1980年代、「クロカン」ブームを支えた4WDが、各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第10弾は「ハイラックスサーフ130」だ。
アウトドアブームの波に乗り、クロカン4WDも大人気になった!
1981年にアウトドア雑誌「BE-PAL(ビーパル)」が創刊され、日本にアウトドアブームが沸き起こった。そのトランスポーターとして、ワイルドなスタイルのオフロード4WDの人気が高まった。これが「RVブーム」と言われた時代だ。そんな最中の1984年にデビューしたハイラックスサーフも、時代の流れを汲んで若者たちのハートを掴んでいく。そのハイラックスサーフは1989年、さらに楽しさを満載したモデルチェンジを実施。2代目「130系」が誕生する。
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先代の60サーフはピックアップの荷台にFRPシェルを被せた2ピースボディ構造だったが、130サーフからはスチール製、スタイリッシュな1ピースボディとなった。また、従来の2ドアに加えて4ドアも設定して使い勝手を格段に向上させている。なお、先に北米で発売された「4 Runner(フォー・ランナー:北米名)」は廉価版の2WDもラインアップしていたが、日本では全車ADDを備えたパートタイム4WDのみの設定とした。室内空間は、ライバルの日産テラノがリアシートのスペースをゆったり取った居住性の高さをうたったのに対し、130サーフはアウトドアグッズなど荷物をたくさん積めるラゲッジルームの広さをアピールしたことで、遊び心に溢れたスタイルとした。
ガソリンとディーゼルのエンジンをラインアップ
パワーユニットは、従来同様1998ccの3Y-E型(97ps/16.3kgm)ガソリンエンジンと2446ccの2L-T型(94ps/22.0kgm)ディーゼルターボをワゴンに、2779ccの3L型(91ps/19.2kgm)をバンに搭載した。
そしてサスペンションにも大きな変更が施された。フロントこそ先代同様のダブルウイッシュボーン+トーションバーを受け継いだが、リアは一新された。これまではピックアップと同様のリーフリジッドだったのに対し、130サーフはコイルスプリングを採用したことで、乗り心地性能や操縦安定性が向上し、ピックアップとの差別化を明確にした。
1990年にはガソリンエンジンに2958cc V6の3VZ-E型(150ps/25.0kgm)を追加。さらにディーゼルターボもEFI化した2L-TE型(97ps/24.5kgm)に進化させるとともに、4速ATを設定した。なお、このマイナーチェンジにより、3Y-E型エンジン搭載車は5速MTのみ設定されたが、翌年このモデルは廃止された。
オフロード4WDの新しいスタンダードを築いたサーフ
1991年に行われた内外装のリフレッシュと同時に、3ナンバーのワイドボディが設定された。フロントグリルの「TOYOTA」のエンブレムをロゴマークに変更するとともに、異形ヘッドライトを採用。さらに床下収納スペアタイヤをバックドア付き背面タイヤ仕様やRECAROシート採用モデルを設定するなど、オフ車ファンだけでなく、幅広いユーザーにアピールするモデルを次々に追加していった。
1993年、2L-TE型に代わり、新開発の2982cc 直4ディーゼルターボ「1KZ-TE型」が登場する。「130ps/29.5kgm」を誇る圧倒的なパフォーマンスは、クリーン&パワルフさもさることながら、特筆すべき点はトルクの太さだ。これにより、重ったるいディーゼルのイメージを払拭。スペックにうるさいファン層にも充分アピールできる数値と機敏さを持っていた。また、このマイナーチェンジでバンと2ドアがラインアップから外れた。
130サーフはその後も、数カ月おきにボディカラーや快適&安全装備を追加する一部変更と特別仕様車などを次々に投入し、さらに成長を続けた。そして発売から6年後の1995年、これまでのオフロード4WDとは違った、新しいスタンダードを築きあげたのち、3代目のハイラックスサーフ185へと引き継がれた。(文:田尻朋美)
[ アルバム : ハイラックスサーフ130 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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