2021年10月7日、スバルの「新型レガシィアウトバック」が正式発表された。エンジンには1.8L水平対向4気筒ターボを採用した。先進安全装備「アイサイトX」が全車標準装備される。
レガシィアウトバックは、日本市場では1995年に「レガシィ グランドワゴン」の名で登場。以来、超名門「レガシィ」ブランドのクロスオーバーSUVとして、北米、そして国内で活躍してきた。
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セダンモデルである「B4」なき今、名門「レガシィ」の名を継ぐモデルは、国内ではこのレガシィアウトバックのみとなる。ここでいま一度、スバルの名門「レガシィ」ブランドの歴史について振り返ってみようと思う。
文/吉川賢一
写真/SUBARU
[gallink]
ワゴン文化を根付かせた初代から3代目
WRC参戦車として開発された、初代レガシィ(1989~1993)
1989年に登場した初代レガシィツーリングワゴン。この時点から、EJ20型2Lターボエンジンが搭載されていた
もともとは、WRC参戦車としてセダンRSを中心に開発が進められたモデルであった、初代レガシィ。実際に、RSは、1990年から4年間WRCに参戦。1993年のニュージーランド・ラリーでは優勝を果たしている。
しかし、この初代レガシィといえば、なんといっても国内のステーションワゴンブームの火付け役となった「ツーリングワゴン」であろう。当時のバブル景気も手伝い、ハイパワー4WDワゴンブームが発生する要因となったモデルだ。この初代がヒットしたことで、富士重工業(現SUBARU)は経営危機から脱することができた、というのは有名な話だ。
ちなみにこの初代レガシィが、EJ20型2L水平対向4気筒ターボエンジンを搭載した最初のモデルであった。大小の改良が施されて延命してきたEJ20、まさか30年後のWRX STI EJ20ファイナルEd.(2020年)まで継続搭載されるとは、誰が考えただろうか。
ブームをさらに加速させた、2代目レガシィ(1993~1998)
1993年に登場した2代目レガシィツーリングワゴン。累計34万台が販売され、歴代最量販モデルとなった
初代が築いたステーションワゴンブームは、1993年登場の2代目によってさらに加速する。シャシーは初代モデルの流用であったが、全長を60mm延長したことで、後席の居住性が大きく改善。また、5ナンバー枠をキープしており、国内での使い勝手の良さをキープ。これが、2代目レガシィを大ヒットさせた大きな要因となった。
エンジンは、GTとGT-Bに搭載の2L水平対向4気筒ターボを、ターボチャージャーを2個採用したシーケンシャルツインターボの「2ステージターボ」としたことで、最高出力250psを達成。
1996年のマイチェンでさらに改良が加えられ、GT-Bグレードの最大出力は、5速MT仕様が280ps、4速AT仕様は260psまで性能向上した。また、イエローのビルシュタイン製ダンパーも、スバルの高性能モデルの代名詞となった。
当時、日産ステージアや三菱レグナム、トヨタカルディナなどがレガシィの牙城に挑んだが、レガシィ人気には届かず、ことごとく敗れ去ったことも記憶に残る。そして、この2代目レガシィのツーリングワゴンの車高を上げて「クロスオーバーSUV」に仕立てたのが、「レガシィアウトバック」だ。北米では当初より「アウトバック」、国内では「グランドワゴン」として、1995年に登場した。
全グレード4WDとなった、3代目レガシィ(1998~2003)
3代目レガシィの登場は、1998年のこと。先にツーリングワゴンが登場し、遅れること半年、新たに「B4」という名称を得て、セダンモデルが登場した。今回も5ナンバーサイズは変えずに、各部をブラッシュアップ。また、このモデルから、全グレードが4WDとなったことも、3代目レガシィの大きなトピックだ。
ツーリングワゴンとB4のエンジンは最高出力280psを発生する水平対向2Lツインターボ(GT-B)、2.5L水平対向4気筒NA、2L水平対向4気筒NAに加え、最高出力220psの3L水平対向6気筒エンジンEZ30も登場(2002年1月に追加)。このEZ30型エンジンは、ランカスター(先代のグランドワゴンから名称変更)にも搭載され、豊かなトルクと優れた静粛性によって、ゆとりある巡航性能を実現していた。
ハイパワー4WDステーションワゴンのブランドを揺るがないレベルに引き上げると同時に、環境対策や高級感も訴求するモデルとなった。
歴代最高モデルからセダンB4国内生産終了へ
「歴代最高のレガシィ」と名高い、4代目レガシィ(2003~2009)
全幅が3ナンバー化され、完成度がさらに上がった4代目レガシィツーリングワゴン。スバルとして初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したクルマでもある
2003年、4代目へとフルモデルチェンジ。ついにシリーズ初の3ナンバーサイズとなった。衝突安全性、室内居住性、空力性能、走行性能、100kgの軽量化など、完成度の高さが評価された。日本カー・オブ・ザ・イヤー2003-2004にて368点を獲得し(プリウスと46点差)、スバルとして初のCOTYイヤーカー受賞となった。また、この代から、クロスオーバーSUVタイプの国内名称が、北米と同様の「アウトバック」に改称された。
ツーリングワゴンのEJ20型2L水平対向ターボエンジンは、先代までのツインターボからツインスクロールのシングルチタンターボへと変更。段つくようなパワーの出し方が改善し、低速トルクとレスポンスに優れた優秀なエンジンへと進化した。なお、250psを発生する新開発の3L水平対向6気筒エンジンを搭載した3.0Rグレードも登場。最終型では運転支援システム「アイサイト」を初搭載した。このモデルこそが、「歴代最高のレガシィ」だというスバルファンが多いのも特徴だ。
さらに肥大化した、5代目スバル レガシィ (2009~2014)
ボディサイズがさらに拡大した5代目レガシィは2009年に登場。ツーリングワゴンは、全長4775(4代目+95)×全幅1780(+50)×全高1535(+65)mm、ホイールベース2750(+80)mmと、確実にひとクラス上のサイズになった。
主要マーケットである北米市場でのスバル車人気(車高を上げたアウトバックが大人気)に引っ張られ、アメリカ人に合わせての居住性改善をしたことが要因だ。これによって、日本では扱いにくさすら感じるミディアムクラスのワゴンになった。エンジンも2Lを廃止し、ツーリングワゴンとB4は、2.5LのNAとターボ、アウトバックは2.5L NAとフラット6、3.6L NAという構成となった。
4代目までのスタイリッシュなスタイリングから、厚みのあるフロントセクションと派手目なフロントマスク、高めの全高など、それまでのレガシィを愛してきた日本人の心に、「これじゃない」感がよぎったモデルでもあった。
ツーリングワゴンが廃止された、6代目レガシィ(2014~2021)
6代目レガシィB4 。セダンモデルの30年余にわたる国内での系譜に終止符が打たれた
ステーションワゴンが廃止となり、クロスオーバーSUVのアウトバックと、セダンのB4のみとなったレガシィ。北米からの要望でボディサイズはさらに拡大し、B4で全長4820mm、全幅1840mmにまで成長、室内も豪華絢爛に進化し、まさにグローバライズ(アメリカナイズ)された。なお、B4は2020年6月に、アウトバックも、2021年1月24日をもって、現行モデルの受注生産の受け付けを終了。なお、今回の新型ではB4は国内では販売されない。
ついに新型レガシィアウトバック登場
新型レガシィアウトバック。先代モデルとほぼ同じサイズを維持した(全長4860×全幅1855×全高1680mm)
2019年7月、新型アウトバック北米仕様が発売された。日本では生産終了となったB4も発売された。ボディサイズは全長4860×全幅1855×全高1680mmと、先代モデルとほぼ同じ。搭載されるエンジンは260ps/38.4kgmを発生するFA24型2.4L水平対向4気筒ターボだ。そして遅れること約2年後の2021年10月、ようやく国内仕様が、正式に発売開始された。
レガシィの全盛期は「3代目、4代目」
レガシィの歴史は、やはりツーリングワゴンがつくってきた歴史だ。それを考えると、レガシィの全盛期は、間違いなく、3代目、4代目あたりだろう。この頃のレガシィは完成度もさることながら、日本人に向けてつくられていた感があった。
ステーションワゴン派である筆者も、4代目のレガシィツーリングワゴンには、強く憧れていた。水平対向4気筒のターボエンジンやシンメトリカルAWDといったメカニズムなど、クルマの内部構造に対しての「ロマン」を強く感じられたこと、国内では実に適切なボディサイズや、ステーションワゴンとしての実用性、そして背の低いスタイリングなど、クルマから漂う「良いクルマ」感が、実にカッコよかった。
だが5代目以降、ボディサイズを一気に拡大したことで、メカニズムはTOPレベルを維持していたとしても、やはり日本人が思うサイズ感を越えて肥えたボディは、まったく魅力的に映らなかった。「アメリカではヒットしているから、日本にもどうぞ」的な、後回し感が強く感じられるようになったこともあるだろう。
初代レヴォーグ(2014年~)。スバルファンが求める4代目レガシィ路線に戻ってきた!! と、当時は大いに話題になった。写真はビルシュタイン製ダンパーも備えた「STIスポーツ」
そんなステーションワゴン派の気持ちを察してか、2014年に日本向けのステーションワゴンとして初代レヴォーグ(2014年~)が投入されたが、ちょっと遅かった。すでにステーションワゴン派の心はスバルやレガシィからは離れてしまっていた。
しかし、ステーションワゴンブームは、また必ずやってくる。いまはSUVが流行っているが、SUVとしての性能をもとめてSUVを購入している人がどれだけいるだろうか。「ブームでカッコよく見えるから」購入しているかたが大半であろう。50扁平を下回る薄っぺらいタイヤで、かつ、無謀なほど大きく重たいホイールを付けたSUVなんて、見てくれ以外に何のメリットもない。機能性と新鮮味を求めて、ステーションワゴンが再び脚光を浴びる日はそう遠くない、と、ステーションワゴンびいきの筆者は考えている。
アウトバックは、レガシィブランドを継承する大切な存在だ。日本ではその人気は若干いまいちではあるが、北米では支持を得ている。経営危機を救ってくれた「レガシィ」というブランドは、スバルにとって、その名の通り「受け継いでいくもの」であるにちがいない。
ブランドが続いていれば、いつかステーションワゴンブームの兆しがみえたとき、きっとスバルは真っ先にやってくれるだろう。いまはその時を虎視眈々と待っている状態なのかもしれない。
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