10月17日、2024年WRC世界ラリー選手権の第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』の競技初日“デイ1”が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合トップに立った。日本人ラリードライバーである勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は首位と2.0秒差の総合4番手につけている。
2024年シーズンも終盤に差し掛かり、残すところはターマック(舗装路)イベント2戦のみとなった。チャンピオンシップに注目が集まるなかで開幕を迎えたセントラル・ヨーロピアン・ラリーは、WRCのカレンダーで唯一、チェコ、ドイツ、オーストリアの3カ国を跨ぐイベントだ。
勝田貴元が復帰戦で好調スタート「速さと自信を持ってドライブしている」と代表も安堵/WRC第12戦
午前中のシェイクダウンを終えた各クルーは、チェコで行われたセレモニアルスタートに参加し、集まったファンの声援を受ける。晴天に彩られたヨーロッパ中央部でのラリーは、華やかに開幕した。
秋も深まるチェコが舞台となるデイ1。気温も20度に届かない涼しい気候のなか、競馬場を使った2.55kmのスペシャルステージ(SS)1『ヴェルカー・フフレ』がスタートした。芝コースに敷かれたアスファルトで外周路とインフィールドを繋ぐレイアウトで、インフィールドでは一部がグラベル(未舗装路)、ジャンプポイントでターマック(舗装路)に戻るという若干トリッキーなステージだ。
最高峰クラスのアタックは、ランキング首位のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)から。勢いよくアタックを開始したヌービルは、シケインでマシン右側を接触し、エアロ破損でタイヤ表面を少し露わにしつつ7番手で完走した。
1本目から油断ならない雰囲気となったSS1を制したのはオジエとなり、1分49秒3のトップタイムをマーク。2番手には勝田が0.6秒差で続き、シェイクダウン同様にトヨタ好調の雰囲気だ。3番手に入ったアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)も、シケインで左右両方のミラーを失う攻めの走りをみせ、オジェから1.1秒差のタイムを刻んでいる。
夕焼けが滲むなかスタートしたSS2『クラトヴィ』は、11.78kmのフルターマックステージだ。走行が進むにつれて宵闇の広がるSS2となったが、ヌービルがSS1でのミスを払しょくするステージウインを飾った。
総合2番手に浮上するも「素直に喜べない」と語るヌービル。「ストローバリアに接触をしてしまって、右フロントのエアロを失ってしまったからね。いくつか接触したけれど、負ける要素はもう何も無いよ」と不安定な開幕日の走りを気にしており、若干ナーバスな空気も感じさせた。
2番手タイムはオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)、3番手にはオジエが続いたことで総合首位の座もキープ。SS2はドライバーズタイトルを争う3台がトップ3タイムを占めるかたちとなり、白熱の展開で第12戦が幕を開けた。そして、ヒョンデの3台目ミケルセンがSS2でも僚機に続き、1.7秒差のステージ4番手タイムを刻んで総合3番手に浮上している。
一方、シェイクダウンから順調な走りを見せている勝田は、SS2ではヌービルから2.5秒差の6番手タイムを記録し、オジェから2.0秒差の総合4番手につける落ち着いたスタートを切った。
WRC2クラスは、ニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)がクラストップに立ち、1.7秒差の2番手にはスポット参戦のフィリップ・マレス(トヨタGRヤリス・ラリー2)が続く。シェイクダウンから好調のミコ・マルツィク(シュコダ・ファビアRSラリー2)も3番手に続き、開幕から各メーカー三つ巴の争いが繰り広げられている。一方、チャンピオンシップの逆転にはクラス優勝が至上命題となるヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)は、SS2で接触によるタイヤパンクで約30秒をロス。クラス10番手スタートという手痛い初日となった。
10月18日(金)の競技2日目は、SS3からSS8の計6ステージが行われる。6本のステージ総距離は110.64km、リエゾン(公道区間)もふくめた1日の総走行距離は567.77kmだ。
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