SEMAでフォードが発表した「F-100エルミネーター・コンセプト」
アメリカ・ラスベガスで11月2日~5日に開催されたカスタムカーの祭典「SEMAショー」に合わせて、フォードから1台のピックアップトラックが発表された。
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「F-100エルミネーター・コンセプト」という名のこのクルマ、見た目はアメリカで昔よく走っていた懐かしいトラックだが、中身はフルEV化していてなんと最高出力480psを誇るハイパワーマシンになっている。今、フォードがこのようなコンセプトカーを世に問う意図とは?
全米ナンバーワントラック「フォードF-100」をカスタム
この「F-100エルミネーター・コンセプト」のベースとなったのは、1978年製の6代目「フォードF-100」というピックアップトラック。F-100はこの世代で全米売り上げナンバーワンのトラックになり、以後、現在の14代目までその地位を保っている。つまり、アメリカ人にとっては「国民車」と言ってもいいシリーズなのである。F-100から派生した元祖アメリカンSUV「フォード・ブロンコ」をご存じの方も多いだろう。
フォードのレース部門「フォード・パフォーマンス」が製作したフル電動のコンセプトカー「F-100エルミネーター」は、フロントとリヤに駆動用モーターを搭載した4輪駆動で、前後合わせた最高出力は480ps、最大トルク87.5kg-m。笑ってしまうほどのハイパワーを与えられている。
最新EV「マスタング・マッハE GT」と同じモーターを搭載
じつはこの「F-100エルミネーター・コンセプト」に搭載されている駆動モーターは、2020年秋に発表されたフル電動SUV「フォード・マスタング・マッハE」に搭載されているのと同じものだ。さらに今年夏に追加されたハイパフォーマンス版「マスタング・マッハE GT」は同型モーターをふたつ搭載していて、その「GT」のパワートレインをピックアップトラックに移植してチューンした、というわけだ。
フォード「Eクレート・モーター」はカスタムや旧車用に単体販売
フォードの担当者はこう語る。「創業以来、フォード車のオーナーたちはルックスの変更からパワーアップまで、個人でクルマをカスタムしてきました。お客さまのオール電気化をサポートし、当社の伝統的なクルマであってもEV化する方法があるという提案が、この“F-100エルミネーター”なのです」
今回使われたモーターは「Eクレート・モーター」との名前で、全米のディーラーで販売されるとのこと。この名は、ガソリン車のエンジンがかつて木箱(crate)に入って単体販売され、「クレート・エンジン」と呼ばれていたことに由来している。
このモーターは1基で最高出力281ps、最大トルク43.8kg-mで、アメリカ50州で公道走行可能な認証を取得済だ。価格は1基あたり3900ドル(約44万円)。
今後もフォードはバッテリーシステムやコントローラー、駆動インバーターなど、EVのためのさまざまなコンポーネントを開発して、アフターマーケットに提供していく予定だという。
残念ながら日本では2016年にフォードが撤退してしまい、現在はクルマの正規輸入が行われていない。だが、カスタムや旧車のEVコンバートの需要が高まれば、「Eクレート・モーター」単体なら輸入される可能性はゼロではない。
クラシックカーをEV化して乗り続けるための選択肢は、今後フォードのほかにもさまざまなメーカーから提供されそうである。
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