現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 砂漠の怪鳥 DR-BIGから受け継ぐクチバシ顔とダート性能!「Vストローム1000」は遠出したくなる

ここから本文です

砂漠の怪鳥 DR-BIGから受け継ぐクチバシ顔とダート性能!「Vストローム1000」は遠出したくなる

掲載 更新
砂漠の怪鳥 DR-BIGから受け継ぐクチバシ顔とダート性能!「Vストローム1000」は遠出したくなる

街乗りから高速クルージング、山岳路まで、長距離ツーリングを快適に楽しむことができるスズキ・スポーツアドベンチャーツアラー「V-Strom(ブイストローム)」シリーズ。そのフラッグシップモデルが「V-Strom1000 ABS」&「V-Strom1000XT ABS」です。2019年式ではカラー&グラフィックを一新し、その堂々たるスタイルに磨きをかけています。REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

V-Strom1000XT ABS……1,447,200円

人気の愛玩犬をイメージした、ホンダ横型4ストエンジン搭載バイクって?

 このクチバシが尖った独創的なスタイル。これはスズキ・ビッグアドベンチャーの伝統であり、80年代半ばにパリ・ダカールラリーを走った「DR-Z」(ディー・アール・ジータ)そしてそのスタイルを受け継いで1988年に発売した「DR‐BIG」のDNAを継承したものです。
 当時のライバルら、BMW R100GS、HONDAアフリカツイン、YAMAHAテネレが2気筒エンジンを搭載していたのに対し、スズキはビッグオフローダーとしての走りにこだわり、より軽快なシングルエンジンで対抗。その精悍なスタイルから“砂漠の怪鳥”と呼ばれました。デビュー当時は「DR750S」とネーミングされていたとおり排気量は750cc、91年に800cc化されています。



 Vストローム1000はTL1000系のVツインエンジンを搭載し、2002年に初代がデビュー。2年後の04年には650ccの弟分もラインアップされ、アドベンチャーモデルへの要望が日本よりも早くから強かった欧州市場で着実に実績を重ねてきました。
 国内市場への導入は2014年からで、17年に全面改良し、5軸慣性計測ユニット「IMU」(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)を搭載させて電子制御を飛躍的に進化。そのとき「モーショントラックブレーキシステム」を追加しています。



 今回乗ったのは「V-Strom 1000XT ABS」。フロント19インチ、リヤ17インチのホイールサイズや、インナーチューブ径43mmの倒立フロントフォークとダイヤルアジャスター付きのリヤショックは共通ですが、ホイールをワイヤースポーク仕様としています。車体重量はキャストホイール仕様のスタンダードより3kg増えて215kgとなっています。



常用域で力強く、淡々と走るのも得意!

 まず、排気量1,036ccの水冷90度Vツインがパワフルです。最大トルク100N・m〈10.2kgf・m〉を4,000rpmで発生することからもわかるとおり、常用回転域でのトルクが分厚く、加速も強烈です。扱いやすさもありつつ加速は鋭く、右手のスロットル操作にレスポンスよく応えてくれます。

 4000rpmを超えてもまだまだエンジンは元気よくまわり、6000rpm以上を使ってグイグイ走らせれば足まわりにも不安はありませんし、ロードスポーツのようにも走らせられるでしょう。
 8,000rpmで最高出力99PSを発揮し、高回転域の伸びもさすがはVツインロードスポーツTL系のエンジンがベースだと感心せずにはいられません。

 そんな強力なエンジンですが、急かされないのが秀逸なところと言えます。長距離ツアラーとしてこれはとても重要な性能でして、一定のペースを保って淡々と走るのが苦になりません。ヨーロッパでしたらよりハイスピードレンジでのクルージングとなるのでしょうが、日本ですと100km/h巡航。トップ6速で3600rpmで、とても心地良い領域を使って走れるのでした。ウインドプロテクションの効果も高く、余裕を持って高速道路を走行できます。



フラットダートなら難なくいける!

 せっかくの“XT”ですからオフロードも走ってみましたが、フラットダートなら難なくいけます。前後サスがソフトに路面の衝撃を吸収。スリムなアルミ製ダイヤモンドフレームが軽量な車体をもたらし、その大きな車格にしては未舗装路でも身のこなしは軽く、「DR‐BIG」の遺伝子はしっかりと受け継がれています。

 ただし、あくまでもゆっくりそろりと慎重に走るべきでしょう。クランクケースやエキパイを守るガードは樹脂製で、美しい外装の一部。飛び石が跳ねてキズだらけになるという状態は想定していません。



コーナリングABSも備え、不安なく遠出も疲れ知らず

 そのエンジンパワーとスタビリティの高いシャシーで、ワインディングも不安なくペースを上げていくことができます。フロント19インチのハンドリングは軽快で、コーナーでは狙ったラインを外しません。

 不安なくライディングに没頭できるのは、先進的な「モーショントラックブレーキシステム」のおかげでもあります。ブレーキを強くかけたとき、IMUが前後輪の速度だけでなく車体の姿勢も検出し、ABSコントロールユニットがABSの介入が必要か否かを判断。介入時は増減圧を制御し、ABSが作動してもレバーやペダルへのキックバックが低減されるのです。

 また、コーナリング中もバンク角に応じて前後連動ブレーキの作動具合を変化させ、旋回中にフロントブレーキを強くかけても物理限界の範囲でバンクしたまま効率的に減速。アウト側に膨らむことなく、ラインをトレースしたままカーブを安全に抜けてしていくことができます。



 トラクションコントロールも2つのモードとOFFが選べ、そうした電子制御にも守れ、Vストローム1000は旅を快適にしてくれます。乗り心地が良く、疲れ知らずですから遠くへ行きたくて仕方ありません。都内から首都高、東名高速道路を経て箱根まで往復しましたが、帰路につき自宅が近づくと、もう着いてしまうのかと残念でなりませんでした。
 旅に出たくなる、Vストロームに乗ると、きっと誰もがそう感じるでしょう。




Vストローム1000XT ABS ディテール解説

スズキ・ビッグオフローダー伝統のフロントマスク。DR-BIGのスタリングを脈々と受け継いでいます。ヘッドライトは縦2灯式で、ハイビームで両眼が点灯。ウインドスクリーンは高さと角度調整ができる可変式で、角度はワンタッチで3段階に変えられるのでした。



倒立式フロントフォークは、インナーチューブ径43mmのKYB製フルアジャスタブル。ブレーキはTOKICO製ラジアルマウント異径対向4ピストンキャリパーと310mm径ディスクローターの組み合わせです。今回試乗したXTではホイールをクロススポーク仕様とし、タイヤはブリヂストンBATTLE WING BW-501を履いています。



標準装備のナックルガードはオフロードで腕を守りますが、雨中や冬季、高速巡航時に指先が冷えるのを防ぐ効果も絶大です。疲労感も軽減してくれ、アドベンチャーモデルにはなくてはならないありがたい装備となっています。



V-Strom1000XT ABSには堅牢なテーパーハンドルを標準装備し、ダートも走りやすくしています。アップライトなライディングポジションをもたらし、ロングライドでの疲労度を軽減しているのでした。



バックライトに視認性の高いホワイトカラーを採用する輝度調整機能付きの大型液晶ディスプレイでは、スピード、ギヤポジション、オド、ツイントリップ、時計、トラクションコントロールモード、平均燃費、瞬間燃費、燃料、水温、温度、電圧、航続可能距離を表示。メーターパネル下には12VのDCソケットを標準装備しています。



トラクションコントロールの介入度やメーター表示は、ハンドルバー左のスイッチで切り替えられました。説明を受けなくとも、直感的に操作が可能です。



トラクションコントロールやシフトダウン時の急激なエンジンブレーキを和らげるスリッパークラッチも搭載したVツインエンジン。腰下をガードするアンダーカウルも標準装備しています。



フューエルタンクへと繋がるスリムな形状に、先端が絞り込まれて足着き性を考慮したダブルシート。後部座席からリヤキャリアへとつながるフラットなデザインを採用し、荷物の積載力を高めています。シートサイドには滑りにくい生地素材が用いられ、座り心地はとてもフィット感のあるものでした。




しなやかな乗り心地と軽快なハンドリングを両立するショックアブソーバ。プリロード調整のできるダイヤルアジャスターを備え、パッセンジャー乗車時や大きな荷物の積載時にも、安定感を損なうことなく快適な走行を可能としています。



エンジン回転数に伴ってエキゾーストパイプ内のバタフライバルブが開閉し、低回転域での排気パルス効果を最大限に引き出す「Suzuki Exhaust Tuning(SET)」によってトルクフルで快適な走りを実現。リヤタイヤはブリヂストンBATTLE WING BW-502がセットされています。

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

クルマに影響ないの?「エアコン内部にプシュー!」な消臭剤 奥に粉が溜まったりしないのか 車内臭の”最終兵器”どう使う
クルマに影響ないの?「エアコン内部にプシュー!」な消臭剤 奥に粉が溜まったりしないのか 車内臭の”最終兵器”どう使う
くるまのニュース
てっぺんには黄金の龍! ピンクの電飾にタケヤリもヤバイ! パンチ強すぎな霊柩車の中身とは? 【大阪オートメッセ2024】
てっぺんには黄金の龍! ピンクの電飾にタケヤリもヤバイ! パンチ強すぎな霊柩車の中身とは? 【大阪オートメッセ2024】
WEB CARTOP
トニー・レオン&ワン・イーボーの色気に圧倒される話題のスパイ・ノワール『無名』
トニー・レオン&ワン・イーボーの色気に圧倒される話題のスパイ・ノワール『無名』
バイクのニュース
B-SUV市場で勝つための変身…シトロエン『C3エアクロス』
B-SUV市場で勝つための変身…シトロエン『C3エアクロス』
レスポンス
アストンによる中国GPのアロンソペナルティ再審請求、FIAは却下。「新規性はあるが重要ではない」と判断を説明
アストンによる中国GPのアロンソペナルティ再審請求、FIAは却下。「新規性はあるが重要ではない」と判断を説明
motorsport.com 日本版
レンジローバー・イヴォークの2025年モデルが日本での予約受注を開始。電動化の促進を狙ってPHEVモデルを大幅値下げ
レンジローバー・イヴォークの2025年モデルが日本での予約受注を開始。電動化の促進を狙ってPHEVモデルを大幅値下げ
カー・アンド・ドライバー
軽でも「大人4人」寝れる? どこでも「車中泊」可能なクルマあった! 家族でも1人でも…!?  実は身近な「キャンピングカー」とは
軽でも「大人4人」寝れる? どこでも「車中泊」可能なクルマあった! 家族でも1人でも…!? 実は身近な「キャンピングカー」とは
くるまのニュース
一体どう直す? 気になるバイクシートの穴や擦れ
一体どう直す? 気になるバイクシートの穴や擦れ
バイクのニュース
市販化の予定はなかった!? 2000GTの新車価格が238万円!!! 反響の大きさに後押しされ伝説に
市販化の予定はなかった!? 2000GTの新車価格が238万円!!! 反響の大きさに後押しされ伝説に
ベストカーWeb
スプリント予選首位のフェルスタッペン、状況の変化に苦戦「これで最速なんて驚いた。皆に何が起きていたのか」F1第6戦
スプリント予選首位のフェルスタッペン、状況の変化に苦戦「これで最速なんて驚いた。皆に何が起きていたのか」F1第6戦
AUTOSPORT web
打倒N-BOX、ダイハツ・タントが満を持して2025年にフルモデルチェンジ
打倒N-BOX、ダイハツ・タントが満を持して2025年にフルモデルチェンジ
グーネット
【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義(5)】編集長の故郷グルメツアーは、三菱アウトランダーPHEVとマツダCX-60の上級SUVフルコースを味わう旅だった
【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義(5)】編集長の故郷グルメツアーは、三菱アウトランダーPHEVとマツダCX-60の上級SUVフルコースを味わう旅だった
Webモーターマガジン
ヒュルケンベルグ、ザウバー移籍決め手のひとつはザイドルCEOの存在?「彼はキーパーソンのひとり」
ヒュルケンベルグ、ザウバー移籍決め手のひとつはザイドルCEOの存在?「彼はキーパーソンのひとり」
motorsport.com 日本版
レンジローバーPHEVの使用済みバッテリーを再利用! エネルギー貯蔵システム「BESS」で真の循環型経済の実現を目指す
レンジローバーPHEVの使用済みバッテリーを再利用! エネルギー貯蔵システム「BESS」で真の循環型経済の実現を目指す
THE EV TIMES
FIA-F4第2戦富士で複数エントラントが参戦見合わせの異常事態発生。原因不明のエンジントラブルが理由
FIA-F4第2戦富士で複数エントラントが参戦見合わせの異常事態発生。原因不明のエンジントラブルが理由
AUTOSPORT web
ルノーが小型SUV『シンビオズ』発表…「E-TECHハイブリッド」搭載
ルノーが小型SUV『シンビオズ』発表…「E-TECHハイブリッド」搭載
レスポンス
GT500次期車両はモーター搭載を検討も方針は未定。投入タイミングは2029年か【GTA坂東正明代表/第2戦会見】
GT500次期車両はモーター搭載を検討も方針は未定。投入タイミングは2029年か【GTA坂東正明代表/第2戦会見】
AUTOSPORT web
物議を醸すマグヌッセンのペナルティ上等ディフェンス。マクラーレン代表も語気強める「この業界にはフェアな人間が生き残るべき。全く容認できない」
物議を醸すマグヌッセンのペナルティ上等ディフェンス。マクラーレン代表も語気強める「この業界にはフェアな人間が生き残るべき。全く容認できない」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

441.0540.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
ロードスポーツの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

441.0540.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村