現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ネオクラ世代のフェアレディZが刻んだ土の轍……Z31はFR最後のチャンピオンマシン! まさかの4WDマシンの存在も!?

ここから本文です

ネオクラ世代のフェアレディZが刻んだ土の轍……Z31はFR最後のチャンピオンマシン! まさかの4WDマシンの存在も!?

掲載 6
ネオクラ世代のフェアレディZが刻んだ土の轍……Z31はFR最後のチャンピオンマシン! まさかの4WDマシンの存在も!?

フェアレディZは初代のS30型から現行のRZ34型まで、ほぼ全モデルが日産ワークスやプライベーターによりサーキットレースに投入され、好成績を収めてきた。GTカー的性格を強くした二代目のS130も北米を主戦場に活躍。レース好きのポール・ニューマンによるSCCA(スポーツカークラブ・オブ・アメリカ)のレースにおける280ZXの活躍は特に有名だ。

また、日産はサーキットシーンだけでなく、ラリーでもその存在感を示していた。特にサファリラリーでは1969年~1971年の三連覇に加え、1973年の優勝、さらに1979年~1982年の四連覇で合計8勝を記録している。しかもそのうちの2勝、1971年と1973年はフェアレディ240Zで獲得しているのだ。

ネオクラシック時代の日産は土の香りがした最後の世代! シルビア、ブルーバード、パルサー……意外なクルマが日本と世界のラリーを戦った!!

フェアレディZ初のV6エンジンを搭載したZ31型の活躍は……

初代S30型フェアレディZは2.4Lの大排気量によるパワーで、サーキットとラリーで活躍。そのコンセプトを受け継ぐ二代目S130型フェアレディZも北米を主戦場に戦った。
では三代目となるZ31型はというと、あまりレーシングイメージは強くないのではないだろうか? 正直、一番活躍したZ31型フェアレディZは少年ジャンプで人気を集めたチューニングカーマンガ『よろしくメカドック』(次原隆二・集英社/1982-1985)ではないかと思うくらいに……。

1983年にデビューした三代目となるZ31型フェアレディZは2.0LのVG20ETと3.0LのVG30ETというV型6気筒SOHCエンジンを搭載。そのいずれもターボを装着し、VG30ETは230psという当時国内最高のパワーを誇った。
スタイルは先代までのロングノーズショートデッキを受け継ぎつつ、リトラクタブルライトを採用するなど現代的なデザインに改められた。

GT的性格が強いとはいえ、Z31型フェアレディZは国内最高レベルのスペックを備えていたにもかかわらず日産は当初モータースポーツには投入しなかった。
というのも、当時の日産のモータースポーツはサーキットではグループ5のシルエットフォーミュラ、そしてその流れを受けたグループCのスポーツプロトタイプが主流。また、ラリーにおいてもグループBの240RSがメインマシンであったからだ。

また、北米では前述のポール・ニューマンが率いるニューマン/シャープレーシングがSCCAにおいて280ZX(S130型)に続き300ZX(Z31型)で参戦。1986年にはSSAクラスのナショナル・チャンピオンシップを獲得している。ドライバーは1996年にインディカーシリーズのチャンピオンを獲得するスコット・シャープ(チーム共同オーナーのボブ・シャープの息子)に加え、なんとトム・クルーズも名を連ねていた。

1985年に全日本ラリーに出走! いきなりチャンピオン獲得!!

そんなZ31型フェアレディZが全日本ラリーに投入されたのが1985年。前年に設立されたNISMOの手によるワークスマシンだった。
当時の全日本ラリーは排気量ごとに3クラスに分かれており、最高峰は1.6L以上のCクラス。そこではトヨタのAE86カローラ(主にレビン)と三菱のA175AランサーEX(ターボ)といったFR車が争っており、雪のラリーのみ4WDのスバル・レオーネや三菱・コルディアがリザルト上位に顔を見せるという状況だった。グリップの低い未舗装路ではパワーそのものよりドライバビリティやハンドリング、そしてドライバーのテクニックが重要だったのだ。

トップコンテンダーであるカローラレビン(AE86)が1.6L直列4気筒DOHCで135ps(※)、ライバルだったランサーEX(A175A)が1.8L直列4気筒SOHCインタークーラーターボで160ps(※)という時代にいきなり3.0LV型6気筒SOHCターボで230ps(※)の大パワー車が現れたのだ。
(※)いずれもグロス値

第3戦「KANSAI-RALLY」でデビューし5位、第5戦「ツールド四国」で7位と苦しむが、第6戦「ツールド九州」で初優勝を遂げると、第7戦「ツールド東北」と連勝。第8戦「AG.MSC北海道85’ノースアタック300 」で4位、第9戦「栗駒山アルペンラリー」で9位、第10戦「モントレー」で3位、最終戦の「M.C.S.Cラリーハイランドマスターズ」を3位でシリーズを締めくくる。
結果、11戦6勝とシーズン最多勝ながら4組のエントラントが勝利を分け合ったカローラに対し、シーズン途中からの参戦ながらリタイヤなしで上手くポイントを重ねたフェアレディZがシリーズタイトルを獲得することになった。

イベントフェアレディZ順位優勝車第1戦:スノーインクレストーコルディア4WDターボ(A213G)第2戦:DCCSウィンターラリーーコルディア4WDターボ(A213G)第3戦:KANSAI-RALLY5位カローラ(AE86)第4戦:ACKスプリングラリーーカローラ(AE86)第5戦:ツールド四国7位カローラ(AE86)第6戦:ツールド九州優勝フェアレディZ(Z31)第7戦:ツールド東北優勝フェアレディZ(Z31)第8戦:AG.MSC北海道85’ノースアタック3004位スタリオンターボ(A183A)第9戦:栗駒山アルペンラリー9位カローラ(AE86)第10戦:モントレー3位カローラ(AE86)第11戦:M.C.S.Cラリーハイランドマスターズ3位カローラ(AE86)翌1986年は前年にAE86で1勝を挙げた上坂治樹がフェアレディZを駆り、第7戦「ツールド東北」で2位、第10戦「トリビアルパスート勧進帳」で優勝を飾るもののリザルトは低迷。第11戦「モントレー」で高崎正博が3位に入ったのが全日本ラリーにおけるフェアレディZ(Z31)の最後の表彰台となった。

余談ではあるが、1986年は前年にデビューした日本初のフルタイム4WD車であるファミリアGT(BFMR型)がシリーズを席巻する一方で勝利を複数エントラントで分け合い、レオーネRX(AA5/AG5)の綾部美津雄がタイトルを獲得した。
これが全日本ラリーにおける初の4WD車のタイトルで、以降、ファミリアGT(1987年)、ブルーバードSSS-R(1988年、1990年)、ギャランVR-4(1989年、1991年、1992年)、インプレッサWRX(1993年)、ランサーエボリューションII(1994)と4WD車がタイトルを独占していく。

開催年タイトル獲得車両(型式)エンジン(型式)駆動方式1980いすゞ・ジェミニZZ/R(PF60)1.8L直列4気筒DOHC(G180)FR1981いすゞ・ジェミニZZ/R(PF60)1.8L直列4気筒DOHC(G180)FR1982三菱・ランサーEXターボ(A175A)1.8L直列4気筒SOHCインタークーラーターボ(G62B)FR1983三菱・ランサーGSRターボ(A175A)1.8L直列4気筒SOHCインタークーラーターボ(G62B)FR1984三菱・ランサーGSRターボ(A175A)1.8L直列4気筒SOHCインタークーラーターボ(G62B)FR1985日産・フェアレディZ300ZXターボ(HZ31)3.0LV型6気筒SOHCターボ(VG30ET)FR1986スバル・レオーネRX(AA5/AG5)1.8L水平対向4気筒SOHCターボ(EA82)パートタイム4WD1987マツダ・ファミリアGT(BFMR)1.6L直列4気筒DOHCターボ(B6)フルタイム4WD1988日産・ブルーバードSSS-R(U12)1.8L直列4気筒DOHCインタークーラーターボ(CA18DET-R)フルタイム4WD1989三菱・ギャランVR-4(E38A)2.0L直列4気筒DOHCインタークーラーターボ(4G63)フルタイム4WD1985年の全日本ラリー選手権は、フェアレディZが参戦し、チャンピオンを獲得した年として記録されるだけでなく、フェアレディZがFR車として最後のチャンピオンマシンであることも同時に記憶されるのである。

あわせて読みたい ネオクラシック時代の日産は土の香りがした最後の世代! シルビア、ブルーバード、パルサー……意外なクルマが日本と世界のラリーを戦った!!

1980年代から1990年代は日本の自動車の黄金期だ。日本経済はバブル景気に向けて絶好調。そ…

番外編:Z31型フェアレディZに4WDが!?

前述の『よろしくメカドック』に登場するZ31型フェアレディZは主人公・風見潤の手により、レオーネのパーツを流用した4WD車に改造されていた。
これはマンガならでは荒唐無稽さと思うかもしれないが、事実は小説より奇なり。
パイクスピークヒルクライムで有名なMONSTER SPORTSのモンスター田嶋(田嶋伸博)が、1985年にボディをFRP化し、ダットサントラックの4WDシステムを流用・搭載したZ31型フェアレディZでアメリカのSCCAプロラリーのオープンクラスに出走している。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース

みんなのコメント

6件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村