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MARELLIとの最後のレース、最後尾から意地と感謝の表彰台。ホシノインパルで継承される『全開魂』と『イズム』

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MARELLIとの最後のレース、最後尾から意地と感謝の表彰台。ホシノインパルで継承される『全開魂』と『イズム』

 当初スケジュールされていた8月末から12月7~8日の週末に延期されての開催となったスーパーGT第5戦鈴鹿は、2024年シーズンを締めくくる一戦となったが、TEAM IMPULにとってはメインスポンサーであるマレリとともに戦う最後のレースでもあった。そのラストレースで2年前の“テール・トゥ・ウイン”を彷彿させる、クラス最後尾からの巻き返しで見事、3位となった12号車MARELLI IMPUL Zの平峰一貴と星野一樹監督に聞いた。

 チームの総監督を務める星野一義氏の現役時代である1982年から、実に40年以上にわたってホシノインパルのスポンサーを続けてきた“盟友”に好リザルトで最後の恩返しをするべく、鈴鹿サーキットでの今季最終戦に臨んだTEAM IMPULだったが、7日(土)の予選はその出鼻をくじく結果に終わった。

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 予選Q2のタイムアタック中、平峰がドライブする12号車MARELLIは、日立Astemoシケインで14号車ENEOS X PRIME GR Supraに進路を塞がれるかたちとなり、回避行動のなかでスピンを喫したため最良のラップを記録することができなかったのだ。

「邪魔だなと思いました(苦笑)」と前方に14号車ENEOSが現れた際の心境を正直に語った平峰。「それはドライバーとして当たり前の素直な気持ちですが、別に14号車の福住(仁嶺)選手に対してはなんとも思っていません。わざわざピットに謝罪に来てくれたので、その気持ちはきちんと受け取りました」

 なおこの一件については、福住の走りがSpR.18-2『ドライバーの遵守事項違反』における『他車の妨害となるようなスロー走行』であることが認められ、14号車ENEOSに予選結果から5グリッド降格の裁定が下っている。

■アウトラップの速さは折り紙付き

 翌日の決勝レースは、スタート直後から平峰のチームメイトであるベルトラン・バゲットが好走を見せ15番グリッドからジャンプアップに成功した。これには星野一樹監督の頬も緩む。

「バゲット選手が1周目に3台抜いて帰ってきたりだとか、ふたりのドライバーが本当に頑張ってくれました」とレースを振り返った星野一樹監督。「バゲット選手はいつもスタートで順位を上げてくれるのですけど今回も(路気温が低くタイヤを)暖めるのがのが難しい状況にもかかわらず、とても力強い走りをしてくれました」

「タイヤチョイスも非常にうまくいきました」と続けた星野一樹監督。「何度もフルコースイエローが出て、その都度タイヤが冷えては戻ってを繰り返すなか、毎回何かが起きたときに順位上げて帰ってきてくれましたからね」

「レースの後半を担当した平峰選手の走りも本当に素晴らしかったです。事前に『(アウトラップの)ウォームアップが勝負だから』と伝えていたところ、見事に期待に応え、誰よりも速いウォームアップラップを(ピットアウト後の)1周目と2周目に出してくれました」

「それが今回の勝因じゃないですけど、表彰台を勝ち取る大きな要因になったと思います」

 こう星野一樹監督が言うように、10番手で相棒のバゲットから12号車MARELLIのステアリングを託されレースの後半3分の2スティントを受け持った平峰の力走、とくにタイヤが冷えた状態でのオーバーテイクショーは目を見張るものだった。

 当の本人である平峰は「アウトラップ(の走り方)や他のドライバーをどうやって抜こうかなと、いろいろ感覚で考えていました」と語る。「実際にピットアウトするとクルマの調子が良く、一方で周りの皆はタイヤのウォームアップに手こずっていて(ペース的に)厳しそうだったので、その間にバンバン抜いていくことができました」

「気がついたら4番手くらいに上がっていました。最後は100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTが運悪くGT300のトラフィックに引っかかっていたので、うまくチャンスをついて抜く」ことができ、こうして12号車MARELLIは3番手に浮上。そのままポジションを維持し“テール・トゥ・ポディウム”となる3位表彰台を獲得した。

■カルソニックとマレリが「育ててくれた」

 このレースを最後に、日本ラヂヱーターに始まり、カルソニック、カルソニックカンセイ、そして現在のマレリへと社名や体制が変わるなか、インパルチームを支えて続けたスポンサーとの関連は終了することになる。その最後のマシンのステアリングを握った平峰は感謝の気持ちとともに、その継承についても語る。

「2020年にGT500クラスに上がってきた僕にとって、カルソニックとマレリは自分を育ててくれた大きなスポンサーさんのひとつです。インパルとカルソニック、そしてマレリとのタッグは今年で終わってしまいますが、絆はずっと続いていくと信じています」

「やはり、“全開魂”であったり“星野イズム”というのはこのチームで、マレリとのパートナーシップが終わったとしてもずっと続いていくと思うんです。だから、僕自身もそれをずっと受け継いでき、これからのレースを戦っていこうと思います」

 シリーズチャンピオンを獲得した2022年から、父・一義氏に代わってチームの指揮をとる星野監督は、長年のパートナーとのラストレースを終えたあと、「予選がビリでものすごく悔しい思いをしましたが、『決勝では諦めずに表彰台を目指そう』と言ってたことが成し遂げられてよかった」と安堵の表情を見せ、レース終了後は来場した多くのマレリ関係者へ感謝を伝える姿や、記念写真に応えるシーンが見られた。

 来季2025年はチームにとって心機一転のシーズンになると予想されるが、そこに向けては、「2024年は本当に苦しいシーズンでしたので、来年の(オフシーズン)テストでしっかりと課題に取り組み、2年前のようにもう一度チャンピオンを獲れるよう、しっかりと準備をしてレースを戦っていきたいです」と力強く宣言した。

 シーズンを通してトップ3フィニッシュがSUGOと鈴鹿の計2回、チームランキング5位、ドライバーズランキングは6位に終わったTEAM IMPUL。長年のパートナーに代わる新たなスポンサーを迎え3年ぶりの王座奪還を目指すことなるホシノインパルが、来シーズンのスーパーGTでどのような戦いを見せてくれるのか、IMPUL Zの新しいカラーリングも含めて楽しみにしたいところだ。

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