トルクは、63.0kg-mもある。レンジローバーと親しくなった時に得られる幸福感は、他に例がないと思う。

スタイリングも、周囲に紛れない個性がある。GTが付く、高性能なポルシェ並みかもしれない。魅力を理解してしまうと、レンジローバーなしでは暮らせないような気にもなる。

冒頭で触れたような、熱心な信者になったわけではない。やはり、ディスカバリー4の方が、筆者にとってはベストなランドローバーだ。また日常的な利用条件で考えれば、BMW X7の方が効率的で、使い勝手も良いかもしれない。

それでも、長期テストを経て、レンジローバーを自身のクルマにしたいという気持ちが自然に湧いてきたことは事実。適切な仕様で。

セカンドオピニオン

ロンドンでは、レンジローバーのような大型SUVの割合が驚くほど高い。実際、非常に良く機能するからだろう。大きなボディは、市街地で少々手に余る。それでも、低い速度域ではミニのように走れる。とても静かに。 フェリックス・ペイジ(Felix Page)

テストデータ

気に入っているトコロ

サンクチュアリのような静けさ:室かな車内空間に包まれた移動時間が、心を満たしてくれる。
シルキーな走り:電気モーターが組み合わされた、直列6気筒エンジンはまさに宝石。回転音は静かで、力強く引っ張ってくれる。
上品な操縦性:まるでサラブレッド。必要になれば、不満ない活発さで先を急げる。

気に入らないトコロ

製造品質:インテリアのファブリックは疑問。金庫のようなソリッド感も欲しい。
乗り心地:小さめのアルミホイールでも、スピードバンプや荒れた路面では、期待したほど穏やかというわけではない。

走行距離

テスト開始時積算距離:4903km
テスト終了時積算距離:2万4195km

価格

モデル名:ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
開始時の価格:13万4865ポンド(約2495万円)
現行の価格:13万4865ポンド(約2495万円)
テスト車の価格:13万6900ポンド(約2532万円)

オプション装備

牽引バー:1095ポンド(約20万3000円)
フロント・センターコンソール冷蔵庫 :480ポンド(約8万9000円)
セキュア・トラッカー・プロ:340ポンド(約6万3000円)
外部電源ソケット:120ポンド(約2万2000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:114.4km/L
タンク容量:71.5L
平均燃費:9.8km/L
最高燃費:12.5km/L
最低燃費:6.5km/L
航続可能距離:698km(ガソリン)/80km(電気)

主要諸元

最高速度:225km/h
0-100km/h加速:6.0秒
車両重量:2695kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:440ps(システム総合)
最大トルク:63.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
トランク容量:818-1841L
ホイールサイズ:20インチx8.0J
タイヤ:275/55 R20 ミシュラン・プライマシー・オールシーズン
車両重量:2695kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:1850ポンド(約34万3000円/月)
CO2 排出量:20g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:タイヤ修理 30ポンド(約6000円)
燃料コスト:3015.3ポンド(約55万8000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:3015.3ポンド(約55万8000円/ガソリン)
1マイル当りコスト:0.25ポンド(約46円)
不具合:ウインカーの点滅スピード

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みんなのコメント

3件
  • たかたろう
    5万キロ超えたあたりからの地獄も記事にしないと意味がない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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