海外ではすでに登場を果たしていた日産のSUV・4代目エクストレイル。2022年7月25日、ついに(というか、やっと?)日本での販売を開始した。
第2世代「e-POWER」と「VCターボ」の投入など、新技術も多く搭載され大進化を果たした4代目エクストレイル。売れ行きも好調で、8月8日のリリースでは、約2週間で1万2千台の受注を突破、歴代エクストレイル史上最速、そしてe-POWER車としても発売から最短の日数で1万台の受注を超えたという。
e-POWER専用でどうなった? 待った甲斐あり?? 「全面進化」の新型エクストレイル SUV最激戦区へ殴り込み!!!
自動車評論家でありまたプロドライバーでもある松田秀士氏が、追浜にある日産テストコースでその実力を試す! 同日に行われたコンパクトSUV「キックス」4WDモデルの試乗記もお届け!
●新型エクストレイルの進化のポイント
・待望の1.5L直3のVCターボe-POWERを搭載! 驚くほど静かで驚くほど速い!
・アリアB9に先駆けて2モーター4WDのe-4ORCEを市販化。どんな路面コンディションでも最適のトラクションを確保!
・エクステリア、インテリア、走りのすべてで高質感を追求! 満足度は強烈に高い!
・大幅進化しながらも買い得感が激高!
※本稿は2022年7月のものです
文/松田秀士、写真/ベストカー編集部、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年8月26日号
■『タフギア・先進性』をさらに昇華させたうえ『上質感・高品質』への強いこだわりを具現化
日産 新型エクストレイル。待望の可変圧縮比VCターボe-POWER&e-4ORCE搭載で新章に突入!
昔から主役は遅れて登場する、と言われるが、ミドルクラスSUVの定番人気モデルのエクストレイルが待望の日本デビュー!
新型エクストレイルは、2000年に登場し若者を虜にした初代モデルから数えて4代目。
エクストレイルのDNAである『タフギア』、3代目の『先進性』をさらに昇華させたうえ、『上質感・高品質』への強いこだわりを具現化している。
まずはボディサイズ。新型エクストレイルは、全長4660×全幅1840×全高1720mm。旧型が全長4690×全幅1820×全高1740mmだからほぼ同サイズながら、ワイド&ローフォルムが強調されている。
エクステリアは力強いVモーショングリルに代表されるタフさと、張りのある美しい面構成による上質感、高級感がミックスされている。
旧型同様に標準タイプのほかに、タフ×ラギッドを強調した「エクストリーマーX」、高級志向の「オーテック」をラインナップするが、旧型より各モデルが明確に差別化され、手強いライバルに対抗する。
■VCターボ×e-4ORCEで圧倒的静粛さ×FR的な楽しさ!
1.5L、直3のVCターボは144ps/25.5kgmをマーク。圧縮比を8~14まで自在に可変。排気量に換算すると1.5~2.8Lに相当。それに高出力モーター(204ps/33.7kgm)が組み合わされる
エクストレイルの第一のトピックはパワートレーンで、1.5LのVC(可変圧縮比)ターボを発電専用とするe-POWER専用車となった。
VCターボ(144ps/25.5kgm)は巡行時も加速時もエンジンの存在をまったく感じさせないくらい圧倒的に静かで、高出力モーター(204ps/33.7kgm)を組み合わせることで、より静かにより力強い走りを実現。
新型エクストレイルのもうひとつのトピックは、アリアに先駆けて商品化された2モーター4WDのe-4ORCEで、前後モーターと左右ブレーキを統合制御することにより、日常から雪道・オフロードまであらゆる路面で意のままに操れるコントロール性を実現している。
詳細は後述するが、このe-4ORCEは組み合わされるリアモーターが136ps/19.9kgmとパワーがあるので、後ろから押されているようなFR的な楽しさも特筆レベルだ。
新型エクストレイルは、FFと4WDのe-4ORCEをラインナップしているが、タフ×高品質というのをより堪能できるのは4WDだ。
■新型の重要な要素たる「高品質」を最も具現化したインテリア
続いてはインテリア。新型エクストレイルの重要な要素である「高品質」というのが最も具現化されているのがインテリアで、その変貌・進化ぶりには驚かされる。
インテリアは水平基調ながら抑揚があり高級感満点。ミドルクラスSUVではハリアーがその高級感から人気になっているが、凌駕するレベル。
シート素材にもこだわり、オプションで高級感満点のナッパレザーが用意されるほか、ソフトレザー並みの感触を持つ人工皮革のテイラーフィットを新開発。
また4WDの一部モデルに3列シートを設定して多人数乗車に対応。
エクストレイル史上最も高級なインテリア。写真はG、G e-4ORCEにオプション設定される高級感満点のナッパレザー(抗菌仕様)
視認性に優れたメーターパネル、操作性に優れた12.3インチの大画面ナビゲーション、大画面ヘッドアップディスプレイなども装備する。
新型では旧型よりも全高が低くなっているが、後席のヘッドクリアランス、膝回りの広さなどクラストップ。
後席のシートスライド量が旧型より20mm伸ばされたことと合わせて、快適なリアシートの居住性を確保している。
最後に先進性について。今やあって当たり前となったADASでは、待望のプロパイロットを採用。進化したプロパイロットパーキングにより駐車も楽々。
そのほかコネクティッド機能も充実。
対話型インターフェイスも進化し、「ハローニッサン」と呼びかければ車内のコントロールが可能だし、アレクサを呼び出せば「自宅のエアコンつけて」など、自宅の家電の操作までできる。
価格は319万8000~504万6800円で、e-4ORCEは347万9300円から手に入れられる。
これは旧型のハイブリッドと大きく変わらない価格で、タフ×高品質×先進性という欲張りな大進化をしていることを考えても、かなりお値打ち!
■シビれる加速と優れたハンドリング プロパイロットも魅力
オンロードしか試せていないが、ミドルクラストップのハンドリング性能を持つ。プロパイロットによるイージードライブも魅力
試乗会場は追浜にあるグランドライブ。
走り出し全開加速を試みる。少しノーズを持ち上げながら、素早いGの立ち上がり。これがe-POWERの魅力のひとつ。そのまま踏み続けると160km/hをオーバー。
なかなか速いね。この全開加速、160km/hを記録するまでのプロセスで気付かされるのが静かだなぁ、ということ。
発電を担う1.5L可変圧縮比VCターボの出力は144ps/25.5kgm。これまでのe-POWERの場合どうしても高負荷でエンジンのうなり音が気になっていた。
しかしVCターボの採用で大トルクを得、走行状況に適した圧縮比コントロールを行い、大幅にエンジン回転数を下げることを可能にしているのだ。
また各所への吸音・遮音対策もあり、室内の静粛性は高い。
駆動するモーター出力は前204ps/33.7kgm:後136ps/19.9kgmの4WD。ブレーキングしながらバンク内側の深く回り込む55Rの左コーナーに進入。
高速からのブレーキングも安定感が高く、ブレーキングしながらのレーンチェンジでもリアのグリップ感がしっかりとしている。
アクセルOFFからブレーキングというプロセスのなかで、リアモーターがブレーキにあたる回生を行いリアの車高を下げるので、前のめりになりすぎず安定。
そして55Rを60km/h前後で旋回。四駆の特性を見るべくアクセルを全開にしてみる。
するとどうだ、普通ならアンダーステアーを発生するところをグイグイとフロントが切れ込んでいき、ステアリングを切り足すこともなく操舵角一定のままクリアしてしまった!
つまり、四駆の前後駆動配分を緻密に制御しながら4輪個別にブレーキをかけてアンダーもオーバーも出さないように制御するブレーキベクタリングなのだ。
リアモーターの駆動力が一般的な電動四駆に比べて大きいこともこのハンドリングの要因となっている。このe-4ORCEを搭載する新型エクストレイルで早くオフロードを走ってみたくなった。
●日産 エクストレイル(G・e-4ORCE)主要諸元
・全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
・ホイールベース:2705mm
・車重:1880kg
・最低地上高:185mm
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:直3DOHC VCターボ、1497cc
・最高出力:144ps/4400-5000rpm
・最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・モーター(フロント):204ps/33.7kgm
・モーター(リア):136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:18.4km/L
・価格:449万9000円
【番外コラム】4WD追加で超絶に楽しいハンドリングを実現させたキックス
日産 キックス。4WDはコンパクトSUVで一番楽しい!
マイナーチェンジを受けたキックスを、新型エクストレイルと同時にグランドライブで試乗することができた。
まずシートに腰かけるとインテリアの質感がアップグレードしている。新設計のコンソールや上質なベージュ内装。シックなブラウン内装のスタイルエディションも追加。エクステリアも2トーンカラーやホイールがまぶしい。先進安全装備のインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)が標準装備された。
しかし、一番のキモは4WDが追加されたことだ。この4WDはノートやオーラと同じe-POWER 4WDで、e-POWERそのものも第2世代へと進化。
走り出し、まず加速感がアップしている。アクセルのツキが素早くなり、踏みシロに従順な加速感。これまでは少しもったりとした淀みと、踏み足しても抜けるようなスカスカ感がどこかあったのだが、かなり心地いい。
キックスの商品改良のキモは4WDの追加だが、新しいコンソールを採用してインテリアが上質化
そしてコーナリングしながらアクセルを乱暴に開いてもアンダーステア皆無! とにかくステアリングを切り足さずともグイグイ曲がりこむ。
なにコレ! と思わず叫んでしまった。そこでグランドライブの制限速度も忘れ、レーサー魂全開! しかしアクセルOFFでコーナーに飛び込みました。するとどうでしょう、リアがスルスルと流れ出すではないか? しかもその流れ方がとても制御されている。
ドライブモードはもちろんスポーツモード。要するにアクセルONとOFFを上手く使い分けると、コーナリングがめちゃくちゃ楽しい。これぞファンtoドライブ!
もともと軽快なハンドリングのキックスだけれど、軽快さはそのままにハンドリングに厚みができた。
またこれまでサスペンションのツッパリ感があったけれども、それが完全にこなれて動きがとてもスムーズで乗り心地もアップ。キックス大人になりました。この質感でこの価格なら納得以上じゃないですか!
●キックス価格(掲載価格はFFのもので4WDは26万2900円高)
・X:279万8400円
・Xツートーンインテリアエディション:290万8400円
・Xスタイルエディション:301万8400円
●日産キックス(X・FOUR)主要諸元
・全長×全幅×全高:4290×1760×1605mm
・ホイールベース:2620mm
・車重:1880kg
・最低地上高:170mm
・最小回転半径:5.1m
・エンジン:直3DOHC VCターボ、1198cc
・最高出力:82ps/6000rpm
・最大トルク:10.5kgm/4800rpm
・モーター(フロント):136ps/28.6kgm
・モーター(リア):68ps/10.2kgm
・WLTCモード燃費:19.2km/L
・価格:306万1300円
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みんなのコメント
サクラもリーフもアリアもエクストレイルも良い
エルグラとかセレナは興味ないからわからんが
あとはスカイラインというかセダンにいいのが一つ欲しいところか