8月24日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで全日本スーパーフォーミュラ第5戦の公式予選が行われ、山下健太(KONDO RACING)がデビューイヤーの2017年以来7年ぶり、自身2度目となるポールポジションを獲得した。
ここでは予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちがフリー走行と予選について語った内容をお届けする。
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■山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING) 予選6番手
3番手タイムを記録した今朝のフリー走行での走り出しについて「悪くなかった」と振り返った、地元栃木県出身の山本。その時点で改善したかった部分はチームメイトである佐藤蓮のクルマのデータが活きたという。
「走り出したからそんなに悪い感じではなく、その中で直したいポイントが65号車(姉妹車)と一緒でした」と山本。「先に65号車がアジャストして良かったものがあったためそれをコピーさせてもらったところ、結構クルマとして良い方向にいったので、それで予選に臨んだという感じですね。2台でうまく機能して、Q2では(佐藤は)9番手でしたけど、(チームとして)いい進め方ができたのではないかと思っています」
Q1、Q2いずれも「ベストを尽くせた」という予選アタックでは、Q1B組で4番手タイム、Q2で6番手タイムをマーク。このもてぎで2年ぶりの勝利を目指す山本は、決勝レースを戦っていくうえで3列目までに居たいと考えるなか、それを実現するためのアタックができたという。
「なんとか2列目、3列目までにいれば充分レースができると思いながらも、その3列目に入るのがここ2戦くらいずっとできていませんでした」
「今回は3列目6番手。嬉しくはないですが3列目に居られれば充分スタートで前に出られると思っていますし、明日は天候が荒れそうなので、なおさら前のほうにつけたいと思っていました。まずは6番手からスタートできるので、いいレースができるんじゃないか」と期待をよせていた。
■国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選12番手
今回は、Q1の両グループともに0.001秒を争う接戦となったSF第5戦もてぎの予選。そのなかで国本は、Q1Aグループで0.002秒という僅差で6番手に食い込み、Q2へ進出。最終的に12番手で予選を終えた。
「今回は走り出しから上位にいてフィーリングが良かったのですけど、全体的にグリップが少し不足している感じでした。フリープラクティス最後にニュータイヤでアタックしたのですけど、けっこう失敗してしまいました」
「結果的に(フリープラクティスでは)上位にいなかったですけど、中古タイヤでは手応えがないなかでも上位にいたので、うまく合わせ込めばいけるのかなというところで予選に向かいました」
いろいろと修正して臨んだものの、トップ10圏内に入れるほどのスピードまでは持っていけなかった模様。「なんとかQ2に進むことはできましたけど、ほんの少しだけグリップが全体に足りなくて、伸び悩んだのかなと思います」と、まだ課題が多そうな様子だった。
今回は、ニック・デ・フリースがチームメイトとなっているが、彼についての印象は「すごく真面目に取り組んでいますし、F1の経験があって知名度も高く、速いドライバーというのはわかっています。僕も見習う部分があるし、一緒に良いクルマを作って、どんどん上位でレースができるようにしたいです」と国本。
明日の決勝レースに向けては「ポイントを獲るためには追い抜かないといけないので、どこかでチャンスがある時に行きたいです。スタートで順位を上げるのがベストですけど……もてぎはオーバーテイクが難しいサーキットなので、作戦とスタートでポジションを上げられるようにしたいなと思います」と語った。
■野尻智紀(TEAM MUGEN) 予選4番手
もてぎでは過去2勝を挙げるなど、安定した強さを見せている印象の野尻。しかし、今回はフリー走行から苦戦している雰囲気で、最終的にトップから0.7秒差の13番手となった。
「正直フリー走行が終わった段階の感触だと『良くても前回の富士(7番手)くらいかな』と思っていました」と野尻。とくに悩まされていた点については「曲がらなかったことが一番の問題点で、それは岩佐選手も同じでした」と説明した。
もてぎでこれだけ苦戦するというのは、最近のTEAM MUGENにとっては珍しいこと。野尻も「ビックリしましたね。(もてぎが得意というのは)淡い期待でした。自分たちも『もてぎはある程度行けるのではないか?』と踏んでいたところも少しはありました。ただ、思いのほか調子が悪いという状況でした」と振り返った。
とはいえ、昨年はポール・トゥ・ウィンを果たしたものの、2022年はチャンピオン争いで少しでもポイントを獲らないといけない状況下で、第7戦で3位、第8戦で4位に手堅く入った。
そういった過去のデータを振り返りながら、野尻は16号車担当の一瀬俊浩エンジニアと金曜日にこんなやりとりをしていたという。
「実は一瀬さんが『調子が良くて優勝するのと、調子が悪いのが1年置きに来ていますね。そうすると、今年はちょっとアレかもしれないですね……』と言っていたんですけど、本当にその通りになっちゃったので、この後『ちょっと、どういうことなん?』と言いに行こうと思います(笑)」
あらためて決勝に向けては、「誰が優勝争いをしたりとか、誰とライバルになるのか分かりませんけど、少なくとも自分がしっかりと順位を上げて表彰台圏内でゴールをする、できることなら優勝まで持っていきたいなという気持ちはあります。その結果、チャンピオンシップがどうなるのかなというところだと思います」と、チャンピオン争いのことを気にしつつも、まずはポジションを上げることに重きを置いている様子だった。
■小高一斗(KONDO RACING) 予選7番手
今回は山下が7年ぶりのポールポジションに湧いたKONDO RACING。そのチームメイトである小高も7番手につけ、今季ベストの予選結果となった。
朝のフリー走行では17番手に終わった小高だが、「山下選手がトップタイムで、そのデータなどを自分にもしっかりとフィードバックできました」と、いつもとは違う手応えがあったという。
「いつもだと、ドライバーごとでコメントがバラバラなことが多いんですけど、今回は2台で同じような症状で起きていたり、3号車でやっていることが自分の方も活かせるなという部分がありました。そこでしっかりとアジャストして予選に臨みました」
予選では満足いく内容ではなかったようだが、Q2では上位に近づけているという実感は得られている様子。
「Q1に関してはフリー走行からセットを変えて、ベストではない状態だったなかで『ギリギリ通ってくれ!』という感じでした。Q2に関しては今思うと『もうちょっとこうしたかったな』という部分はありましたけど、アジャストしたことが僅差だった上位のなかで、しっかり戦えていたのかなと思います」と、ポジティブな表情を見せていた。
■阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 予選11番手
第4戦富士では、スロットルトラブルを原因とするリタイアに終わってしまっていた阪口。第5戦もてぎではその雪辱を果たすべく、トラブルの原因部分以外にも、複数の新たなアイテムを投入して予選日に臨んだ。
安定して上位につけていた印象のフリー走行、その終盤までは「調子の悪い箇所もなく、ユーズドタイヤでも安定していたので、不安な要素なく走ることができていました」と好感を得ていた様子。
「今回新しくトライしていったパーツに関してもほとんどが当たっていたので、結構イイなという感覚でした」
ただ、新品タイヤを履いた際のパフォーマンスには、勢いの翳りも感じていたのだという。
「ニュータイヤを履いた時に『アレ?』という感じがあって。少しパフォーマンスが足りないなという感覚がありました」
そんななか迎えた予選Q1では、第4戦富士でのスロットルトラブルが再発してしまったのだという。その後のQ2でもパッとしない感覚でアタックを終えたようで、それが追い打ちであるかのように腑に落ちない口調で語る。
「前回と似たトラブルが出たのですが、Q1自体は辛うじて通ることができました」
「ですがQ2では(トラブルが)出なかったにもかかわらず、周りに比べてポジションが下がった感じになってしまいました」
「Q2ではトラブルによるロスがなかったはずなのに、ニュータイヤのフィーリングになっていなかったです。ちょっと納得いかないですね」
一方、チームメイトの大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)は予選3番手につけ、決勝では表彰台以上の成績も狙える状況。始まったばかりの後半戦を戦い抜くためにも、早く不調を抜け出したい様子だった。
■小林可夢偉(Kids com Team KCMG) 予選17番手
「すべてが全然ダメでしたね」と、否定的な言葉で語り始めたのは、フリー走行で18番手、予選はQ1敗退の総合17番手に終わった可夢偉だ。
今年は、チームメイトに福住仁嶺を迎え、チームの体制も強化して心機一転のシーズンに臨んでいるTeam KCMG。しかし、本大会での可夢偉は持ち込みのセットから好感を得られず、マシン状況を見定めているうちにフリー走行を終えてしまったという。
「走り始めから全然グリップせず、ブレーキでリヤがなくて曲がらず、といったところを彷徨っていましたね」
「予選に向けてはかなり変更を加えたのですが、あまりにもクルマが変わり過ぎて合わせきれなかったです」
「それでも少しは良くなっていたのですが、うまく走れていたとしてQ1パスしても、Q2は速くなかったのかなと思います」
百戦錬磨の可夢偉にとっても今回は、もてぎで速く走れるマシンの動きとは程遠い状況だったという。
「『アレ、こんなんだったっけ』と感じながらも、何が違うのかと答え合わせをしながら進めていきました。ですが、その時にはもう遅かれ……という感じでした」
後方からスタートする決勝レースに向けても、可夢偉の口からは明るい要素は聞こえてこなかった。SFで10年目を迎えた可夢偉は今、ここ一番の踏ん張りどころを戦っている。
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