独3メーカーはゴルフGTIを目指した
text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】最強ホットハッチは?【新型アウディS3とライバルを比較】 全180枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
1976年、初代ゴルフに高性能エンジンを搭載した「GTI」が追加され、これが人気を集めたことで、コンパクト・ハッチバックでもホットバージョンが成り立つことが証明された。
その後、さまざまなメーカーから「ホットハッチ」と呼ばれる高性能ハッチバックが登場するが、今もなお一貫して作り続けているのは、ゴルフ GTIだけといえる。
アウディ、BMW、メルセデス・ベンツの「ジャーマンスリー」と呼ばれる3メーカーも、自らのブランド内で確立した「プレミアム・コンパクト」のステータスを高めるには、ゴルフGTIのようなハイパフォーマンスモデルが必要であることを認識した。
2005年、BMWは初代1シリーズに3.0Lの直6エンジンを搭載した「130i」を設定(駆動方式はFR)。アウディも2012年に3代目のA3で、2.0Lターボを搭載した「S3」を発表。2013年、メルセデス・ベンツも3代目Aクラスに2.0Lターボを搭載した「A 45 AMG 4マティック」を設定。
こうして、プレミアム・コンパクトの各シリーズは、ゴルフ GTIを凌駕すべくハイパフォーマンスモデルのフラッグシップをラインナップするようになる。
4月21日に日本デビューを果たしたばかりの新型アウディ A3も、S3を同時に発表してきた。
そこで、BMW 1シリーズの「M135i xドライブ」、メルセデス・ベンツ Aクラスの「AMG A 45 S 4マティック・プラス」、そしてフォルクスワーゲン・ゴルフの新型GTIは日本未導入だが、本国仕様で分かっている数値をもとに、S3を軸とした4車種を、いくつかの側面で比較してみることにしよう。
パワートレインやスペックを比較
アウディS3スポーツバック(以下、S3)、BMW M135i xドライブ(以下、M135i)、メルセデスAMG A 45 S 4マチック・プラス(以下、A 45 S)、そして日本未導入だが新型ゴルフ GTIとも、すべてパワーユニットは2Lの直4 DOHCターボとなる。ただし、正確な排気量やパワースペックは微妙に異なる。
S3の排気量は1984ccで、最高出力は310ps/5450-6500rpm、最大トルクは40.8kg-m/2000-5450rpm。7速Sトロニック(DCT)を組み合わせ、駆動方式はクワトロ4WDだ。本国仕様では、0-100km/h加速は4.8秒、最高速度は250km/hというハイパフォーマンスぶりだが、日本仕様のWLTCモード燃費は11.6km/Lを達成している。
M135iの排気量は1998ccで、最高出力は306ps/5000-6250rpm、最大トルクは45.5kg-m/1750-4500rpm。トランスミッションは電子制御8速トルコンATで、xドライブと呼ばれる四輪駆動だ。本国仕様では、0-100km/h加速は4.8秒、最高速度は250km/hでリミッターが作動する。日本仕様のWLTCモード燃費は、12.0km/L。
A 45 Sの排気量は1991ccで、最高出力は421ps/6750rpm、最大トルクは51.0kg-m/5000-5250rpm。トランスミッションは電子制御8速ATで、4マティック・プラスの四輪駆動を組み合わせる。本国仕様の0-100km/h加速は4.6秒、最高速度はリミッターの作動する270km/h。日本仕様のWLTCモード燃費は、11.0km/L。
新型ゴルフGTIの詳細は未発表だが、高性能版のGTIクラブスポーツで最高出力は300ps、最大トルクは40.8kg-m。トランスミッションは7速DCTか6速MT、駆動方式はFFとなるが、0-100km/h加速は5.6秒、最高速度はリミッターが作動する250km/h。
もっとも、ゴルフには2Lターボエンジンを320psと40.8kg-mにパワーアップし、7速DCTと4WDを組み合わせて、0-100km/h加速が4.7秒、最高速度はリミッター作動の270km/hに達する「R」も設定される。
世界最強の市販2Lエンジンを搭載するA 45 Sは別格だが、他のモデルに差はほとんどない。
とはいえ、いずれもプレミアム・コンパクトとしては十分以上のパフォーマンスを発揮している。
サイズや取りまわしを比較
S3のサイズは、全長4350×全幅1815×全高1440mm。ホイールベースは、2630mm。車両重量は、1560kg。最小回転半径は、5.1m。
M135iは、全長4335×全幅1800×全高1465mm。ホイールベースは、2670mm。車両重量は、1580kg。最小回転半径は、5.4m。
A 45 Sは、全長4445×全幅1850×全高1410mm。ホイールベースは、2730mm。車両重量は、1640kg。最小回転半径は、5.4m。
新型ゴルフGTIは詳細が未発表なので、参考までに標準モデルの1.5 eTSIの本国仕様では、全長4284×全幅1789×全高1456mm。ホイールベースは、2636mm。車両重量と最小回転半径は、未発表。外寸に関しては、GTIも大きく変わらないと思われる。
GTIを除く3モデルとも、標準モデルからわずかにサイズアップや車高ダウンがみられるが、ほぼ変わらない取りまわしのしやすい大きさだ。
4WD化されていても、最小回転半径はほとんど変わっていないのも高ポイントだ。
ただし、ハイパワーエンジンの搭載や4WD化に伴い、いずれも車両重量は190~280kgほど重くなっている。
とはいえ、標準モデルの2倍から3倍近いパワーが与えられているのだから、そのハンディキャップはまったく感じられないだろう。
当然ながら、どのモデルもハイパワー化と車両重量のアップに対応するために、ブレーキやサスペンションなどの足まわりは強化されている。
ラゲッジスペース容量は、S3が380-1145L、M135iが380-1200L、A 45 Sが370-1210L、ゴルフ(1.5 eTSI)が380-1237Lと、標準モデルとほとんど変わらないから、スポーツモデルとはいえ、このクラスらしい実用性に変わりがないのもいい。
価格や装備を比較
消費税込みの車両価格は、S3が642万円、M135iが641万円、A 45 Sが802万円。
標準モデルのベーシック・グレードの2倍前後のプライスとなっている。だが、いずれもフラッグシップとなるグレードだけに、安全・快適装備はもちろん、運転支援やインフォテインメントなどの装備も標準で充実している。
S3では、他グレードではオプションとなるアウディ・コネクト、MMIナビゲーション、リアビューカメラ、アダプティブクルーズコントロールなどを標準装備。バーチャルコクピットプラスはS3専用装備だ。
M135iでは、他グレードではオプションのアクティブクルーズコントロール、BMWコネクテッドドライブ、マルチディスプレイメーターパネル、ナビゲーション、フロントシートヒーターなどを標準装備。
A 45 Sでは、他グレードではオプションのアクティブステアリングアシスト、MBUX、ナビゲーションパッケージなどを標準装備。
また、どのモデルもエクステリアやインテリアに専用のパーツを採用して、標準モデルとは差別化が図られている。
S3なら「クワトロ」、M135iなら「M」、そしてA 45 Sなら「AMG」と、それぞれのバックボーンにあるモータースポーツからフィードバックされたサブブランドのフィロソフィも感じさせてくれる。
どのモデルも、追加オプションはほとんど必要としないから、標準モデルとの価格差は、実際にはかなり縮まるものと思われる。
それでも、2クラスくらい上のモデルのエントリーグレードなら買えそうなプライスなのだから、S3などのフラッグシップ的ホットハッチを買おうという人は、クルマを走らせるのが好きで、それなりのテクニックと予算のある人に違いない。
普通の試乗では、そのパフォーマンスを確認することは難しいが、まずは操作性とか乗り心地とか、街中などでも扱いやすいかは確認しておきたい。
予算的に問題がなければ、内外装のデザインなど、自分の好みで気に入った1台を選ぶと良いだろう。どのモデルを選んでも、満足できないということは、まずありえないはずだから。
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みんなのコメント
一箇所にまとめました、位の価値しかない。
もっと、それぞれの特徴や乗り味なんかを期待したのになあ。
こういう記事は誰かがチェックとかしないんですかね…。