この記事をまとめると
■EV車両に搭載されるモーターはエンジンに比べおよそ100分の1もの素早い応答が可能
MGがチャイナパワーを生かした「サイバースター」を発表! 「EVスポーツ」市場は急速に発展する可能性大
■出足の加速はエンジン車の比にならないほどのパフォーマスを持つ
■単にパワフル&トルクフルなことがEVスポーツの要件ではない
そもそもすべてのEVがスポーティともいえる
モーターは、エンジンに比べおよそ100分の1の早い応答が可能だ。なおかつ、モーターは電気が流れた瞬間から最大トルクを発生することも可能な、フラットなトルク特性なので、出足の加速はエンジン車の比ではない。このふたつのモーター特性を知れば、電気自動車(EV)は胸のすく加速で最高速まで到達できることを意味するし、加減速においても、瞬時に加速・減速が可能になる。
さらに、回生を利用した減速度の調節がアクセルのワンペダル操作で可能になるため、ブレーキペダルへ足を踏み替える必要をなくすことができ、ペダル踏み替えという空走時間がなくなるので、周回タイムの短縮にも効果的だろう。
つまり、EVはそもそもスポーティな運転を楽しめる素養があるということだ。ならば、あえてスポーツカーと名乗る必要があるのだろうか?
ポルシェはタイカンを売り出し、スポーツカーメーカーとしてのEV時代の準備を始めた。
タイカンの0-100km/h加速は2.8秒である。これに対し、テスラ・モデルSの最速モデルは2.1秒だ。スポーツカーとあえて名乗らなくても、ポルシェを超える発進加速となる。こうなると、何をもってEVスポーツと定義するのかが難しい。
これに対しポルシェは、タイカンではその加速性能を何度でも繰り返すことができるとした。たとえばサーキット走行をしたような場合でも、加速が鈍らないということだ。一方で、それだけの加減速を繰り返した際の充放電におけるバッテリー性能の確保が必要になる。
一般的な乗用EVは、全力での加減速をする場面が繰り返されることはほぼないといっていい。せいぜい高速道路などへの合流で瞬発力を発揮できれば順調に合流できるといった使われ方だ。この利点は、たとえば日産サクラや三菱eKクロスEVといった軽EVでさえ、高速道路への合流がより容易であり、安心できる要素のひとつになっている。
結論として、モーター出力やバッテリー容量の大小ではなく、加減速での瞬発力を何度も繰り返せるバッテリー管理や制御がなされることで、サーキット走行に代表されるような走りを満たすことが、EVスポーツの条件になるのではないか。
同時にまた、その加減速の繰り返しは電力消費も多くなる傾向となるため、それなりのバッテリー容量が必要にはなるだろう。
スポーツカーの性能は、通常はそれほど必要のない数字であり、そのためにバッテリー容量を増やしたり、バッテリーの管理や制御に費用をかけたりするのは、EVスポーツという特殊性のためでしかなく、一般にはほどよい性能が求められる。そのうえで、バッテリー劣化を抑え、EVを長寿命なクルマにし、さらにはEV後のバッテリーの二次利用のしやすさも考慮した設計が不可欠である。
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みんなのコメント
加速が速いことも求められることでもあるが、例え遅かったとしても、思った通りのコーナリングができるとか、路面に吸い付くように走るとか、そういう感覚的なところもあると思う。
EVの重さでもそれを実現できていれば、スポーツカーと呼んでいいと思う。