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まるで図鑑から飛び出した1台 「トヨタ・スタウト」を再生 ハイラックスのルーツを辿る

掲載 更新 6
まるで図鑑から飛び出した1台 「トヨタ・スタウト」を再生 ハイラックスのルーツを辿る

点と線 スタウト誕生とクラウン

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

【画像】スタウト&初代クラウン【レストアで再生】 全109枚

2月19~20日にパシフィコ横浜で開催されたノスタルジック2デイズ。

神奈川トヨタのブースには、以前に紹介したフルレストアされた初代クラウンのほかに、見慣れないクラシックなトラックも展示されていた。

そのトラックの名は「トヨタ・スタウト(トヨペット・スタウト)」。現在のハイラックスのルーツともいえる、このクルマはどんなクルマだったのだろうか。

1955年(昭和30年)。トヨタは純国産技術による初の本格的乗用車として初代クラウン(RS型)を発売した。

これと同時に販売を始めたのが、トヨペット・マスター。

クラウンは乗用車として開発されたため、仮にタクシーのような営業車として過酷に使われて故障が多発しては、トヨタ的に問題となる。

そこで営業車用に登場したのがマスターだった。ベースは、1953年に発売されたトヨペット・スーパーだが、クラウンと似たスタイルに一新。

性能的にはRS型クラウンと同等だったが、サスペンションには前後とも固定車軸(リーフリジッドアクスル)を用いており、乗り心地は悪かった。

マスターと顔が似ているワケ

ちなみに、クラウンのフロントサスペンションはダブルウイッシュボーン/コイルスプリングを採用していた(リアはリーフリジッドアクスル)。

そこで乗り心地を重視して、クラウンをタクシーに使う業者も登場した。

だがトヨタの心配は杞憂に終わり、クラウンは故障も少なくて乗り心地も良く、タクシーとしても十分に通用した。

そのため、マスターは発売翌年の1956年11月には販売を終了する。

短命に終わったマスターの生産ラインはライトバンのマスターラインや、そのピックアップ版に引き継がれた。

さらに、キャビンなどはRK型と呼ばれる小型ボンネットトラックにも採用された。それが、このスタウトなのだ。

だから、このトラックの顔つきが当時のトラックとしては、どことなくアカ抜けているのも分かろうというものだ。

スタウトが残してくれたもの

それまでのボンネットトラックは、ボンネットとトラックが一体ではないクラシカルなスタイルなものが大半だったが、マスターのキャビンを流用したことで近代的なスタイルとなった。

また、マスターラインのピックアップ版はボディと荷台が一体型で、積載量は750kgだったが、RK型トラックは独立した荷台を持つので積載量は1750kgにまで増大されていた。

1959年、RK型トラックは愛称募集により「スタウト(STOUT)」という車名が与えられた。

英語で「丈夫な」とか「頑丈な」という意味のあるスタウトという車名は、まさにトラックとしてはピッタリなネーミングといえるだろう。

ちなみに、スタウトとシャシーを共有するキャブオーバートラックも、このとき同時に「ダイナ」という車名が与えられた。

ダイナは日野デュトロのOEM供給モデルとなったが現代まで存続している。

だがスタウトは、1968年に日野とコラボしたトラック「ブリスカ」が「ハイラックス」にモデルチェンジされ、その座を引き継いだことで、1986年に3代目が生産終了してフェードアウトしている。

形あるものは、語りかけてくる

今回、ノスタルジック2デイズに展示されていたスタウトも、以前に紹介した初代クラウンと同様、神奈川トヨタでフルレストアされたもの。

しかも、このクルマも1959年(昭和34年)に登録された当時の「神4」のナンバープレートが付いている。

そう、1959年といえばスタウトの車名が与えられたばかりのころ。そのため、このクルマには「STOUT」という車名エンブレムは付けられていない。

聞けば、座間市で農家を営んでいたオーナーが大切に保管していた車両を、息子さんからの依頼でフルレストアしたもの。

分解できる部位はすべて外し、各パネルの修復や板金修理を行い、元の塗装は全剥離したのち、塗装して復元している。

スポーツカーや高級セダンなどが大掛かりなレストアをされる例は見かけるが、こうしたトラックのような商用車を現役さながらにフルレストアした例は珍しい。

それほど愛されている、このスタウトも幸せなクルマということができるだろう。

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みんなのコメント

6件
  • 神ナンバーは、神戸じゃなくて神奈川なのね
  • これはもう50歳の自分でも現役時代は
    知らない車で80歳近い親が10代の頃の車。
    マスターとかスーパーとかよく話していた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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