VW、新型ディーゼル・エンジン車を国内投入
2018年2月14日(水)、フォルクスワーゲン(VW)は、日本において新型モデル「パサート/パサート ヴァリアント TDI」の発売を開始しました。このモデルには日本の規制に適合した最新のディーゼル・エンジンが搭載されています。
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というか、「パサート/パサート ヴァリアント」というクルマ自体はすでに販売されており、ディーゼル・エンジン車が追加されたというのが、今回の新発売です。発表会では、わざわざドイツからフォルクスワーゲンの先進ディーゼル・エンジン開発部長であるエッケハルト・ポット博士が駆け付け、トークイベントを開催するほどの力の入れようです。
ここで不思議に感じる人がいるはずです。なぜならフォルクスワーゲンは、2015年に欧州においてディーゼル車の排気ガスをごまかすという不正が発覚し、世界中で大問題になった後、まったく逆のEVに力を入れる姿勢を表明。ディーゼルとは、真反対のような「EVシフト」というムーブメントを巻き起こした張本人だからです。そのEVシフトの旗手がなぜ、いまになって新しいディーゼル車を売るのでしょうか。
VWがディーゼルをやめられないワケ
そこには理由がありました。
実のところ、市場には、まだディーゼルのニーズが存在しているのです。欧州ではフォルクスワーゲンによるディーゼル不正発覚の後、ディーゼル車の販売は落ちました。しかし、2017年の前半の販売実績でいえば、フォルクスワーゲン車の販売のうち欧州では約46%、ドイツでは45%がディーゼル・エンジン車だったのです。
また、今回のディーゼル・モデルの日本導入は、日本の販売店やユーザーからの強い要望が理由だというのです。つまり、いまのビジネスのために、フォルクスワーゲンはディーゼルをやめるわけにはいかないのです。
また、未来のためにもディーゼルはやめることはできません。フォルクスワーゲンは2025年に年間100万台以上のEVを売ることを目標としています。ラインナップの25%をEVにして、ハイブリッド/プラグインハイブリッドも25 30%ほど用意すると言っています。これが逆に言えば、全体の75%にはエンジンが搭載されていることを意味します。
加えてディーゼル・エンジンは燃費性能に優れるという魅力があります。年々、厳しくなる燃費規制をクリアするには、ディーゼル・エンジンを手放すわけにはいきません。実際にフォルクスワーゲンは、さらなる厳しいディーゼルの排気ガス規制をクリアするための技術開発を行っていることを明らかにしました。
エンジン車の未来を探る新しい再生可能燃料とは
さらに発表会当日のトークイベントで、フォルクスワーゲンは、ディーゼル・エンジンを含む内燃機関が持続可能な存在となるための、興味深い提案をしてくれました。それは再生可能燃料です。太陽光や風力などで生み出した再生可能エネルギーの電力で水素を作り、それを元に液体の燃料を作ろうというアイデアです。そこでできる液体燃料はCO2フリーとなるので、そうした燃料を使うエンジン車でも持続可能な存在になることができるのです。
これはアイデアというレベルではなく、スイスに合成ディーゼル燃料の工場を2018年に作ることが予定されています。フォルクスワーゲンは真剣に再生可能燃料の道を探っているのです。
こうしてみれば、EVシフトばかりが注目されていますが、実際のところフォルクスワーゲンは、エンジン車が消えてなくなる世の中を目指しているわけではないのでしょう。
【画像】「パサート ヴァリアント TDI」のインパネまわり
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