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打倒新型アルファード!! レクサスならぬマクサスが超オラオラ!! アルヴェルに立ち向かう2台の伏兵がスゲーぞ

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打倒新型アルファード!! レクサスならぬマクサスが超オラオラ!! アルヴェルに立ち向かう2台の伏兵がスゲーぞ

 トヨタの高級ミニバン、アルファードは東南アジアでも大人気。ところがその座を奪おうと、中国と韓国から刺客が現れた。アルファードとは別の魅力を放つヒョンデのスターリアとMGのMAXUS9の破壊力を、現地からの生レポートでお届けしよう!

文/小林敦志、写真/小林敦志、ヒョンデ、MG

打倒新型アルファード!! レクサスならぬマクサスが超オラオラ!! アルヴェルに立ち向かう2台の伏兵がスゲーぞ

■タイの“超富豪”たちに人気の日本仕様アルファード

2023年6月に日本でデビューした新型トヨタ アルファード。先代から継承したギラッギラのご尊顔は派手好きのバンコクの富豪たちにも人気を呼びそうだ

 2023年6月21日、ついに新型トヨタ・アルファード&ヴェルファイアが日本国内でデビューした。

 その後8月10日にGIIAS2023(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2023)会場にてインドネシアデビューしたのち(アルファードのみ)、8月17日にはタイでも発売となっている(アルファード&ヴェルファイア)。

 先代アルファードは日本国内で大ヒットするだけでなく、海外、とくに東南アジア各国でも人気の高いモデルとなっている。

 なかでも香港やタイでの人気は高く、例えばタイでは日本からの正規輸入販売だけでなく、中古車といっても限りなく新車に近い状態の日本からの中古車輸入販売も活発に行われており、事実上の“並行輸入販売”に近い売買も活発に行われている。

 正規輸入モデルでの新型では、412万9000バーツ(約1629万円)がスタート価格となり、先代同様かなり高額なのでメインユーザーは当然富裕層となる。しかし、日本で抱く富裕層とはスケールが異なるタイの“大富豪”となるので、“どうせ乗るなら日本仕様に乗りたい”と考える人も多い。

 例えば新型は、タイにおいて現状エグゼクティブラウンジというモデルが存在しない。となると「日本仕様の“エグゼクティブラウンジ”が欲しい」となるのである。

 新型では装着されなくなったが、先代では“キノコミラー”などとも呼ばれた、日本仕様独特の補助ミラーや、リアガラスに貼られる環境仕様のステッカーなどにステイタスを感じて、日本仕様をわざわざ購入する人もいたようだ。

 すでにタイでも、新型はまだ発売されていないものの(本稿執筆時点)、レクサスLMもラインナップされて人気を博しているので、アルファードにエグゼクティブラウンジは不要と考えているのかもしれない。

■バンコクミニバン事情に異変アリ!

バンコクでのアルファード一強に待ったをかけるのがヒョンデ スターリア。外見も価格もアルファードとは対照的。富豪たちの「もう1台」としての需要も大きいようだ

 一時は、とにかくバンコクの街なかは東京並みにアルファードだらけだったのだが、ここのところは落ち着いてきた様子に見える。前述したように、いまではレクサスLMも街なかでよく走っているので、それも影響してアルファードが目立たなくなっているようにも感じる。

 ただ話はそれだけではない。実は唯我独尊というか、オンリーワンでラグジュアリーミニバンとして君臨していたアルファードに刺客が現れたのだ。

 それは韓国ヒョンデ自動車のスターリアである。とはいってもアルファード同様にギラギラ感の目立つ豪華ミニバンではない。アルファードとは真逆といっていい、コンセプトカーをそのまま市販車にしたような近未来スタイルが特徴となっている。

 さらに価格もアルファードの半分ほどなので、被るといえばボディサイズが近いぐらいなのだが、現地事情通に聞いても「アルファードを食っている」とのことである。

 2022年にタイの首都バンコクを訪れると、スターリアは発売されたばかりとのことだったが、確かに市内ではアルファード以上に、そのインパクトの強いスタイルもあって目立っていた。

 もともとアルファードを持っている富裕層が“増車”という形で購入しているケースも目立つようだが、“豪華主義”一辺倒だったタイのユーザーがスターリアのようなモデルに注目することに新しい流れを感じるとの声も大きい。

■中国からも注目のラグジュアリーミニバンが登場

MG マクサス9。MGブランドとなっているが上海汽車グループのミニバンだ

 さらに2023年春に開催されたバンコクモーターショーでは、複数の中国系メーカーが大型のラグジュアリーミニバンを展示した。まだまだ参考出品の域を出ていない様子でもあったが、上海汽車グループのMGブランドブースに展示してあった“マクサス9”は5月に発売となっている。

 その価格は330万バーツ(約1350万円)。ただマクサス9は、単にアルファードのライバルということを意識しただけでは終わらない。このマクサス9はBEV(バッテリー電気自動車)なのである。

 新型アルファードシリーズには、遅れてPHEV(プラグインハイブリッド車)も用意されるというが、HEV(ハイブリッド車)の価格がすでにタイ国内では1600万円を超えているのだから、PHEVはさらに高くなるのは間違いない。

 前述したスターリアは見た目の珍しさだけであったが(現状はICE〈内燃機関〉車だけだが、BEVも追加予定との情報もある)、マクサス9はBEVとなるのでさらに興味を示す富裕層も多くなりそうだ。

 バンコク市内ではすでにMG ZS EV(コンパクトクロスオーバーSUVタイプのBEV)や、BYD ATTO3などが多く走っている。日本で考えている以上に評価も高く、消費者のBEVへの興味も高いだけでなく、“BEV=中国車=先進的”というイメージも定着しつつあるのではないかともいわれている。

 アルファードなど日本車の売れ筋モデルをターゲットに中国メーカーがBEVという強みを加味して挑んできているのである。

■インドネシアにも「アルファードフォロアー」の影が……

タイで販売されるマクサス9は、インドネシアでは上汽大通のブランド「マクサス」としてMIFA9の名称で展示されていた

 そして舞台はインドネシア。GIIAS2023会場内に、タイではラグジュアリーBEVミニバン“マクサス9”として販売している同型車が、マクサス(タイではMGブランドだが、インドネシアではマクサス〈上汽大通〉ブランドとして出品)ブランド車として車名も“MIFA9”として展示されていた。

 自動車産業としてはタイを猛追するインドネシアだが、自動車市場の成熟度という面で両国の首都の様子を比較すると、タイのほうがまだまだ先を行っている印象が強い。

 インドネシアでは、中国メーカーもタイほど根付いている印象もないので、MIFA9の展示もあくまで来場者の反応を見るといった意味合いのほうが大きいようだが、来場者の反応も上々であった。

 ただし、インドネシアでもヒョンデ・スターリアはすでに販売されているのだが、ジャカルタ市内ですらあまり見かけない。

 事情通は「インドネシアの消費者は東南アジアのなかでも、とくに押しが強くギラギラした顔つきを好む」というので、タイほど消費者の多様化が進んでいない現状もあり、いまひとつとなっているようである。

 ただ中国車はそもそもアルファードを強く意識しているし、自国市場も押しの強い顔つきが好まれるので、その面ではMIFA9はスターリアよりインドネシアでも馴染みやすい。

 さらに “BEV”であるという点も見逃せない。アルファードでは欲しくても買えないBEVミニバンがMIFA9で買えるとなれば、インドネシアの富裕層のなかには注目する人は目立ってくるはずである。

 中国メーカーはマクサスだけでなく、ラグジュアリーBEVミニバンを中国国内で多くラインナップしている。いずれもアルファードにインスパイアされての開発と筆者は考えている。

*   *   *

 このような新興勢力の登場が、アルファードブランドをいますぐ追い詰めるということは考えにくいが、油断はできない。“挑戦者”の登場によりアルファードがさらにポテンシャルを高め、王者としての地位を不動のものとしていくことを願いたい。

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