ジェネシス・ディファレンスで欧州へ
トヨタのレクサスに当たる、ヒョンデのジェネシスが欧州へ参入したのは2021年。ハイブリッドを載せない内燃エンジンのみのラインナップに、批判が挙がった。北米市場が前提のパワートレインだった。
【画像】純EVで欧州市場に攻勢 ジェネシスGV60 競合のクロスオーバー アイオニック5も 全120枚
今回試乗したGV60は、そんな意見に対する回答だ。ブランド初の純EVとして、欧州市場で最も競争の激しいセグメントに投入される。
ジェネシスの攻勢は終わらない。中型SUVのGV70と大型サルーンのG80にも、純EV版が年末までに登場予定。2025年以降に発売される新モデルには内燃エンジンが載らず、2030年には完全に純EVへ特化したブランドとなる計画だ。
ただし、この市場は新規参入が難しい。日産はインフィニティで挑んだが、2019年に撤退を決めてしまった。
欧州でジェネシスを率いるドミニク・ボッシュ氏は、「欧州は最も要求の厳しい市場とみなされています。多くの準備がなければ、ここに来ることはありません」。とその意気込みを話す。
「ジェネシス・ディファレンス(ジェネシスの違い)」というキャッチフレーズで、欧州の人々を取り込もうと考えている。彼らが焦点を向けるのは、クルマだけでなく全体的な体験にある。
新車購入から所有期間までを対象とした、個々の要望に応えるパーソナル・アシスタントや、5年間のケアプラン、自宅での車両引き取りといったサービスがその1つ。明瞭な価格体系や、スタジオと呼ぶ先進的なディーラー展開も特徴となる。
目下、英国にあるジェネシスのスタジオは、ロンドンの1か所のみ。その数は徐々に増えるという。
システム電圧800V 360kWの急速充電
ジェネシスのもう1つの強みといえるのが、韓国の巨大メーカー、ヒョンデの一員であること。GV60の場合、E-GMPというプラットフォームを、評価の高いヒョンデ・アイオニック5やキアEV6と共有している。
フラットなフロアに駆動用バッテリーが敷き詰められたスケートボード構造で、効率に優れ、車内空間も広く取れる。システムは電圧800Vで作動し、急速充電能力は360kWまで対応する。
全長は4515mmあり、ボディサイズもアイオニック5などと近い。ライバルを挙げるなら、アウディQ4 eトロンが筆頭だろう。
トリムグレードは、プレミアム、スポーツ、スポーツ・プラスという3種類が展開される。ベースグレードのプレミアムはシングルモーターの後輪駆動。残る2つは、ツインモーターの四輪駆動だ。
ジェネシスが展開する全体的な体験は、クルマ自体を補完する意味合いもあるはずだが、もちろんその実力もしっかり磨いている。欧州でシャシー開発を率いるのは、元フォードの技術者で、フォーカスRSにも関わったタイロン・ジョンソン氏だ。
現代の純EVらしく、シャシーは重心が低く、前後の重量配分も良い。そこへ、ヒョンデやキアとは異なる快適性や動的能力を融合させようとした結果がわかる。路面を確かに掴みながら、ボディロールを抑えつつ、鋭くコーナーへ侵入できる。
ステアリングには程よい重み付けが与えられ、ダイレクトで一貫した反応が得られる。もう少し手のひらに伝わるフィードバックがあれば、なお良いだろう。
静かな車内に不足ない動力性能
GV60 プレミアムの場合、最高出力は229psで、最大トルクは35.6kg-m。現実世界で運転している限り、これ以上のパワーが必要だと感じないほどたくましい。
乗り心地は硬めながら、不快ではない。試乗したフランクフルト周辺の一般道は路面状態が良かったが、小さな凹凸を上手にいなしていた。管理状態の悪い英国では、違った印象になるかもしれないが。
エンジンやエグゾーストがないぶん、純EVは一般的に静かだ。車内の快適性を高めるには、ロードノイズや風切り音などを遮断する必要があるが、ジェネシスの仕事ぶりは素晴らしい。
防音性に優れたガラスを採用し、ドアのシールも入念に考えられている。油圧ブッシュを採用することで、サスペンションから伝わるノイズを吸収。タイヤの内部には、ロードノイズを打ち消すスポンジが装備されているという。
GV60 プレミアムの走りに不足はないが、GV60 スポーツ・プラスはそれ以上。大型サルーンのG80も採用する、カメラ映像で路面を読み取りアダプティブダンパーを調整する、プレビュー電子制御サスペンションを搭載している。
さらに、ツインモーター総合での最高出力は320ps。0-100km/h加速を4.0秒でこなすという俊足を考えると、プレミアム・グレードと同等の快適性には感心する。ただし、英国価格は1万9400ポンド(約310万円)もプラスされるが。
航続距離はGV60 プレミアムで516km。アウディQ4 eトロンと同等だ。
プレミアムと表現したいインテリア
インテリアは、グレード名のプレミアムという表現が適切。ダッシュボードに2面並んだ12.3インチ・モニターは、アイオニック5とのつながりを感じさせるが、細部までしっかり作り込まれ、知覚品質は大幅に引き上げられている。
ただし、一部のプラスティック製部品の質感は、ドイツ勢には及んでいない。特にドアに用いられていたシルバーやダークグレーの部品は、ヒョンデの車内にあっても不思議ではない。
センターコンソールに配された球状のコントローラーは新しい。180度回転し、システムがオンの時にはバイワイヤーのシフトセレクターになる。
スポーツ・プラスのドアミラーはボディ横のカメラが担い、ドア内側の左右のモニターに映像が表示される。プレミアム・グレードの場合は、従来的なミラーが備わる。メーター用モニターには、ブラインドスポット・カメラの映像も映せる。
急速充電能力は優秀。350kWの充電器を見つけられれば、10%から80%まで18分で充電できる。バッテリーの温度を調整し、最適な状態を保つ機能も内蔵されている。
高級感を巧みに醸成した、ジェネシスGV60。あと10%全体を磨き込めば、上級ブランドのライバルを焦らせる可能性はある。だが現状では、アウディQ4 eトロンなどと比べた時に、明確な強みまでは感じられなかった。
動的能力に不足はなく、独自の顧客サービスなど、GV60を選びたいと思わせる理由は少なくない。ジェネシスというブランド力の向上も、今後必要な項目に含まれるとは思う。
ジェネシスGV60 RWD プレミアム(欧州仕様)のスペック
英国価格:4万7005ポンド(約752万円)
全長:4515mm
全幅:1890mm
全高:1580mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:7.8秒
航続距離:516km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2495kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
バッテリー:77.4kWhリチウムイオン
最高出力:229ps
最大トルク:35.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
ジェット噴射のように炎を吹き出して燃えまくりそう