創刊以来、65年の歴史を刻むモーターマガジン(MM)が持つアーカイブから、ちょっと懐かしく珍しいクルマを紹介する大型連休の短期連載企画。第9回はシトロエン 2CVをベースにした「ホフマン 2CVカブリオレ」だ。
ホフマン 2CVカブリオレ(1992年)
シトロエン 2CVは、通算で40年以上も生産された希代の長寿車だった。第2次大戦前からフランスの国民車として構想が進められ、開戦直前の1939年にはプロトタイプが出来上がっていたが、実際に販売が始まったのは戦後しばらく経った1949年のことだった。
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経済性の高いエンジン、メンテナンス性に優れたボディ、取り外し可能なシートに巻き取り式のソフトトップなど、20世紀を代表する名車として1990年までに390万台近くも生産された。
そんな2CVを、ドイツのボディメーカーである「ホフマン」が独創的な一種のレジャービークルに仕立て上げたのが、この「ホフマン 2CVカブリオレ」だ。2CVのリアセクションを改造し、独自の工夫でフルオープンのしゃれた2シーターに変身させてしまった。ボディ後半は1930年代のアメリカ製フェートンのようなスタイルだ。しかも、脱着式のFRP製ハードトップも備えている。
このデタッチャブルのハードトップは1960年代に流行したクリフカット的なユニークな形状で、2CVをクラシック クーペ風に見せてくれる面白いデザインだ。ボディ側は2カ所をナットで、フロントウインドー側は2カ所をボルトで留めて固定するため、取り外しはけっこう手間がかかる。もちろん、外したハードトップは車内には収納することは不可能だ。
ハードトップとは別にソフトトップも用意されている。ただし、この装着にも専用のアタッチメントを取り付けたりする手間が必要だから、季節を考えながら1年のうちの半分はハードトップ仕様で、残り半分はソフトトップ仕様で、といった使い方をするのが効果的かもしれない。
0.6LのOHV フラットツインはオリジナルのままで、シフトレバーがそのまま4速マニュアルトランスミッションのリンケージとなっている構造も変わらない。シフトレバーを前後に押し引きしたり、横に倒して行うというシフトチェンジもそのままだ。
初めて運転する人には慣れを要するが、コツをつかむとけっこう面白い。走りっぷりは実にのどかで、しかも2CV伝統の乗り心地の良さも引き継がれている。ホイールストロークが長いので、ショックの吸収性が良いのだ。ロードホールディング性も信じがたいほどしっかりしている。
インテリアはオリジナルの2CV同様、120km/hスケールの速度計と燃料計/電流計だけのインパネと、いたってシンプル。リアシートを取り払ったおかげでトランクスペースは広大だが、このクルマでツーリングに出かける人はいないだろう。
リゾートのガレージに置いておいて、風を感じながらパタパタと優雅に走りを楽しむ。ホフマン 2CVカブリオレとは、そんな付き合い方をしてみたいものだ。
ホフマン 2CVカブリオレ 主要諸元
●全長×全幅×全高:3830×1480×1470mm
●ホイールベース:2400mm
●重量:930kg
●エンジン種類:空冷 水平対向2 OHV
●排気量:597cc
●最高出力:28ps/5750rpm
●最大トルク:4.0kgm/3500rpm
●駆動方式:縦置きFF
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:125R15
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