5月19日に大分県のオートポリスで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦に急きょスポット参戦したベン・バーニコート(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、13位完走を果たした。バーニコートは2023年12月のルーキーテストでスーパーフォーミュラのマシンをドライブした経験を持つが、オートポリスの走行はこの週末が初めて。そんな状態にもかかわらず、レース中のファステストラップを刻むという大活躍を見せている。
■終盤には大湯都史樹と白熱のバトルも
Juju、ラップダウン喫し20位に終わるも「タイヤが落ちてきたときのペースは悪くなかった」/SF第2戦
現在は北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にレクサスRC F GT3で参戦、2023年はGTDプロクラスで王者となったバーニコート。スタンディングスタートは実に4年ぶりと語っていたが、見事なスタートダッシュを決めて1周目終了時点で3つポジションを上げた。
その後は小林可夢偉(Kid com Team KCMG)に先行されるが、21周を終えてのピットストップではマシンを定位置に止め、作業後の発進もスムーズに行ってコースに復帰。23周目には今レースのファステストラップとなる1分30秒451を叩き出した。
終盤には大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)と一歩も譲らぬバトルを披露。タイヤがフレッシュな大湯の方が勢いがある様子だったが、バーニコートはしっかりとポジションを守り切るという力強いレースを見せた。
■バーニコートが感じたインパルの“キャラ”
スーパーフォーミュラでの初レースを終えたバーニコートは「とてもチャレンジングだったが、とても良いレースだった」と満面の笑み。
「スタートがすごく良くて、最初のラップで3台くらい抜くことができた。ただ、その後はタイヤのデグラデーションにすごく苦しんだ。だから、最初のスティントは難しかった印象だ。(スティント終盤は)かなり落ちてきていたので、ピットに入ってタイヤ交換をしたら、かなり速くなった。ファステストラップを記録できたけど、そのあとはまたタイヤデグラデーションで苦しめられた」と自身のレースもしっかり分析。
その上で「僕の感想ではあるけど、チーム・インパルのクルマはどちらかというと1ラップの速さに寄ったセットアップになっているのかもしれない。今回の経験が、チームが進歩していく上での助けになれればなと思う」と、彼なりのフィードバックもチームに対して行えたようだ。
また、終盤に白熱した大湯とのバトルについては「2~3回くらい激しいバトルをしていたけど、ちょうど目の前で松下(信治)選手と国本(雄資)選手がバトルをしていて、そこでアクシデントが発生した。その影響で僕も少し減速した時に大湯選手からすごくプレッシャーをかけられた」とバーニコート。
「(ファイナルラップに入るメインストレートで)松下選手がアウトにいたため、僕はイン側のラインを取った。そうしたら大湯選手は僕のアウト(松下選手との間)から仕掛けてきた。ものすごく距離が近いバトルだったけど、なんとかポジションを守れた」と、どこか興奮冷めやらぬ様子で語った。
■『ル・マン総合優勝』という夢へのステップに
これだけの活躍を披露してくれると、次戦以降の出走にも期待がかかるが、バーニコートはIMSAを優先するとレースウイークが始まる前から明言しており、その気持ちはレースが終わった直後も変わらない様子だ。
とはいえ、今回のスーパーフォーミュラで見せたパフォーマンスは、自分自身のためにも大きな財産になったことは間違いなさそう。
「個人的には、僕のレースキャリアの中で一番と言っても良い経験ができたと思う。今までレースをしてきたクルマの中で一番速かったし、チームもトヨタも素晴らしい仕事をしてくれた。僕個人の話で言うと、GTだけではなくてシングルシーターでも速く走れるということを世界中のTGR(TOYOTA GAZOO Racing)ファミリーに示すことができた気がする」とバーニコート。
予選日、個人としてのキャリアの目標を問われたバーニコートは、「ル・マン24時間レースのハイパーカークラスに出場して、総合優勝を飾ること。これからもトヨタ/レクサスファミリーで、ベストを尽くしていきたい」と答えていた。
「この結果が、その夢に近づくきっかけになればいいなと思う」
今回は“夢の実現”へのステップとしても、バーニコートにとって非常に価値のあるスポット参戦になったことだろう。
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