■新型「ランドクルーザー」登場で歴代の本格クロスカントリー車を振り返る
トヨタは日本時間の2021年6月10日に、14年ぶりに刷新された新型「ランドクルーザー」(300系)を発表しました。
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ランドクルーザーシリーズはトヨタだけでなく日本を代表するクロスカントリー4WD車として、世界中の過酷な環境で活躍していますが、今回、発表された300系は新たなフラッグシップモデルとして注目されています。
このランドクルーザーシリーズの原点といえるモデルは1951年に登場した「ジープBJ型」で、300系 ランドクルーザーの発表は誕生70周年という記念すべきものです。
そこで、歴代のトヨタ製クロスカントリー車のなかから、とくに印象的なモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●ランドクルーザー300
新型300系 ランドクルーザーは、デザイン、プラットフォーム、パワートレインのすべてを一新。
外観は従来よりも大型のグリルとLEDヘッドライトによって力強さが感じられるフロントフェイスに、斬新なプレスラインのボンネットが印象的です。
また、ボディは200系に比べスクエアなフォルムになりましたが、全長/全幅/ホイールベースなどのボディサイズとディパーチャーアングル/アプローチアングルは200系を踏襲しているといいます。参考までに200系のボディサイズは全長4950mm×全幅1980mm×全高1870-1880mm、ホイールベース2850mmです。
エンジンはこれまで4.6リッターV型8気筒自然吸気のみ(国内仕様)でしたが、300系では新開発の3.5リッターV型6気筒ツインターボガソリン(415馬力/650Nm)と3.3リッターV型6気筒ツインターボディーゼル(309馬力/700Nm)を設定。車両全体で200kgもの軽量化を果たしたことと相まって、燃費も大幅に向上しているようです。
また、ランドクルーザーの真骨頂である悪路走破性についても、サスペンションの基本性能を高めると同時に、世界初の「E-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンションシステム)」によるタイヤの接地性向上、ドライバー視点で障害物を直感的に可視化できる「マルチテレインモニター」や走行路面を判断して自動でモード選択する「マルチテレインセレクト」を採用しています。
さらに、従来からアップデートされた先進安全技術に、駐車場での前後障害物や後退時の接近車両、および歩行者を認識して事故防止に寄与するパーキングサポートブレーキを新たに搭載しました。
室内ではセンターにディスプレイオーディオを配置した直線基調のインパネに一新され、3列シートを設定していますが国内での仕様は未発表です。
新型ランドクルーザーは2021年夏に、世界各地で発売される予定となっています。
●ランドクルーザー60
これまで販売されたランドクルーザーシリーズのラインナップは「ヘビーデューティ」「ライトデューティ」「ステーションワゴン」の3タイプに大別され、300系はステーションワゴンにカテゴライズされます。
このステーションワゴンの先祖は1967年に誕生した55系ですが、1980年に登場した60系はよりモダンなデザインとなり、ラグジュアリーさも加味され、まさに300系の原点といえるモデルです。
60系は日本では商用車のライトバンとして発売。ボディサイズは全長4750mm×全幅1800mm×全高1815mmと、すでに堂々たる体躯でした。
内装は前席をベンチシートからセパレートに変更して乗車定員は従来の6名から5名となり、エアコンやパワーステアリング、ファブリックシートなどを装備したことで、より乗用車に近く、個人のユーザーからも支持されました。
発売当初に搭載されたエンジンは4.2リッター直列6気筒ガソリンと、3.4リッター直列4気筒ディーゼルを設定。1982年には4リッター直列6気筒ディーゼルが追加され、後期型ではディーゼルターボや、ガソリンエンジンには電子制御燃料噴射装置が採用されています。
トランスミッションも当初は4速MTと5速MTのみでしたが、1985年には4速ATが加わり、イージードライブ化にも対応。
駆動方式は全車トランスファーを手動で切り替えるパートタイム式を採用し、デフロックも設定されるなど、高い悪路走破性を誇っています。
その後ステーションワゴン系モデルは代を重ねるとともに、よりラグジュアリー色を強め、レクサスブランドでも販売されるようになって、今日に続いています。
●ランドクルーザー70
前述のヘビーデューティ系の代表的なモデルといえるのが70系 ランドクルーザーで、1984年にランドクルーザーの名を世界に知らしめた40系の後継車として登場。
ボディは発売当初はショートボディのバンとソフトトップ、ミドルボディのレジントップをラインナップし、全車3.4リッター直列4気筒OHVディーゼルを搭載。トランスミッションは5速MTのみで、駆動方式は手動でトランスファーを操作して2WD、4WDを切り替えるパートタイム式を採用しています。
シャシは堅牢なラダーフレームにボディを架装するクロカン車では定番の構成で、足まわりは初期のモデルで前後リーフスプリングのリジットアクスルを採用するなど、強度と耐久性が重視されていました。
ほかにも幅広い用途に対応するため、国内外向けに2310mmから3180mmの範囲で5種類のホイールベースが用意され、ボディを架装しない特装車用「キャブシャシ 」も設定。後に国内でもセミロングボディのバンが追加されています。
室内は40系に対してキャビンをエンジンルーム側に拡大し、床面を下げたことで広い空間を実現。メーター類やスイッチを機能的に配置し、路面からの振動を吸収する「サスペンションシート」をオプション設定するなど、快適性が格段にアップしました。
2004年に70系 ランドクルーザーは国内販売を終了しましたが、海外では過酷な環境での信頼性が高く評価され、海外専用車種として販売を継続。
フロントフェイスなどのデザインは一新されましたが、大きなモデルチェンジはおこなわれていません。
そして、70系 ランドクルーザーの誕生30年という節目を迎えた2014年に、期間限定ながら国内市場で復活しました。
■スタイリッシュなモデルと究極のクロカン車とは?
●FJクルーザー
前述のライトデューティ系に属するモデルが、現在もラインナップされている「ランドクルーザー プラド」です。
もともとは70系をレジャーユースに特化した「ランドクルーザー ワゴン」として1985年に誕生。その後、1990年に2代目が登場し、ランドクルーザー プラドに車名が変わり、現在に至るコンセプトが確立されました。
そして、3代目プラドのラダーフレームを利用して開発されたのが、2006年に北米専用車としてデビューした「FJクルーザー」で、2010年から国内でも販売を開始。
外観はプラドとはまったく異なるデザインで、ネオクラシックなボディを架装。一見すると「パイクカー」のようですが、中身は本格的クロスカントリー4WD車です。
丸目2灯のヘッドライトやトヨタのCIマークを使わずグリル前面に配された「TOYOTA」のロゴ、ホワイトにカラーリングされたルーフなど、40系をオマージュしています。
また、クラシカルな雰囲気がある一方で最新の機構を融合させており、前後方向に開く観音開きのサイドドアが特徴的です。
パワートレインは国内仕様では4リッターV型6気筒エンジンと5速ATを組み合せた4WDのみでしたが、海外ではFRモデルや6速MTモデル(4WDのみ)も設定されています。
国内外でヒットしたFJクルーザーですが、2014年に北米での販売が終了。日本を含め多くの国でも次々と販売を終了しましたが、南アフリカや中東では現在も新車の販売が継続されています。
●メガクルーザー
最後に紹介するのは、ランドクルーザー以上の悪路走破性を実現した究極のオフローダーである「メガクルーザー」です。
1996年に発売されたメガクルーザーは、大規模災害時の人命救助などの任務を迅速に遂行するために開発された、陸上自衛隊の「高機動車」をベースとした民生モデルです。
ボディサイズは全長5090mm×全幅2170mm×全高2075mmと、まさに巨体ですが、狭い場所でも機動力が発揮できるように最大12度の逆位相4WS(4輪操舵)を装備し、最小回転半径は5.6mを実現。これは現行モデルの「アルファード ハイブリッド」と同じ値です。
搭載されたエンジンは4.1リッター4気筒ターボディーゼルのみ。最高出力170馬力、最大トルク43.0kgmとトルクを重視した仕様で、組み合わされるトランスミッションは4速ATです。
駆動方式はフルタイム4WDで、前後デフロック付きのトルセンLSD、後輪にはオプションでタイヤ空気圧調節機能も装着可能とするなど、あらゆる悪路を想定しています。
メガクルーザーは2002年に販売を終えていますが、高機動車は現在も継続して自衛隊に納入されており、災害時を中心に活躍しています。
※ ※ ※
ランドクルーザーやスズキ「ジムニー」に代表される本格的なクロスカントリー車は、日本の道路環境ではその性能をフルに発揮できる機会は少ないでしょう。
しかし、今も新車、中古車ともに高い人気を誇っています。
今度の300系 ランドクルーザーも日本ではオーバースペックといえますが、スーパーカーと同じく、機能美ともいえる魅力があるのではないでしょうか。
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みんなのコメント
余りにも節操なさすぎるぜトヨタよ!プライドはあるのか?(笑)
カタログ欲しい