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リーマンショックで夢と消えたホンダのV10搭載スポーツ! レースでのみ登場した「HSV-010」とは

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リーマンショックで夢と消えたホンダのV10搭載スポーツ! レースでのみ登場した「HSV-010」とは

 この記事をまとめると

■スーパーGTのホンダワークス車両として「HSV-010」というマシンが存在した

とうとう「NSX-GT」が涙のラストラン! スーパーGTを駆け抜けたNSXについて「ドライバーと開発者」に直撃した

■「アキュラ・アドバンスド・スポーツカー・コンセプト」として発表されたのがベースだ

■市販化の予定もあったが、リーマンショックの影響で開発と販売が中止となった

 いまなお語り継がれる伝説のGTマシン「HSV-010GT」とは

 日本国内モータースポーツのトップカテゴリーである「SUPER GT」。GT500/GT300というふたつのクラスが存在するこのSUPER GTにおいて、GT500クラスはトヨタ、日産、そしてホンダの3メーカーがレース専用に開発したワークスマシンによって争われている。

 そのGT500クラスにホンダはNSX-GTと呼ばれる車両で参戦していたが、2023年シーズンをもってNSX-GTでの参戦を終了。2024年シーズンからは、マシンをCIVIC TYPE R-GTへと一新してチャンピオン獲得を目指す。

 NSX-GTは、その前身であるNSX CONCEPT-GTが2014年シーズンに参戦。そして、2017年シーズンからは第二世代NSXの販売開始に合わせてNSX-GTへと進化してGT500クラスへ参戦を続けた。ちょうど10年に渡った参戦期間のうち、RAYBRIG NSX-GTが2018年と2020年にシリーズチャンピオンを獲得している。

 そんなNSX-GTの参戦終了で思い出されるのが、先代のGT500車両である「HSV-010GT」だ。SUPER GTの参戦車両は、GT500/GT300とも基本的に市販車両をベースとすることが定められており、HSV-010 GTは、JAFより特別な承認を得て参戦が許可された経緯がある。

 ホンダが初代NSXを発表・発売したのは、1990年のこと。オールアルミ製モノコックボディにV型6気筒エンジンを搭載したミッドシップスーパースポーツは、日本や欧州、そして北米市場へ導入された。この初代NSXは2005年をもって販売を終了した。その後継モデルとして開発が進められた市販スーパースポーツがHSV-010だ。

 このHSV-010は、2007年初頭にミシガン州デトロイトにて行われた北米国際自動車ショーにおいて、「アキュラ・アドバンスド・スポーツカー・コンセプト(Acura Advanced Sports Car Concept)」として初披露。ホンダが北米市場で展開するACURAブランドのフラッグシップとして、3.5リッターV型10気筒エンジンと、高性能スポーツカー用に後輪駆動をベースとして設計された全輪駆動システム「SH-AWD」を採用することが明らかにされた。

 ボディサイズは全長181.5インチ(4610.1mm)×全幅78.6インチ(1996.4mm)×全高48.1インチ(1221.7mm)で、エンジン搭載位置に関する正式な発表はなかったものの、ロングノーズ&ショートデッキのシルエットからは、V型10気筒エンジンをフロントに縦置き搭載することが予想された。

 レースでは独特な音が多くのファンを魅了

 HSV-010は2010年の販売を予定しており、前述の2007年にプロトタイプを発表して以降は、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースを舞台に開発テストを行う車両の目撃情報も多く報じられていた。しかしながら、2008年9月に発生したリーマン・ブラザーズの経営破綻に始まる世界的な金融危機(リーマンショック)や、年々加速していく環境問題への対応といったことが理由となり、市販型HSV-010の開発は中止されてしまった経緯がある。

 市販モデルの開発は中止となったものの、特例車両としてSUPER GTに登場。2010年から2013年にかけ、GT500クラスに「HSV-010 GT」として参戦した。駆動方式はFRで、エンジンは3.4リッターのV型8気筒HR10EGを搭載。これは当時のフォーミュラニッポン用エンジンをGT500用にアレンジしたもので、センター1本出しタイプのマフラーから放たれる甲高い排気音は多くのレースファンから支持を集めた。

 HSV-010 GTがSUPER GTに参戦した期間はわずか4シーズンだが、参戦初年度の2010年にはウイダーホンダレーシング(小暮卓史/ロイック・デュバル組)がシリーズチャンピオンを獲得。2011~2013年もチャンピオンにこそ届かなかったものの、毎年複数回の勝利を記録するなど高いパフォーマンスを示した。

 なお、HSV-010 GTの開発責任者は、かつて初代NSXのシャシーPLを務め、その後は「カラス」と呼ばれたホンダ自社製のF1マシン開発を主導し、初代NSXをベースとしたNSX-GTの車体開発責任者などを歴任した瀧 敬之介氏である。

 一見すると接点は多くないように思える初代NSX、NSX-GT、F1、そしてHSV-010やHSV-010 GTだが、いずれも根底には赤く燃えたぎるホンダのレーシングスピリットが脈々と受け継がれていたマシンだったのだ。

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みんなのコメント

21件
  • sad********
    とにかくいい音でしたね
    今はもうF1も含めて「ウボボー」って低い音ばかり
    サーキットから甲高い、いい音が消えてしまいましたね
    もう2度と戻ってこないなんてね・・・
  • らくてん
    F1でアースカラーとか言って意味分からん事してた迷走時代
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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