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巨体だからこその魅力とは? 新型メルセデス・ベンツGLS400d 4MATIC試乗記

掲載 更新 5
巨体だからこその魅力とは? 新型メルセデス・ベンツGLS400d 4MATIC試乗記

メルセデス・ベンツ最大のSUV「GLS400d 4MATIC」に小川フミオが試乗した。

全長約5.2m!

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このあいだ映画『ジュラシックパーク』を観ていたら、メルセデス・ベンツの初代「MLクラス」が登場したので懐かしかった。同社SUVの原点モデルで、日本ではMクラスとも呼ばれた。

鑑賞後に最新の「GLS400d」に試乗したところ、恐龍が、美しくて力強い鳥へと進化したような時間のへだたりを感じた。

メルセデス・ベンツGLSクラスは、現在、メルセデス・ベンツSUVの総称である「GLシリーズ」の頂点に位置する。「GLA」、「GLC」、「GLE」と、セダンに準じた縦並びのシリーズ構成。ボディサイズで比べると、たとえばGLAが全長4430mm、全幅1805mmなのに対して、試乗したGLSはそれぞれ5220mm、2030mmに達する。

先代GLSと比較すると、全長は74mm、全幅は50mm(いずれも欧州値)拡大している。3135mmもあるホイールベースに乗るボディは3列シートを備えた7人乗りだ。主市場の北米で、7人乗り(以上)SUVの人気が高いことをかんがみて開発されたモデルなのである。

北米では子どもたちをスポーツに連れていく”サッカーマム”にとって、3列シートは”マスト”なのだそうだ。

日本ではどうか? じつは、このクルマに興味を持つ富裕層は、子沢山(3人とか4人とか)というケースが見受けられる。あるいは2家族でキャンプを楽しんでいるひとたちも少なくない。

そんなユーザー層には確実にウケるパッケージであると思う。BMWの3列シートのSUV「X7」に興味を持つひとが多いとも聴いた。日本で全長約5.2mのボディはたしかに大きいが、その大きさを求めるユーザーは確実にいるのだろう。

ボディサイズを感じさせない理由

運転しやすく、かつボディの大きさを感じさせないのも、GLSクラスの美点である。

新型GLSが日本で販売開始されたのは2020年3月23日。試乗したクルマは走行距離がまだ100kmに満たない“できたてホヤホヤ”だった。たんに“GLクラス”と呼ばれたモデルを初代とするなら、そのデビューは2006年で、そのあと、2015年に2代目が登場し、そして2019年秋に今回の3代目にモデルチェンジした。

試乗した「GLS400d 4MATIC」の最大の特徴は、2基のターボチャージャーを装着した直列6気筒ディーゼル エンジンだ。

大径ターボと小径ターボとの組み合わせで、低回転域(低負荷=アクセルペダルをあまり踏んでいない状態)はまわり出しの反応が早い小径ターボが作動しパワーアップ、エンジン回転があがっていくと、途中から大径ターボにバトンタッチし、加速に寄与する。

ちなみに、電気モーターが加速時に作動するISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)システムは、「GLS 580 4MATIC Sports」というガソリン4.0リッターV型8気筒搭載エンジンモデルのみ搭載する。

試乗して、「すごいなぁ」と感心したのは、エンジンのパワフルさ。ターボバンドが広く、ごく低負荷の領域からアクセルペダルを強く踏み込むと、瞬発力がある。走り出しから高速域までトルクが途切れない。

スムーズさとパワフルさを両立させた2924cc直列6気筒ディーゼルターボ エンジンのすごさは、さきに登場した「GLE400d」で体験ずみだったが、約2.4tに達する車重のGLSでも、まったく力不足を感じなかった。最大トルク700Nmという驚くべき数値は、たんにコケおどしではない。

いっぽうステアリング フィールは、路面とのコンタクト感がよくわかり、印象をひとことでいうと、乗用車的。「ADS PLUS(アダプティブダンピングシステムプラス)」と呼ぶ電子制御ダンパーを組み込んだAIRMATICサスペンションシステムのおかげもあって、速度域にかかわりなく、びしっと安定している。

操舵したときのロール速度は抑えめで、高速でのレーンチェンジもまったく不安がない。ボディの大きさも意識することはないだろう。乗用車から乗り変えても違和感をおぼえないはずだ。

意外なほど使える3列目シート

スタイリングは新鮮である。ボディパネルからは目立ったエッジを極力減らし、磁器を思わせる丸みを作っている。リア・コンビネーションランプの意匠も、LEDランプを輪状に光らせるところに魅力を感じた。

かつてGLクラスの頃は、やたら角ばっていて、デカさばかり強調されているように思った。しかし新しいGLSクラスのスタイルは、“エモーショナル”と表現したくなる。フロントマスクには大きなスリーポインテッド スターが収まり、意外なほどスポーティ。「なかなかデザインがうまいなぁ」と、私は感心した。

インテリアはさきに出たGLEに通じる新世代のデザイン。ダッシュボードは水平基調のダクト(エアコンの四角い吹き出し口が並ぶ)を中心に、大きな液晶画面が上部にあるデザイン。

幅のあるセンタートンネルが、運転席に適度なタイト感をもたらしているのも、GLSがボディサイズを意識させない一因になっているはず。センタートンネルにはGLEで採用された、大きなグラブハンドルが備わる。実際に役立つかわからないけれど、視覚的には新しさの演出になっている。

最新モデルらしく、「ヘイ、メルセデス」で起動する音声会話式コマンドの「MBUX(メルセデスベンツ ユーザー エクスペリエンス)」を搭載する。「ちょっと暑いんだけど」と喋ると、「では室温を1度下げます」と応じてくれる。

スマートフォンとも一部の操作が連動する。たとえばドアの施錠と解錠などは、離れていても、スマートフォンからのコマンドでおこなえるといったぐあい。ナビゲーションの設定もスマートフォンで出来るのは便利だ。

セリングポイントのひとつが、3列目シートである。アクセスは、2列目シートのショルダーに設けられているスウィッチを操作するのみ。電動でシートが動き、乗降口が拡がる。そのとき、2列目シートが前方へスライド&リクライニングするとともに、1列目シートもすこし前にスライドし、乗降のために出来るだけ大きな空間を確保しようとされる。大がかりな仕掛けに感心してしまった。

3列目のシートはそう大きくないが、それでもおとな2人、短距離であれば十分座っていられる。いっぽう、3列目を設けた結果、2列目シートが小ぶりになった。これを是とするか非とするか。

インテリアの高いクオリティは特筆点だ。試乗車はシボ(立体的なふくらみのあるシワ模様)が大きめな表面処理を施されたレザーをシートに使用。手ざわりがやや粗めなあたり、子どもたちや家族でキャンプやスポーツに行くなど、アクティブなユーザー向けという感じで、新鮮だった。細かいところまでよく考えられている。

試乗車の価格は1313万5000円。メルセデス・ベンツのラインナップでは、おなじディーゼルエンジンを搭載する「GLE 400d 4MATIC Sports」が1126万円と近接している。2列シートで十分間に合うならGLE、もし3列目シートを日常でよく使うならGLSというのが、2車の棲み分けだろう。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

5件
  • メスセデスの4マチックと言うネーミング
    AIに呼びかける際のヘイメルセデス
    なんか名付けがいちいちダサいな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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