この記事をまとめると
■働き手不足が目立つバス業界では「連節バス」の導入が全国で散見される
関西の路線バスの左後輪に「初代インサイト」みたいなカバーがついてる! 乗用車とは異なるタイヤカバーの目的とは?
■東日本では中型二種で運転できる中型路線バスの導入も目立っている
■より狭い範囲で活動できる融通が利きやすい「オンデマンドバス」が注目されている
日本中でバスドライバーが足りない!
利用者減少に歯止めがきかないなか、運転士不足も深刻化する一方のバス業界では、路線バスについては路線廃止や減便が相変わらず目立っている。ただ、利用者の減少が続いているとはいえ、一部では運転士不足のなか効率的な輸送力の確保という意味で、「連節バス(蛇腹部分を介して車体がつながっている車両)を導入して問題解決をした」という路線も全国で散見されている。沿線に学校や工場などが存在し、とくに朝夕の通勤時間帯が混みあう路線というものも少なからず存在しており、そういったエリアで効力を発揮しているようだ。
「それこそ昔の地方大学では学生ですら、クルマでの通学が当たり前でした。しかし、令和のいまでは運転免許を持たない学生も目立つようで、バス通学が増えており、今後もこの傾向が続くものと思われます」とは事情通。
一方で企業はSDGs(持続可能な開発目標)なども意識し、自動車通勤の削減を進める動きも出ている。また、地方部では相変わらず朝夕の主要幹線道路の交通渋滞は深刻なものとなっており、渋滞緩和の意味から地元自治体もバス利用促進を求めているという。
連節バスはいすゞと日野の合弁会社「Jバス」が、国産連節バスを発売したのをきっかけに、大量輸送の切り札として全国的に急速な広がりを見せた。それまでは、繁忙時間帯には2台など、複数台数を連続運行するなどして対応していたのだが、この手段は運転士不足のなかではかなり負担増となり、運転士ひとりで2台分の輸送力のある連節バスに白羽の矢が立ったのが背景にある。
ただ、これは未確認情報だが国産連節バスは事実上終売しているとの情報も筆者のもとには入っている。また、生産の都合以外に、予算的にも連節バスの導入ができないといった事業者は、一般的な大型路線バスの全長より長い車両の導入を進めているとも聞いている。
「連節がダメならダブルデッカー(2階建て)があるのでは」との話もあるが、日本では全高の規制もあり、1階、2階とも車内高が低くなってしまうという課題がある。イギリス・ロンドン市内や香港のダブルデッカーは世界的に有名な話であるし、筆者はかつて中国北京市内でBEV(バッテリー電気自動車)となるダブルデッカー路線バスに実際に乗ったことがある。
アメリカ・ネバダ州ラスベガスでもダブルデッカー路線バスが運行しておりよく利用するのだが、課題としてはバス停での乗降に時間を要することが挙げられる。繁忙時間帯ではクルマでは30分弱で移動できる距離でも、乗り降りの都合などが影響し、ダブルデッカー路線バスでは1時間弱ほどかかっている。
仮に日本でも導入を検討するならば、鉄道で「通勤快速」などと呼ばれるような、主要バス停しか停まらない車両として運行するのが適当かもしれない。ただ、天井が低いので立ったまま乗車するということへの課題というものも出てくるので、極端に混みあう路線には不向きかもしれない。
また、先ほどまで述べてきたような、連節やダブルデッカーバスを入れたほうがいいといえるような、いわゆる「ドル箱路線」の存在は、現在では非常に限定的といえるだろう。たいていの路線バスにいえることだが、日中時間帯では大型路線バスは座席に座る人もまばらななか運行されていることがほとんどであると認識している。そのため、乗車口と降車口をもつバスでもいまでは前扉のみで乗降兼ねて運行していることも珍しくない。
さらに、東日本でより顕著ともいわれているのが、中型路線バス車両の導入が目立ってきていることである。単純に利用者が少ないといった理由だけではなく、大型二種ではなく中型二種で運転できるので、運転士募集の敷居が低くなるということもあるようだ。また、運転士としても大型車両よりは運行時の負担も軽くなると、現場での評判は上々となっているようだ。
中長期的に見れば、バス車両のダウンサイジングは進んでいくのは間違いなく、中古バス市場での中型路線バス車両はまさに「奪い合い」になっているともいえるほど人気が高いとも聞いている。
路線バスとしてだけではなく、最寄り駅とを結ぶ企業送迎用などのニーズも中型バス車両人気を招いているようで、いまではそれがマイクロバスにもその流れが波及している。
路線バスよりも狭い範囲のカバーが求められる
そんななか、2024年10月18日に都内でバス関係業者向けに開催された「バステクin首都圏2024」の会場で注目されたのが、西鉄車体技術が出品した小型電動モビリティバスの試作車である。日野のデュトロ Z EV ウォークスルーバンをベースとした乗車定員11(座席8+立ち席2+運転士1)名のBEVとなるマイクロバスである。
過疎地域だけではなく、都市部でも「オンデマンドバス」というものが広く運行されるようになった。予約して乗車することを基本とし、一般的な路線バスが運行しているときはそのルートを迂回する、予約に応じて走行ルートの変更可、自宅から病院まで乗るといった利用など、その形態はさまざまとなっている。
特徴としては、運航制限のある「コミュニティバス」よりもさらに小まわりを効かせて運行することができることだ。オンデマンドバスは現状ではトヨタ・ハイエースのマイクロバス仕様となる「コミューター」などが使われることが多い。
新しい考え方としては、オンデマンド運行には変わりないのだが、従来の路線バスの最寄りバス停までの「ラストワンマイル」の移動手段としての普及も想定しているそうだ。少子高齢化で、自宅最寄りバス停へ歩いて向かうのも困難な住民が増えている。バス利用促進を図るためにも、小型バスの積極的な運行というものが注目されているのだ。
「バステクin首都圏」では西鉄車体以外にも、EVモーターズジャパンが全長5.38(定員10人)mと5.99m(定員11人)のBEV小型バスを出品していた。居住専用地域を走ることにもなるので、ICE(内燃機関)車では騒音や排気ガスというものが問題となることもあるが、BEVなら騒音も排気ガスも問題解決できるので、BEV前提でコミュニティバスサイズと同じく「超小型」とも呼ばれる乗車定員10名程度のバスも今後は需要が高まるものとして注目されている。
また、ポイントとしては、10人乗りというのが肝。なぜなら、乗車定員10人以下ならば普通二種免許があれば運転可能なので、中型や大型二種免許所有者に限定されるよりは働き手が集まりやすいのではないかとも考えられているからだ。中長期的に見れば、「自動運転化」が視野に入っているのも間違いないだろう。
つまり、大型車両の一般路線バスでの運行路線は今後、限定的となってくると考えられる。人口減少社会に歯止めがかからない現状が続けば、結果的に利用者減に歯止めがかからないからだ。ただし、限定的とはいえ、大量輸送力が要求される「ドル箱路線」みたいなものも完全消滅ということはないだろう。そのなか、利用者減のなかで効率的な運行をすることで、生活移動手段の確保というものを図るためにオンデマンドバスだけではなく、よりきめ細かなフォロー(最寄りバス停までの移動手段など)を目的とした超小型バスの運行も広がりを見せている。
少子高齢化が進み、若年層の運転免許保有者が地方部でも減少傾向にあるなかでは、路線バスはまだまだその需要では将来性があるともいわれるが、それはいままでのようなバス運行だけではフォローすることはできず、多様化する社会に対応した新たな運行形態の模索が、今後は大切とされている。
車両の電動化だけでも四苦八苦しているなか、新しい試みにも積極的に挑まなければならないのだが、いまのバス事業者は「懐具合」が悪いだけではなく、「働き手不足」も深刻化してきており、そこの改善も急務となっている。身近な公共交通機関である路線バスが生き残るかどうか、まさにいま正念場を迎えているのである。
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みんなのコメント
BEV連接二階建てバスのみで良いんだよ
富士山トラスも