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【モータースポーツ特集】スピードを追求する本能を刺激する「究極のエンターテインメント」

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【モータースポーツ特集】スピードを追求する本能を刺激する「究極のエンターテインメント」

観る、操る、そして競い合う、⼈とマシンによる“スポーツ”

 スポーツといえば、人間が体を動かすことを基本とした競技、娯楽と捉えるのが一般的である。そのスポーツに、モーター、つまり自動車の要素を掛け合わせたのがモータースポーツだ。モータースポーツは、人間と自動車を組み合わせることにより、一般的なスポーツとは比べものにならないくらい多彩な楽しみ方ができるようになった。

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 けれども、あまりに多彩すぎて、複雑な様相を呈しているのも事実。たとえば、長年モータースポーツに接してきた私は「自分はモータースポーツ初心者なので、まだよくわかりません」という言葉をよく聞く。

 その気持ちはわからないではない。だがモータースポーツも他のスポーツも同様である。楽しむうえで“ルールを隅々まで理解していること”は必須条件ではない。実際、私の知り合いでも、規則や背景を知らないまま、サーキットの雰囲気を存分に楽しんでいる方が少なからずいる。だから、モータースポーツ初心者を自認していても「自分は知識がない」と思わずに、まずは目の前で起きていることを素直に楽しむところから始めてはいかがだろうか。

 さて、そんなふうにしてモータースポーツの面白さを感覚的に捉えられるようになると、「あれ、いまのは何だったの?」とか「前回と今回で様子がまったく変わったのはなぜ?」などと疑問を抱くようになるはず。そのとき、初めて立ち止まり、規則や歴史に触れても、決して遅すぎるということはない。

 モータースポーツは前述のように人間と自動車が組み合わさってできたスポーツである。したがって、規則にしても歴史にしても、人間重視の視点で捉えることも、自動車重視で捉えることもできる。ちなみにモータースポーツの規則は一般に競技規則(スポーティング・レギュレーション)と車両規則(テクニカル・レギュレーション)の2つで構成されている。前者は人間重視の規則、後者は自動車重視の規則と説明できる。もっとも、どちらも実物は六法全集並みに解読が難しい。ネットや専門誌に掲載されている解説書やガイドを参考にするのが理解の早道だ。

 歴史も同様である。人間重視と自動車重視という2つの視点から振り返ることができる。

 人間重視でいえば、ひとりのドライバーがどこで生まれ、どんな経験を積んで現在のチームに在籍することになったかを調べると楽しい。さらにいえば、同世代のライバルやこれまでのチームメイトについても学んでおくと、観戦時の楽しみが深まる。

 自動車重視でいえば、応援している自動車メーカーやチームがこれまでどんなカテゴリーに挑み、どんな成績を収めてきたかを知るのが興味深い。自動車メーカーであれば、どんな技術を得意としていて、どんなスタイル(短期決戦型か、細く長く戦い続けるタイプか)で各カテゴリーに挑んできたかに特徴がある。この点を学ぶことは、モータースポーツの奥深さを知るひとつの楽しみとなるはずだ。

⾃動⾞の発明からほどなくモータースポーツは誕⽣。

古くから続くレースは“季節の⾵物詩”として愛されてきた

 では、モータースポーツはいかにして始まったのか?  史上、最初の自動車競技は1894年に開催されたパリ~ルーアンだったとされる。いいわゆるエンジンを積んだ最初の自動車、パテント・モトールバーゲンが誕生したのが1885年だったので、そのわずか4年後には競技としてのモータースポーツが始まったことになる。その意味では、自動車とモータースポーツの歴史は切っても切れない関係にある。

 このパリ・ルーアンが自動車に対する人々の関心を高め、その実用性を実証するのが目的だったように、初期のモータースポーツは主に自動車の耐久性や高速性能を証明する舞台として発展を遂げた。現在まで続く最古のモータースポーツとして知られるインディ500(初開催は1911年、明治44年)、そして昨年100周年を迎えたル・マン24時間などが、いわゆる高速サーキットを長時間走行するイベントとして開催されてきたのは、これが最大の理由だった。自動車メーカーは、競技への参加を通じ、製品の高速性能や耐久性を改善していった。モータースポーツが“走る実験室”と呼ばれる所以である。

 そうした長い伝統を誇るモータースポーツ・イベントが、いつしか人々の暮らしに溶け込んでいったことはある意味で当然だった。インディ500は5月の最終週、ル・マン24時間は夏至(夜が短い)に近い6月中旬、初のF1レースとされるイギリスGPはイギリスで最も気候のいい7月上旬(1950年の第1回は5月の開催)といった具合に日程が固定化された結果、レースは地元の人々にとって“季節の風物詩”となり、まるで日本の夏祭りのように、とりたててモータースポーツ自体に関心がなくともサーキットに出かけるのが年中行事となった。また、そうしたイベントでは、観客がキャンプやピクニックをしながら日がな一日を過ごすことも、欧米におけるモータースポーツの楽しみ方を象徴しているように思える。

 同じような楽しみ方が、富士24時間レースを筆頭とする日本のモータースポーツ・シーンでも見られるようになったことはうれしい限りだ。

 ちなみに、スポーツの語源はラテン語の「deportare」である。この言葉には「生活から離れること」から始まって「気晴らしをする」「楽しむ」「遊ぶ」といった意味が込められている。しかも、「deportare」は「de」が「離れて」、そして「portare」が「運ぶ」を指していたというのだから、モータースポーツとスポーツはもともと切っても切れない関係だったといえる。

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みんなのコメント

2件
  • tal********
    日本が自動車大国でありながらモータースポーツ後進国になったのは昔の運輸省がレースは暴走行為を助長する、暴走族を増やす、事故を増やす悪の行為として扱い、文化として育てようという気概が昭和の役人たちに全くなかった。童磨零の型式認定を認めなかったり、フルカウルのバイクやセパレートハンドルを認めなかったり(※ドカティなど輸入車と逆輸入はOKなのがまた不条理)、ロクなことをしてこなかった。

    ルマンやWRCの異様な熱量や、北米におけるインディ500のお祭り感をこの国で体感するのは難しいかもしれませんね。
  • Takashi****
    TOYOTA 7(トヨタ セブン)
    サイドに大発、日本電装、山葉の製作協力のメーカー名が入っている
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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