カレンダー上でも終盤戦を迎え、続く10月7~9日に南アフリカはケープタウンでのダブルヘッダーが。さらに11月12~13日には香港はセントラル・ハーバーでの初開催イベントが予定されているWorldRX世界ラリークロス選手権は、現在のシリーズで最大の懸案材料となっている火災事故の原因究明にさらなる時間が必要との見通しから、前出の2戦も電動最高峰クラス“RX1e”の開催休止を決定した。
引き続き世界選手権に出場するドライバーたちは、WorldRXのステップアップシリーズであるFIA RX2e選手権で使用する電動ワンメイク車両『ZEROID X1』をドライブし、チャンピオンシップを掛けて争うこととなった。
RX1e開催休止のなか、RX2e最終戦で王座に挑んだコチュリンスキーは届かず/WorldRX第6戦
シーズン第4戦となった7月のイギリス・リデンヒルで発生した車両火災は、今季よりセバスチャン・ローブを擁して参戦するスペシャル・ワン・レーシングの新型RX1e車両『ランチア・デルタEvo-e RX』の2台を全焼させる事態となった。
これを受け、シリーズは火災に関する継続的な調査を優先して、その後のベルギー、ドイツ戦では最高峰クラスRX1eの開催休止を決定。各レギュラードライバーたちは、同じくフルBEVで270kW(約367PS)を発生する4輪駆動のRX2e車両を暫定的にドライブしていた。
こうした状況も鑑み、この9月1日に実施されたFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)の臨時電子投票により、今季WorldRXシーズンの最後の4ラウンド(ダブルヘッダー×2)は予定どおり実施されることに。
ケープタウンと香港の双方で、各ドライバーは2023年の世界ドライバーズチャンピオンの座を目指し、進行中のポイントスタンディングに則した点数が与えられることが確定した。
■香港開催はアジア初
ただし、前出の安全性に対する懸念と、ケープタウンへの車両輸送の物流期間を考慮し、競技車両は全車『ZEROID X1』が採用される。
「ラリークロス・プロモーターは、シーズン終盤戦のケープタウンと香港に向け、遠征を可能とする方向で全力で取り組んでいる」と語るのは、同組織のマネージングディレクターを務めるアーネ・ディルクス。
「ケープタウン戦を終えたマシンはその後、シーズン最終戦ダブルヘッダーのため中国に移動し、WorldRXはチャンピオンシップ史上初めて香港のダウンタウン・ストリートに向かう」と続けたディルクス。
「もっとも重要なことは、世界最高のドライバーが競技参加することであり、ファンが双方の場所で素晴らしい週末を過ごすことが可能になることだ。それは(決定された方法により)実現されると確信している」
来月ケープタウンで開催されるイベントには、現チャンピオンシップリーダーのヨハン・クリストファーソン(クリストファーソン・モータースポーツ)を筆頭に、RX1eから最低8名のドライバーが出場することが確認されている。
ディルクスはこれらのエントリーに対し、「2023年シーズンを勢いよく終えることができるよう、素晴らしい協力をしてくれたチームやすべての関係者に感謝したい」と述べている。
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