トライトンがタイ南部を疾走
今年は8月11~17日の日程で、タイ南部のスラタニを出発し、タイ中部のカンチャナブリでゴールするルートが計画されているが、それに先立ち、アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2024参戦取材会があり、総監督やドライバーの意気込みを直接伺うことができた。
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AXCRはアセアン最大規模のFIA公認クロスカントリーラリーで、今回で29回目となる。
ピックアップトラック「トライトン」でのAXCR参戦は今年で3年目となり、参戦初年度となる2022年に総合優勝を果たし、新型モデルに切り替えた2023年は総合3位に入賞している。
2022年は11月にタイ~カンボジア、2023年は8月にタイ~ラオスというルートで開催された。
今年の総走行距離は約2400kmで、スペシャルステージと呼ばれる競技区間はその内の1000kmを超える見込みだ。
コースは、山岳部、密林地帯、川渡りなど変化に富み、走破性と耐久性のみならず、今年は走行スピードも問われることが予想されている。
2024年バージョンのトライトンは動力性能を大幅に向上させており、持ち前の悪路での優れた操縦性および走破性と高い耐久性との相乗効果によって2年ぶりの総合優勝を目指すのであった。
3年目でクルマの仕上がりは上々
チーム三菱ラリーアートはタイのタントスポーツが運営し、三菱自動車からはダ・カールラリーで2連覇した増岡浩氏が総監督を務め、開発部門のエンジニアがチームに帯同してテクニカルサポートを行うことになっている。
ドライバー/コ・ドライバーは、2022年大会で総合優勝したタイのチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン選手、2023年大会で日本人ペア最上位となる8位となった田口勝彦/保井隆宏選手を引き続き起用。
それに加えて経験豊富で三菱車を熟知するタイのサクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ選手も走らせ、さらに三菱自動車開発部門のテストドライバーである小出一登選手を抜擢し、コ・ドライバーにAXCRで入賞経験のある千葉栄二選手を登用するという布陣で王座奪還に挑むことになる。
増岡総監督は「3年目なのでクルマが仕上がり、チームの結束力も高まりました。これで、やっと土俵に上がれます。AXCRは硬く荒れた路面を高速で走破するので過酷。今年は、これまで15年にわたって私と一緒に三菱車の開発に携わってきた小出選手が参戦します」と話す。
さらに「シビアなモータースポーツの現場での経験を今後のクルマづくりに活かすという三菱自動車らしい伝統を次の世代にしっかり受け継いでいきたいです」と続けた。
また田口選手は、昨年のコースでのテストを終えており、すべての面でよくなったのでタイムアップしていると話してくれた。
増岡総監督の個別インタビューも
昨年、発売直後の新型トライトンで2連覇に挑んだものの、ほぼ量産車と同じ仕様だったこともあり、ポテンシャルを十分引き出すことができなかった。
そのため、今年のトライトンのT1仕様(改造クロスカントリー車両)は、昨年の参戦結果を振り返り、高速ステージで大排気量の競合車に対抗できるように動力性能を大幅に向上。トルク容量の大きい競技用トランスミッションを新たに採用し、耐久性と操作性を向上させた。
また、トレッドを拡大しつつ、リアサスペンションをリーフスプリング式からコイルスプリングを用いた4リンクリジッド式に変更。荒れた路面からの大きな衝撃を吸収し、凹凸の激しい路面での追従性を高めることで悪路走破性を大幅に向上させている。
増岡総監督への個別インタビューが可能だったので伺ってみたところ、篠塚建次郎さんが1997年に日本人初のパリダカ総合優勝を達成した際にドライブしたパジェロのリアサスペンション・ジオメトリーをトライトンに採用したそうだ。
このリアサスは新型車にも展開できるかもしれないし、AXCRに参戦することで環境への配慮や使いやすさに関するノウハウをさらに蓄積することで、ディーゼルエンジンをより長く使えるようになるかも、とも話してくれた。
また、ディーゼルエンジンを活用してのPHEVとしての可能性や、ゆくゆくはモータースポーツで得たノウハウを盛り込んだコンプリートカーを提供したいとも考えているそうだ。
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みんなのコメント
それにしても、かつてはT2(市販車改造部門)でなければ出来なかった改造が、今ではT1でできる事に驚かされます。
サスユニットも1997年のモデルと同様に前後共Donerreのコイルオーバータイプかな?